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アロマの精油で生体機能活性(父の介護)

要介護5だった父にアロマトリートメントをして香りで生体機能が活性し、要介護2になった介護のときの記録。

庭のダマスクローズと精油の瓶

父の介護記録


 ・父が入院

15年前の秋、84歳になった父は体調がすぐれず夜中に母を起こして「お世話になったね。僕は明日亡くなるから、若い者にもよろしく伝えてね。」と話しました。父は体調を崩して病院でいろいろ検査をしましたがどこも悪くないということで家で養生しているところでした。母は「何言ってるの!」と怒っていました。

心配した義姉が様子を見にいってくれていました。夕方になって寝てばかりではと椅子に座らせたら、急に意識がなくなり呼吸が停止してしまったそうです。あわてた義姉が救急に連絡を入れ「息は?」と聞かれ「していません。」と義姉。すぐに横にして気道を確保してと、救急隊の人の指導にしたがって、床に寝かせてあごを上にして気道を開いたら息を吹き返した父。病院に運ばれ一通り検査をしましたが、特に悪いところがなくその日のうちに自宅に戻ってきました。

心配した私も実家に父を見舞いにいくと、「もう僕は死んでしまっているので…」と言って食事を食べてくれません。どうも嚥下作用(飲み込む力)が上手く出来なくなってしまったようでした。このままでは衰弱してしまうと思いもう一度病院に連れて行くと、特に悪いところがないのでと別な病院を紹介されました。

庭のカモミール

結局3年ほど前に転んで打った前頭葉に影があり、初期の認知症と診断され、血流が悪く嚥下作用が上手くできなくなったので入院することになりました。

老人専門の病院に入院すると、数日のうちに父はまるっきり別人になってしまいました。穏やかで優しかった父はそこには居なく、目の輝きを失っていつもの父ではない怖い眼をした父がそこにいました。母はショックで泣き崩れましたが、人間の未知なる不思議な力を信じて疑わない私は香りで脳を刺激すればきっと大丈夫!と母を励ましました。

頑張らないけど、諦めない精神で、その日から母と義姉と私で連携してお昼と夜の食事に立ち合い色んなことを話しかけ脳に刺激を与えました。

私は働いていたので夕飯を担当。病院は自宅とは反対方向で駅からも15分ほど歩く場所でしたが、父のことが大好きだったので全く苦にならずにほぼ毎日病院に通いました。

 ・生体機能を活性した精油

以前認知症の初期に良いと聞いたことのあるシダーウッドとティートリーをブレンドして手足を優しくトリートメントしながらいろいろ話しかけるのが日課になりました。

愛用の精油

シダーウッド 
静脈とリンパを強壮し、うっ滞除去に優れ 神経や脳を活性させます。
ティートリー 
心と体を強壮し、意欲や活力をアップさせます。

父は入院中、肺炎を起こしてしまい嚥下作用も上手くできなくなり、イロウの手術を薦められました。イロウは絶対に嫌!と反対だった私と母に、兄と知人の看護師さんは、自分で食べる意思があれば手術をしてからでも口から食べることが出来ること説明をしてくれたので手術をすることになりました。

術後も仕事帰りに毎日病院に通ってトリートメントをしたり、父の好きな山野草のや世界地図の本を持って行って一緒に見て話しかけました。少しずつ父は元のような優しい眼になってきました。あるとき「ここにも塗って!」とおでこを指しました。それからは毎回おでこを集中的にトリートメントしました。

父に「家に帰れるように頑張ろうね。」と言うと「家に帰れるの?僕はここで死んでしまうのかと思っていたよ。もうトイレのしかたも忘れてしまったよ。」と言ったので「大丈夫!教えてあげるから」と励ましました。

そんなとき毎年勉強に行っている「メディカルアロマ」の講座で、ラットにタイムとクローブの精油を与えたところ80歳の脳が20歳に若返ったという実験例を聞きました。どちらも使ったことのない精油だったのですがすぐに購入してテイートリー、シダーウッドに加えタイムとクローブ、ユーカリもブレンドしました。

タイム 
精神を安定させ、不安な気持ちを和らげ、免疫力を強化させます。
クローブ 
精神的、肉体的に強壮します。成分のフェノール類は肝臓に対する毒性もあるので使用は短期間に…また皮膚刺激が強いのでトリートメントするのには注意が必要。
ユーカリ 
肺や気管支の弱い人に…。父は若いときに肺を患ったことがあり、片方の肺の機能が作用していなかったので、この精油もブレンドしました。

ホホバオイルと精油

タイムやクローブはかなり強力な精油なので普通はトリートメントには使いません。パッチテストをして塗ってみました。父は皮膚が丈夫だったようでこのブレンドでも大丈夫でしたが、同じものを母に試してみたら赤くなってしまいました。

約2か月入院していましが無事に退院することが出来ました。介護認定は5という1番重い状態でした。リビングの横の父の部屋に介護ベットともう一つベットを並べ実家に一日おきに泊まっておでこにトリートメント。仕事場が実家から近かったのが何よりでした。

退院時37kgまで体重が落ちてしまって歩くこともままならない状態でしたが、日に日に元気になって退院して10日もすると、ゆっくりですが部屋の中を歩けるようになり、以前と変わらぬ父に戻ってくれました。食事も重湯をやっと食べていたのが、普通食も食べ、新聞も読み、ゆっくりでも日常生活は自分で出来るようになりトイレももちろん出来るようになりました。

劇的な回復に皆びっくりで、母や兄、義姉の愛情などいろいろな要素が重なって快復したのかもしれませんが、アロマの精油の作用が父の生体能力を活性したことも大きな要因だったことも間違いないと私は信じています。また私がこの精油は若返りの精油だよ。と言うと、父はにっこり笑ってすごいね。どんどん若くなるね。と、とても素直に受け入れてくれたことで、より効果的に働いたのだと思います。

 ・血液脳関門

脳の血管は、他の抹消の血管とは違った特殊な構造で、やたらな物質が脳に入り込まないように血液脳関門というシステムがあります。精油の成分の分子はとても小さくそして脂溶性なので、おでこにしたトリートメントは脳の血管に取り込まれたのではないかと思っています。(間違っていたらすみません。) また嗅覚からも香りの情報が大脳辺縁系に取り込まれ、身体のバランスを司る視床下部や下垂体にアプローチしてくれ、色々な機能が回復したのではないかと思います。

あのままあきらめていたら、きっと父は老人病院で何もわからないまま亡くなってしまったのではないかと思っています。

父の優しい笑顔をみるたびにアロマの凄さを感じていました。家族みんなの愛情、植物の力、父の自力で生きようとする努力、諦めずに実行したすべてがプラスになり奇跡が起きたのかもしれません。

父のトリートメントをしていたタイムとクローブは刺激の強い精油だったので、途中から穏やかな作用のローズウッド、プチグレン、グレープフルーツの精油をブレンドして、おでこにトリートメントしました。

ローズウッド 
免疫力を高め感染症や炎症に役立ち、神経を強壮します。
プチグレン 
副交感神経の働きを高めて自律神経のバランスを整えます。
グレープフルーツ 
緊張している気持ちをほぐして楽しくハッピーな気分に…。

タイムとクローブ、テイートリー、ユーカリ、シダーウッドの精油は、無水エタノールと精製水を加えルームスプレーにして引き続き使いました。父はとても気にってくれてあっという間に使いきって何度も作りました。

ルームスプレー作り

12月の半ばに退院したのでお正月もみんなで過ごすことが出来ました。
4人の孫に囲まれて嬉しそうに優しい笑顔の父を見てほっこりしたことを思い出します。

 ・おちゃめな父

少し元気になると行動的な父は1人で外出したいと兄夫婦に交渉していましたが、寒いので暖かくなってからと説得されていました。

2月にしては初夏のような陽気の日、母が2階に行っているすきに、父はこっそり家を抜け出して近くのバス停から駅まで行き電車に乗って本屋さんへ…お世話になっている介護の方のお子さんに絵本を買ったりウィンドウショッピングをして街を散歩していたようです。さすがに力尽きて「迎えに来て」と母に電話をかけたのは家を出てから3時間ほどたってからのこと、母は心配を通り越して怒りに変わり「自力で帰って来なさい」と一喝。父はとぼとぼとタクシーで帰ってきました。

その晩泊りに行った私は「それだけ元気になって良かったじゃん。」と言いましたが母の怒りは収まりません。全く予想がつかないことが起こる日々に老老介護で母もかなり疲れているようでした。

「転んだりしたらまた病院に入院してもう家には戻ってこれなくなっちゃうよ」と言うと父は「わかった。わかった。」と素直に聞いていましたが、子供っぽいおちゃめな性格は年老いても変わらないままだったのでまた脱走を試みるだろう…と思いました。

父の快復は介護施設の方をはじめ周囲のみんなを驚かせていました。
退院時37kgだった父の体重は2か月半で7kgも増えて44kgになっていました。ケアマネさんから「要介護5を2に変更ですね。」と言われ、デイサービスも週2から週4に増やす手続きをしました。(母の負担を減らすため)


 ・父とのお別れ

退院間近の流動食しか食べられなかった時に「退院したら何が食べたい?」と聞くと「お寿司」と言った父に兄が「退院して元気になったら三崎にお寿司を食べに行こうな」と、父は嬉しそうに「まぐろをいっぱいね。」と笑っていました。

食べるのが大好きで大食漢だった父の食欲は以前と変わらずに何でも「美味しい。美味しい。」と言って食べました。入院していたときに、一匙食べさせるのに何十分もかかっていたのが嘘のようです。

兄たちは美味しいまぐろを食べてもらうために三崎に行く計画を立ててくれました。その当日はとても寒かったので近くのお寿司屋さんに予定を変更。午前中に大好きなマラソンの中継をテレビで観てから、兄たちとお寿司屋さんに行きまぐろを3貫食べて(いつもは一人前をペロリと食べてしまうのですが)この日はもういらないと言ったそうです。

家に帰り5分もしないうちに顔色が悪くなり意識が無くなり病院に運ばれました。日曜日だったので孫たちも駆けつけ家族全員が見守りましたが、意識は戻りませんでした。それでも声をかけると心拍数が上がり、みんなの声は父に届いているようでした。翌日の午前3時過ぎに父は静かに息をひきとりました。

元気になっていた父の死はまたまたみんなを驚かせ、たくさんの方がお別れに来てくれました。父は姓名判断をしていたので、たくさんの人の名付け親でした。その方達も訃報を聞き駆けつけてくれました。小さな子から年配の方までみんな父を慕ってくれていました。

父は趣味で絵を描いていて、区の絵画展に15回連続で提出すると賞状と記念品をいただけるのですが、入院中に締め切りだったので残念に思っていたところ、シルバー人材センターの方の温かい計らいで特別に賞状と記念品を持って自宅に来て、亡くなる2週間前に表彰していただけて、父の嬉しそうな写真を姉が撮って送ってくれました。また別な展示会で父の絵を飾ってくれることになっていて不思議なタイミングで父が亡くなった日から荼毘にふされる5日間の間区役所の入口に父の絵が展示されていました。

父の絵

父の絵を斎場に飾りたいというと快く引き受けてくださいました。父の小さな個展もとても好評でした。みんなに見守られて旅立つことのできた父の顔はとても穏やかで幸せそうでした。

父の絵

父が言っていたように本当は半年前に亡くなる予定だったのかもしれません。義姉が助けてくれたおかげで、私は半年間父と母とたくさん一緒の時間を過ごすことができました。この時間は殆ど実家に行っていなかった私にはとても貴重でかけがえのない温かな時間でした。義姉に感謝です。

家族みんなの愛のエネルギーや色々なことが重なって父の生体機能が活性したのだと思いますが、香りで脳を刺激したのも大きな力だと思っています。香りの作用は凄いと改めて実感した日々でした。

 ・リラックスする時間を意識して作る

介護は看る側も看られる側も辛く、終わりが見えない介護は途方に暮れてしまうことも…以前セラピストの方がアドバイスしてくれた言葉に救われました。「リラックスする時間を意識してつくることで、効果的に自分のエネルギーを蓄えることが出来ます。気もエネルギーも使えば消耗します。決して無限にあるものではありません。それを意識してエネルギーを蓄える時間を持つことが自分をコントロールして動くときのためのエネルギーになります。」まずは自分にゆとりを持たなければ思いやりも持てなくなってしまいます。先が見えない介護。自分だけで抱え込まずに親族や行政に頼って、自分の時間を少しでも作ることがとても大事だと思います。

香りは嗅覚からダイレクトに感情をつかさどる大脳辺縁系、視床下部、下垂体、扁桃体へアプローチをして心を穏やかにしてくれます。好きな香りを嗅いで少しでもほっとする時間を持つこともお勧めです。

庭のハーブ達

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