介護をしている全ての人へ#48 ~母の謝罪。

 日記では引っ越しの準備が具体的に進みつつあったことが分かる。状況が少し動くたびに心も揺れていた。引っ越し嫌だったんだろうな…

2019年2月17日(日)母の日記

 薬が効いているのか、夫の思考が少しすっきりしている気がする。
 いつもは、引っ越しの話に興味を示さない夫が、なぜ引っ越すんだ?とかどこに引っ越すんだ?とか少し興味を持っている。今さら、なぜって…腹は立つがいい兆候?
 朝10時から、マンションの内覧2件、どちらも住みやすそう。でも本当は今の家を離れたくない。迷惑をかけて本当にごめんなさい。
 海と新幹線が見える8階の角部屋が気に入ったが、値段は少し高め、どんなところであっても文句を言える立場ではないが、海を遠くに眺めながらベランダで日向ぼっこは気持ちがよさそう。
 長男が、車を買うと言い出した。マンションにもお金がかかるのに大丈夫か…自暴自棄になっているのではないかと少し心配。
 一生懸命働いてくれているから、小さな車くらい買ってもバチは当たらないと思うが…
 明日は、夫の病院、血糖値が200もあれば何もないわけはないが、なるべく軽い病であることを祈る。
 息子は、内覧の後スズキ自動車に。

2019年2月17日(日) 私の日記

 マンションの内覧、2件目の海が見えるマンションが気に入った。値段は少し高め。不動産屋さんに頭金はどれくらい必要なのか聞いてみる。諸経費込みで400万円くらいは用意した方がいいと言われた。痛い。
 貯金は無くもないが、母の治療にいくらかかるかわからない、保険適用外の治療ともなれば、注射1本が60万円にもなる。とはいえ、母を人足長屋のような所に住まわせることはできない…覚悟を決めるか。
 ローンはともかく、管理費や水道光熱費は苦しいだろうが、年金の中から捻出してもらえないだろうか。
 午後はスズキへ、さまざま説明を聞いて、ジムニー キネティックイエローで屋根は黒に決定した。軽自動車で総額250万円とは高い車だ。予約金を50万円。これからマンションのローンも組まなければならないのに大丈夫か…。
 納車は、来年1月の予定、11か月待ち。
 夕食のとき、久しぶりに父と会話、相変わらず自分のことばかり言っているが、会話が成立している。薬が効いているのだろうか。
 寝る前に、母と少し話をした。マンションでの生活のことやジムニーの素晴らしさを語っていたが突然、涙をぽろぽろ流しながら「ごめんね」とひと言。「お母さん、あと何年生きるかわからないけど、一生懸命生きるからね」「もしかしたら、20年くらい生きちゃうかもしれないよ」と言ってくれた。
 鼻の奥がツーンとして、靴下の穴から顔を出していた足の爪を見たまま、何も言えなかった。
 言葉の仕事をしているのに、母の精一杯の言葉を受けても何も言えないとは情けない。あと20年でも30年でも元気でいてもらいたいと切に思う。
明日は、父の検査。
 

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