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スタバに行くためだけに車を出してもらった日の話

今住んでいる場所の最寄り駅にはタリーズが2つある。
でも、スタバは少し遠出しないと、ない。



タリーズも好き。でも…新作のティーラテがなんだか異常に気になっていて、この日はどうしてもスタバに行きたかった。



「今日どうする?」 

「スタバ行きたいんだよねー…」



夫に質問されて、どこのスタバに行きたいのかなどなんのイメージも持たないまま、ひとまず思うがままにそう答えた。



「実は駅にひとつもスタバないよね。タリーズはあるけどね…」



想定どおりの言葉が返ってきて、わたしも別日に出かけたついでにでも行けばいいかとも思っていたし「だよねー」くらいにしか言葉を返さなかったのだけど。



「じゃドライブついでに車で行こうか」



思わぬ展開だった。




まさかわざわざ車を出してくれるという提案をしてくれると思わなかったから、嬉しい気持ちよりも先になんだかシンプルに驚いてしまって…元々彼には「わざわざ」という感覚はなかったのかもしれないけれど。



「行く!」



わたしがその日の気分で選曲した音楽をかけて、
夫が運転する。
今ではもはや日常だけれど、結婚して2年前ここに住み始める前まではそんな経験はなかった。
一人暮らしだったし、わたしは免許を持ちながらもまったく運転ができない絵に描いたようなペーパードライバーだった(し、今もそうだ)から…


この街に引っ越してきて、駅までバスに乗らないと行けない距離になった。
バスのない時間には車でスーパーに行ったり、
駅の近くの回転寿司屋が混んでそうなときには車でしか行けない方の店舗に行ったり。
東京の駅近のアパートに住んでいた頃には考えられなかった日々。

一人だったら…ここでの生活は、無理だっただろう。



もともと神奈川出身のわたしからすると、全く馴染みがなかった千葉。
でも、少しずつこの街に馴染んできたようにも思う。



その日飲んだティーラテは、駅近のスタバで飲むよりもなんとなくホッとする味だった。
「スタバ行きたいんだよねー…」の一言から、車でここまで連れてきてもらい、この味にたどり着けているなんて。


この味も、そのうち日常になっていくのだろうか。


特別が日常になっていく幸せを、わたしはこれからも小さく積み重ねていくのだと思うと、ちょっとわくわくする。

そんなことを教えてくれたこの街が、わたしは好きだ。



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