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【英語本】『英語は決まり文句が8割』中田達也【ブックレビュー】

先日のkindle版ディスカウント期間中に935円→399円で購入。こういう割引があるから最近はついkindle版で買ってしまう。。

さて、本書の内容は、英語における「定型表現」の特徴と重要性を伝え、さまざまな現代的ツールを活用した英語学習法を提示してくれるもの。個人的にはJust The Wordという語の連結(コロケーション)を調べられるサイトに感銘を受けたので、今後の学習や調べ物にどんどん活用していきたい。

例えば、こちらのnoteで注目したChatGPT御用達のdelveという単語。

こちらのコロケーションをJust The Wordで調べると、

といった風に、deep, deeply, intoといった語と相性が良く、さらに用例を見るとdelve deeply into this issueのような組み合わせも見られて興味深い。

ところで、本書を読んでいて、あるいは読む前から、気になっていたのが、タイトルにもなっている「英語は決まり文句が8割」というのは一体どういう根拠があって主張されているのか、ということである。

本書によると8割の根拠は以下の2つの論文ということであった。

それぞれ1998年と2000年の論文で、ウェブ上でもAbstract(要旨)は読める。ただそこだけでは、以下の箇所に、

Another important contribution is the revelation that there is a large amount of prefabricated language in both spoken and written texts(on average around half of the texts), which makes it impossible to consider idioms and other multi-word combinations as marginal phenomena.

書き言葉と話し言葉、両方に平均約半分くらいの定型表現があるとの言及はあるが、5割と8割はかなり違う。また「大量のテキストをコンピュータで解析」というには1998年と2000年の論文というのはいささか古い感じがするのも気になるところ。まさか例の『人は見た目が9割』に寄せて高めの数字で言ってみた、という訳でもないだろうけども。。いや、このタイトルにこそベストセラーの「定型表現」を活用したということかしら!?

英語学習者にとって「定型表現」の重要性は本書の豊富な例からもよく理解できたけれども、8割がそうだというのはどうもにわかには信じ難い。そんな画期的な大発見論文ならAbstractにも書きそうなものだけどなあ。。またその8割は2024年の現在でも一般的な学説なのだろうか?もしそうだとしたらWikipediaのphraseologhyの項目などにも載っていそうなものだけど特段見当たらない。

結局のところその数字は「定型表現」の定義次第なのだろうけど、仮に英語の8割が決まり文句だったとして、それは英語特有の特徴なのか?日本語もそうなのか?日本語は「いただきます」のような定型表現を好むが英語は割とその場その場で違うことを言うなどよく指摘されるがその辺はどうなのか?それとも定型表現は人間の言語全般に普遍的に見られ、しかもその割合も近いものなのか?などといったことにも本書を読んでいて興味惹かれた。

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