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「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動で

 Aさんが出版ネッツに相談に来たのは昨年10月末。最初は労働局に相談に行ったが、労働局で相談を受けるのは雇用労働者のみ。たまたま相談担当者が出版ネッツのことを知っていて紹介してくれたという。よくぞつながってくれたと思う。相談するという行為は、非常に勇気とエネルギーのいる行為だ。セクハラのようなプライバシーにも関わる問題はなおさらのこと。勇気を出して相談に来てくれたAさんに応え、解決までともに歩もうと心に決めた。

 出版ネッツのトラブル対策チームでは、当初、団体交渉で解決を図ろうと考え、12月と今年2月の2回、交渉をおこなった。しかし、相手方(以下、被告)は威圧的な態度で揚げ足取りに終始するなど交渉が進まず、結局団体交渉はいったん中断した。そして弁護士交渉を試みたが、被告が応じなかったため、裁判をするかどうかを相談した。

 ご承知のとおり、裁判という手段は非常にハードルが高い。まず弁護士費用などお金がかかるし、時間的にも長期戦を覚悟しなければならない。加えて、裁判自体が、加害者側から二次被害を受ける場になることも懸念される。Aさんは、どれほど悩んだことだろう。だが、Aさんは提訴することを選んだ。揺れる気持ちを断ち切り決断したのは「これ以上被害者は生まれてほしくない」との思いだと語っている。

 セクハラ、パワハラ、報酬不払い――フリーランスの多くが、これらの被害体験を持っているのではないだろうか。その意味で、この裁判はAさんの尊厳を回復するものであると同時に、「ハラスメント被害を出さない」社会にしていくための一人ひとりの闘いでもあると思う。「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動でA さんとともに歩むことを呼びかけたい。

 11月6日、Aさんの裁判を「支援する会」が発足する。

 ご協力をお願いいたします。(出版ネッツ/杉村和美)

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