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漁村暮らしの困りごと

こんにちは、ぷりごろたです。
僕は漁業を経験するために、宮城県のとある漁村で暮らしています。

今日は漁村暮らしで困った「訛り」についてご紹介します。

まったく大袈裟でなく、相手の話していることが一字一句聞き取れなかったのです。
日本で25年暮らしてきて、こんなことは本当に初めてでした。

漁師さんと初めて対面した日。
こちらから自己紹介をすると、言葉にできない音が返ってきました。
大いに戸惑いながら聞き返す表情をしてみると、再度同じ音が返ってきます。

すると、隣で笑っていた奥さんが、通訳のような立ち位置で標準語に翻訳してくれました。
どうやら「君は船に乗ったことがあるの?」と質問していたようです。

「いえ、漁業は初めてです」と応えると、驚いたようなリアクション。
こちらの言葉は伝わっていそうです。

初対面の日はずっとこの調子で、通訳がなければ会話は0だったでしょう。
ここで2週間も過ごすのかと、不安でいっぱいになりました。

そんな出来事があった翌日、天候に恵まれ、ワカメ漁に出ることになりました。
その日のメンバーは、漁師さん、宮城県出身の友人、僕の3人です。

漁師さんと友人は6年来の付き合いがあり、意思疎通は完璧です。
今日は友人に通訳を頼もうと思いながら、いざ出航。
初めての漁、とてつもなく綺麗な朝焼けに見とれながら漁場に向かいます。

10分ほど経った頃、船がスピードを落としはじめました。漁場に着いたようです。
すると突然、穏やかだった空気が一変し、炎に包まれたような気配が立ち込めます。
オタオタしている僕に、「ワカメの根元としっぽを落とせ!」と鎌を手渡し、2人は猛然とワカメを刈り始めました。

よく分かっていませんが、とりあえず見よう見まねでワカメを刈り始めると、怒鳴り声が飛んできます。
どうやら間違ったことをしているようです。
しかし、肝心の内容は全く聞き取れず、グズグズしていると更に怒られます。

なんという理不尽!!

友人が僕に気づき、アドバイスをくれました。
ワカメの先端を刈りすぎている、白い縮れた部分を切り落とすように、とのこと。

そんなん初耳やんけ!と思いながらやってみると、「おう!」と大きな声。
どうやらアドバイスは的中だったようです。

万事この調子で、怒られる→やってみる→もっと怒られる or 褒められる のサイクルを回していきます。

そんな訓練をしていたある日、漁師さんの言葉をそこそこ聞き取れている自分に気が付きました。
通訳がいなくても、何を言っているか察しがつくようになっていたのです。

もちろん完全に聞き取れている訳ではなく、
怒鳴っていると思ったら、「昨日の晩飯は何だ?」だったり、
世間話かと思うと、「さっさと掃除しろ!」だったりします。

それでも、返答の正解率はだんだん高くなっていき、会話が最後まで成立することもありました。
人間の慣れの力ってすごいんだなぁ、と我ながら感動してしまいます。

ちなみに、漁業では作業のスピードが命なので、怒鳴ることで指示を素早く簡潔に伝えているそうです。
怒鳴っているうちはまだ怒ってはおらず、本気の時は無言になるとのこと。

僕はずっと怒鳴られていたので逆に安心してしまい、時代に逆行しているなあ、とちょっと可笑しくなります。

振り返ってみれば、日本にいるのに会話できないという珍しい体験をでき、とても面白い時間でした。
漁村で暮らしたい方は、オリジナルの単語帳を持っていくと良いかもしれませんね。

今日は宮城を発つ日なので、しばらくは漁村暮らしを振り返りながら書いていきたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。

それでは、また👋

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