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オシャレって、何? 問い続けた29年。

今回の記事は、「私とオシャレとエミリンチャンネル」の続きにあたるが、特に内容につながりはない。

前回は私がエミリンチャンネルが好きだということから始まり、私のオシャレじゃない遍歴を語って終わってしまった。今回は私のオシャレコンプレックスについて幼少期からのエピソードを振り返ってみたい。

小学生時代の思い出

幼い頃の私は、オシャレ=着飾ったり肌を見せたり、髪を染めることだと思っていた。私はそういうオシャレをしている人はギャルとか不良で、自分とは縁のない人種だと思っていた。小学校卒業まで母が用意した服を真面目に従順に着ていたと思う。でも、記憶に残っている出来事がふたつある。

私は小学校3年生の2月から6年生の1月まで、中学受験のための塾に通っていた。学校から帰ってから着替えて塾へ行くのだが、その服も母が準備してくれていた。とある冬の日、コーディネートがベビーピンクとパウダーピンクの2色使いのパイル地ジップアップブルゾンに、フューシャピンクのシャカパンというピンクづくめだった。そして、塾で隣になった女の子に「ピンク好きなの?」と聞かれた。

そりゃそうだ。隣の子がピンクづくめだったら私でも聞くだろう。そして、確かに私はピンクが好きだ。でも、はっきりうんとは言えなかった。

(ピンクは確かに好きだけど…、この格好はなんか違う…)

おそらく母は、寒くないようにと長袖長ズボンでちょうど良い服を用意してくれたのだろう。それほど変な格好だったとも思わない。ただ、私は心のどこかで納得行っていなかったのだ。

また別の日の塾の帰り、電車の中で友達と話をしていて、文脈は忘れたが、私は「ファッションとか興味ないし!」と強い口調で言った。オシャレ音痴のコンプレックスの表れ以外の何でもない発言である。

スカートとノースリーブが嫌い

そして私は小学校中学年以降、スカートとノースリーブを着なくなった。具体的なきっかけは特になかったと思うが、おそらく二次性徴が始まって体毛が気になり始めたのと、女の子であることで嫌な目に遭う可能性がある、と知ったからだろう。私は好きな色を聞かれた時に、ピンクと答えるのをやめ、水色と言うようにした。とりあえず女の子らしいファッションからは離れようとした。小学校高学年の頃は、メゾピアノやエンジェルブルーといったブランドが流行っていたが、私は大してわかってもいないくせにadidasや NIKEなどのスポーツブランドが好きだと言っていた。ちなみに私は大の運動音痴である。

オシャレすることが恥ずかしかった学生時代

中学生になって制服を着るようになった。仕立ててもらった時、今後の成長を見込んで少し大きめにしてもらったのだが、2センチほどしか身長が伸びず、スカート丈はずっと膝下だった。相変わらずスカートは好きではなかったが、丈も長いし、下に短パンを履いているという安心感もあって、どうにかこうにか毎日着ていた。

そういう制服の着方は清楚と言えば聞こえはいいが、その実、ダサい。靴下もソックタッチで留めないとすぐに落ちてくる。数年後に母から聞いたことだが、中学の修学旅行の写真を見て、だらしなさにびっくりしたらしい。何をどうしたらきちんと可愛らしく着られるのか未だに謎だ。

プライベートはといえば、大学卒業までジーンズにTシャツとパーカーという出立ちがデフォルトになった。友人と服を買いに行ったりファッション誌を買ったこともあったが、結局何が良いのかわからず、オシャレについて考えることを諦めてしまった。そして、たまにオシャレをしてみようと思い立って、いざ新しい服や化粧品を買ってみると、すごく恥ずかしい…!オシャレっぽいことをする時は家族の目を盗んでやっていた。

オシャレをしようとする→母に見つかる→ダメ出しされるかもしれない→じゃあいっそやらない、の悪循環である。

母は私がオシャレをすることについて否定的だった訳ではない。ただ、私と好みがおそらく違っていて、私達はそのことについて話したり意見を交換することを怠ってしまったのだ。思い出したエピソードがある。

中学生の時か高校生の時か忘れたが、ホットビューラーを買った。1,500円くらいしたので、当時の私にとっては大きな支出である。家に帰ってさあ試そうと思って開封したところ、私は愕然とした。

中身が入っていない。

なぜなのかは今でもわからないが、ひょっとしたら中身だけ万引きされていたのかもしれない。私はおそるおそる、母に相談した。なんでそんなもの勝手に買ったの!と怒られるのではないかとビクビクしていたが、母は何も言わずにお店について来てくれた。結局どうなったのか忘れてしまったが、返金してもらったのだと思う。

可愛い路線は諦めた。方向性はロックだ!

そんなこんなで可愛くなることを諦めた私は、路線変更して、「カッコよく」なることにした。時期は思春期。厨二病に突入である。とりあえず黒、黒を着ればカッコよくなるんだ!と思い、黒いTシャツやズボンを気に入って着ていた気がする。ラメとかスタッズとか付いてたらもう最高。七分袖で黒地にラメで「16」とプリントされたTシャツが好きだった。何が16なのかは知らない。なんかピカピカ光ってるシャツ=カッコいいという公式で覚えてしまった私は、マダム向けのブティックで売っているカットソーが素敵に見えてきてしまい、母に「これ素敵だね!」と言ったらふるふると首を横に振られた。

オシャレに関係ない余談だが、先日、中学〜高校の頃使っていたガラケーを発掘した。裏にステッカーを貼っていたのだが、それが厨二病丸出しで自分のことながら引いてしまった。JRの駅のホームにある駅名看板を模したデザインで、真ん中には「現在」一つ前の駅にあたるところには「過去」、次の駅にあたるところには「あの世」と書いてあるのだ。今はミュージカル「エリザベート」が大好きなので、闇が広ガールだったあの頃から大して変わっていないのかもしれない。(ネタがわからない方すみません)

高校卒業してわかった。私は可愛い

カッコいい路線で行こうとした私にも、ついに年貢の納め時が来た。中高一貫の女子校を卒業したのだ。大学は6年ぶりの共学で、自分は女子であることを認めざるを得なくなった。何しろ私は身長154cm。痩せ型(当時)で色白の細面。いくら文化祭の劇で男子の役を演じていたとしても、男子らしくはないということがやっとわかってきたのだ。いつもとテイストの違う服でも買いに行くか、と思ったのかどうかは定かでないが、とにかくある日、私は友人と原宿に行った。そこで、森ガール風の洋服を購入したのだ。布をたっぷり使ったベージュの地にボタンがたくさん付いた長めのスカートに、袖がふわっと広がったブラウンのロングカーディガン。大変ロマンチックなコーディネートで、友人も店員さんも絶賛してくれた。これで私もオシャカワ女子!と思い、家で着てみたところ、今までにないほど母にドン引きされた。怒られるを通り越して困惑された。そんな母に対して私が言ったのは、「この服、周りからすごい評判いいんだよ!」

…おわかりいただけただろうか。この発言、自分の意思がない。好きな服なら母がなんと言おうと「好きだから着る」でいいのだ。周りからの評判を持ち出しているあたり、自分に自信がないことが窺える。結局私は、数回しか森ガールになれなかった。

なんでここまでオシャレに無頓着でいられたのか。それは素の容姿に謎の自信があったから。

ここまでは私の残念なオシャレエピソードを書いてきた。多くの方は自分の欠点(だと思っているところ)を補正するためにオシャレをする努力をするのだろう。しかし私にはそれがなかった。自分の素の容姿が好きだったので、オシャレでカバーしようと思わなかったのである。

…などと書くと、どんなナルシストかと思われるかもしれない。そして実際、ナルシストなのかもしれない。私は決して美人ではないが、自分の身体で好きなパーツがいくつかある。それは顔の肌、瞳、手だ。顔の肌は、結婚披露パーティーのメイクさんが「まだ子どもの肌ですよ!」と言ってくれたくらいには綺麗だ。瞳は茶色だが、日本人にしては色素が薄い。手は筋張っているが、指は細くて長い。

好きではないパーツももちろんある。むしろ好きなパーツよりも多い。お腹はいつもぽよっとしているし、身長はもう少し欲しかったし、髪の毛は中途半端に癖毛で言うことを聞かないし、前歯は少しずれている。

色々な欠点はあれど、私は私の顔の肌、瞳、手は美しいと思っている。これだけの武器(?)があれば他に何を飾る必要があるだろうか。たとえ写真映りが最悪だったとしても、鏡を見れば綺麗な肌と瞳、手元を見れば綺麗な指がある。

私がオシャレをしなかったのは、多分、自己愛が強いからなのだろう。オシャレに失敗しても、まぁいいや、私綺麗だし!と開き直っていたのだと思う。なんておめでたい、と自分で自分に呆れてしまう。

今では自分で自分の顔の肌、瞳、手が美しいと思っているので好きだが、思い返してみれば、最初に美しいと言ってもらえたのは家族や友人といった他者からだった。美しさとは常に他者によって判断されるもので、自分ではわからないものかもしれない。オシャレも同じで、身に付けるものが似合うかどうか、自分で判断するのは難しいのではないだろうか。他者に褒めてもらえれば自信になるし、貶されれば自己肯定感が下がる。人間、誰しも褒められれば嬉しいし、貶されれば悲しくなると思う。自分で自分を褒めるのは、実は結構難しい。

他者に好きになってもらうためのオシャレを超えて、自分を好きになれるオシャレをしたい。30歳を目前にしてそんなことを考えている。

今日の私のコーディネートは、ベージュの太めのストレートパンツ(母からのもらいもの。妊娠中にもらったけど入らなくて、やっと履けるようになった)、白黒ギンガムチェックのフレンチスリーブのカットソー(これも多分母からのもらいもの)、PLSTのグレーのロングカーディガン(妹からのもらいもの)、靴下屋のラメ入り紺色靴下、asics walkingのヒール付きウォーキングシューズ。

着替えて0歳7ヶ月の息子、よっしゃんに「どう、似合う?」と聞いてみた。当然、答えは返って来なかった。

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前回に引き続き、今回も長くなってしまいました!実は先日、パーソナルカラー診断と骨格診断を受けて来たので、そのことも記事にしたいと思います!

ではまた近日中にお会いしましょう〜!!



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