父と8歳息子の東南アジア&アフリカ旅行~アディスアベバの美人と珈琲②~Vol. 7

目覚めると13時を回っていた。

慌てて繁華街のピアッサと呼ばれるエリアへ向かう。
明日の夕方便でナイロビへ向かうので時間がもったいない。

ピアッサまではハイエースの乗り合いで5ブル、普通のタクシーだと150ブル位とフロントのスタッフが話していた。タクシーは他の物価に比べ非常に高いようだ。

大通りに出てハイエースを捕まえようと試みる。目印である青と白色のペイントがされている乗合ハイエースが何台か目の前を通っていく。しかしそれがどこへ行くのかも分からないし、声を掛けるタイミングが全く分からず焦る。そして息子がこれみよがしに、まだ捕まらないのかと急かしてくる。
我が子ながら嫌味な奴だ。

周りの人は立ち呆けている東洋人親子を珍しそうに見てくる。
なにしろ白人も東洋人も通らないので、嫌でも目立つ。

ビビっていてもしょうがないと腹をくくり、ハイエースが通るたびに
「ピアッサ!?」「ピアッサ~~!!??」と叫んでいると、「ピアッサ!!!!」と1台のハイエースから返事が来た。

しかし目の前に止まってくれるかと思いきや、
「この先で止まるから前に進め!」みたいな事を言って走り去ってしまう。

息子が、「パパ!走るよ!!」と言ってハイエースを追いかけて先に走り出した。

親子で必死に走る東洋人を、何事かと周りの現地人が注目してくる。
息子も3年生、本気で走らないと追いつけない。こちらも必死である。
これみよがしに早く走れと言ってくる息子。本当に嫌らしい奴だ。
ハイエースを止めたのは俺だぞ、と心でつぶやく。

少し大きめの広場でハイエースは停車しており、他の乗客と一緒に乗り込んだ。1人5ブル。車内は10人くらいで満員となり、途中から乗ろうとした乗客は拒否していた。

先ほど走ったせいか妙に息が苦しい。息子も肩で息をしている。
それもそのはず、アディスアベバは標高2,400m だという事を忘れていた。

軽い高地トレーニングをしてしまったようだ。
裸足でローマ五輪のマラソンを制したエチオピア選手・アベベを思い出す。

ゆっくり息を整える。

20分ほどでピアッサと思われる場所へ到着。少し歩いた後、「oslo café」という店でサンドイッチとパスタで遅めの昼食。パスタは青唐辛子がのっていて辛かったが、まあまあ食べる事ができた。

すごいボリューム

その後、Taitu hotel やTOMOCA coffee を見ようと歩いたが、雨も降ってきて寒くなりホテルへ戻ることにした。ハイエースの乗り場と思われる場所へ行くと、とんでもない行列が出来ている。新しいハイエースがやって来る度に、我こそはと次々に乗り込みどんどん弾き出されている。

絶対に無理

息子も疲れているのでしょうがないしな、と言い訳をしつつタクシーを拾うことにした。

250ブルと言われたのを200ブルに値切り妥結。車はかなり古いアメ車だったが逆にカッコよかった。運転の途中にナンパをしたりといい加減な運転手のオッサンだったが、流暢な英語を話したのが印象的だった。

夜は疲れたので夕食もとらず就寝。
部屋にはエアコンがなく寒くて寝つけなかったが、息子と体をくっつけ何とか凌いだ。

翌朝起きてホテルで朝食・・・さあ、いよいよインジェラと初顔合わせだ。

「見た目は雑巾、味はゲロ」という大変失礼な噂があるインジェラ。
発酵食品なので酸っぱいな~という印象で、美味しくも不味くもない感じ。

少なくともゲロの味はしない。それよりも付け合わせの料理が結構辛くて驚いた。


朝食の後、部屋でYOU TUBEを見る息子を残しホテルの周りを散策。

キレイな女性3人でやっているコーヒー屋を見つけ、フラフラと入る。

東南アジアで良く見るプラスチックの小椅子で外に座り、路上を眺めながらコーヒーを待つ。付け合わせに葉っぱがあり、「齧るの?」と聞くと「違うよ、コーヒーの中に入れるんだよ」と美人の店主が教えてくれた。

コーヒー屋のセット

言われた通りに、砂糖を入れた後にカップに葉を浮かべてから一口すする。

うまい。うますぎる。
芳醇なハーブ系の香りが口の中に広がり、コーヒーとは思えない。

大袈裟でなく、違う飲み物を飲んでいる気がする。

感動してお代わりを頼んでしまった。
手際よくおかわりを注ぎ足してくれたので、2杯飲むのも珍しい事ではないのだろう。

おかわりの際も砂糖を入れるよう促された。2杯目はブラックで飲んでみたかったが、こちらのスタイルに従った。

葉を入れて飲む

店内の女性店員達はテキパキと良く働く。注文の合間にコーヒーの豆を煎り、客が帰ったら椅子やテーブルを拭く。オフィスの出前もやっている様で、大きなポットとカップを持って小走りに店を出ていく。

やはり噂どおりエチオピアには美人が多い気がする。
女性は顔が小さくすらっとしていて体型が日本人に近い。
男もキリっとした面構えをしている。

僕は店の前に椅子を出して座り、アディスアベバの朝の光景を眺めながらコーヒーを楽しむ。その僕の姿を見て、若者が爆笑している。こんな店でコーヒーを飲んでいる東洋人が珍しいのだろう。僕もそれを見て笑い返す。


コーヒー豆を煎る店員

知人の話の通り、エチオピアのコーヒーは奇跡的に美味かった。

しかも1杯20円足らず。

この後綺麗なカフェで10倍位の値段がするコーヒーも飲んだが、この店の方がはるかに美味しかった。


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