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第4回 被災地の人口減少は受け入れざるを得ない。これらからのまちづくりとは?

連載企画「震災から10年~現在地と着地点~」。第4回目は、「被災地の人口減少は受け入れざるを得ない」と題してお送りする。福島第一原発の事故によって避難せざるを得ない方が多く出てしまったが、10年近くたっても、人口減少など厳しい現実が現れている。福島に限らず、宮城・岩手でも起きていること。人口減少の現状を踏まえながら、今後のまちづくりについて述べていきたい。

人が戻らない厳しい現実

2011年の震災前の時点で岩手・宮城・福島の3県合わせた人口は、約570万人だった。10年経った2021年時点では、約532万人まで減少した。率にして、マイナス6.6%の減少となった。(出展:NHK データで見る復興予算より)

さらに、関西学院大学災害復興制度研究所が行ったアンケート調査によると、震災前に福島県に住んでいた方のうち、65%が故郷に戻る意思がないという回答結果が出たのだ。戻らない理由で一番多かったのが「現在の居場所で落ち着いている」ということだった。

もともと被災地域では、震災前から人口減少の課題に直面していた。だが、このアンケート調査の通り戻らない理由が「現在の居場所で落ち着いている」だったら、元の場所に戻る確率は0に等しい。残念ながら、これが現実であることを、被災地域は受け入れざるを得ない。

別の視点からのまちづくり

人口が減るのは仕方ないが、だからといって、復興やまちづくりを放棄していいわけではない。町に戻りたい人も少数ながらいるし、自分の故郷に誇りをもって住んでいる方もいる以上、これらの声を無視することはできない。

人口がどんどん減っていくこれからの時代、深刻なのは働く人口(15歳~64歳)が加速度的に減っていくことだ。小売業・外食産業など一部業界は人手不足の影響がすでに出ている。人口減少が続けば、他の業界にも人手不足の波が及ぶことは容易に想像つく。

そのため、まちづくりの第一歩として、働く人・働ける場所を増やすことだろう。東日本大震災をきっかけに、自分の人生を見直したという方も少なくない。私もその一人だ。行政やNPO団体が先頭に立って、被災地域での新たな雇用を作ることが第一優先だと思う。被災地域で社会貢献したいという方がまだまだいるはずなので、そういった方にアプローチすれば、被災地域にも目を向けてくれるだろうし、意欲があれば、移住したい・起業したいと考える人も出てくるはずだ。

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