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第7回 千葉・茨城だって被災地です。

連載企画「震災から10年~現在地と着地点~」。第7回目は、「千葉・茨城だって被災地です。」と題してお送りする。東日本大震災=東北の印象が強いのは言うまでもない。ところが、東北の陰に隠れて関東地方の被害も大変なものだった。今回は、東北に隠れた被災地の現状や今後について述べていきたい。

忘れられた被災地=千葉・茨城

見出しだけ見ると、千葉・茨城が被害者ヅラなんかしてと思われる方も多いはず。だが決して、悲劇のヒロイン気取るをするつもりで書くわけではない。きちんとこの見出しにした明確な理由がある。

東日本大震災は、今さら語るまでもないが岩手・宮城・福島を中心とした、東北地方に甚大な被害をもたらした。宮城県だけでも死者・行方不明者合わせて1万人を超え、地震や津波による家屋の被害も比較にならない規模だ。しかし、死者や行方不明者、家屋の倒壊は東北地方に限った話ではない。マグニチュード9.0という世界でも4番目に入る巨大地震の影響は、関東地方まで広がった。特に関東でも死者や行方不明者、家屋の被害が顕著に表れた地域が、千葉県茨城県だ。

この2県は、地震の揺れもひどかった。茨城県内では最大震度6強、千葉県では6弱を観測している。加えて、太平洋に面した地形というのも共通点。東北地方に遅れて、この2県にも津波が襲来した。その結果、茨城県で24名(行方不明者1人)、千葉県で21名(行方不明者2人)の人的被害が出てしまったのだ。私も被災直後に、津波で大きな被害がでた千葉県旭市を訪れたが、津波によって堤防が一部壊れた箇所が複数あったり、海沿いの住宅はほとんどが床上まで浸水、津波によってか家屋の一部が崩壊しているのを確認した。加えて、沿岸部一帯は液状化現象が発生し、多くの家屋が傾いてしまった。東北地方の被害とは規模が違うため比較対象にはならないが、これまでの過去の災害の映像と照らし合わせると、被災地と呼んでも違和感がないほどの被害を受けている印象だった。なのに、東北の状況ばかりが放送され、千葉・茨城はもちろん、被害を受けた他の関東地方の存在がおいてけぼりにされてしまったのだ。

地域住民の伝える努力がカギ

第2回の内容と重複するが、被害の様子がマスメディアを通して伝わらない・伝える時間が少ないと、被害の様子を知る人は少なくなり、やがて支援の手が薄くなってしまう。現状では、マスコミにも報道の限界があるのは十分承知している。だからこそ、忘れられた被災地にならないように、地域住民同士で伝える仕組みづくりが必要だと感じる。

実際に津波被害が顕著だった千葉県旭市では、地元のNPO法人が主体となり「復興かわら版」を制作、住民に配布した。内容は、旭市の住民の被災体験と併せ、復興を目指す市内の個人店や企業などの紹介も掲載。

やがてSNSでもこの取り組みが拡散され、旭の震災の被災状況だけではなく、住民が一体となって復興に進む様子も掲載されたことで、明るい話題も届けることができた。

マスメディアに来てもらえない、放送されないからと言って諦めるのは早い。地域住民で話し合い、伝える仕組みを作り発信していけば、見てもらえる人が少なからずいるはず。住民ならではの目線を活かして、外に情報発信する団体や自治体が増えてほしいと思う。

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