介護をしている全ての人へ#62 ~ 父、認知症に抗う

 この日の母の日記から、父が自分の認知症の進行に抗っていたことがわかる。後日分ったのだが、インスリンを認知症の薬と勘違いしていたらしい。誰だってボケたくないし、がんなんて病気とは無縁に暮らしたいにきまっている。当時の自分は、現実から少しでも遠ざかろうとしていた。そして、父に対しては負の感情しか持ち合わせていなかったのかもしれない。

2019年3月3日(日) 母の日記

 今日は、桃の節句。贅沢な具ではないけどちらし寿司をつくった。考えてみたら昨日の夜もお寿司だった。好きだし、美味しいし誰も文句を言わないからからいいか?
 昨日少し良くなったと思った膝が少し腫れている。がんが飛んでいないことを祈る。3月8日にがんセンター受診なので話をしてみる。
 明日は、整形外科……外出するときは全部病院、凹む。
 長男がスーパー銭湯に連れて行ってくれた。大きいお風呂にゆったり使って気持ちが晴れる。体も少し軽くなった。ありがとう。
 夜、長男が予約した車のカタログを見せてもらった。黄色くてかわいらしいけど、おじさんが乗るには少し派手すぎ?
 家に戻ると、夫がインスリンのセットをとっ散らかしていた。自分でやってみようとして訳が分からなくなってしまったらしい。消毒用のアルコール綿がいくつもテーブルと床に落ちていた。落ち込んでいる様子。
 このあと、どんどん症状が進んでいくだろう、私や息子たちの顔も忘れてしまうのかと思うと寂しい。

2019年3月3日(日) 私の日記

 朝5時起床、リュックサックに行動食や飲料を詰め込んで出発。登山というほどの山ではないが、5時半前に出発。
 Mちゃんを自宅前で拾って登山の起点の県立図書館の駐車場に駐車(7時ごろ)。平沢観音経由で日本平山頂へ。朝の空気は冷たくて気持ちがいい。 
 登山靴に慣れていない Mちゃんは、8km程度の軽い山道でもかなりきつそう。次は友達も誘ってくるとのこと。いつも独行なので、一緒に歩いてくれる人がいると楽しい。
 小学校のころの担任教師の悪口を言ったり、いままでに登った山のことを話しながら往復4時間ほどのハイキング。
 もっと達成感のある山を案内できたら楽しいだろうな。
ガストで昼ご飯を食べて解散。
 3時ごろ帰宅すると、母の調子が少し悪そう。左足が浮腫んで冷える由、一緒にスーパー銭湯へ。からだがポカポカして気持ちがいいと言ってくれた。少し気分も晴れてくれたか?
 最近は、ウィックをつけたままサウナまで入る。脱毛ショックも少し和らいできた様子。
 足が浮腫んでいるのは、がんが足に飛んでしまったのだろうか……歳のせいだと思いたい。
 ジムニーのカタログを母がペラペラめくっていたので、キネティックイエローを注文したというと、「ちょっと派手じゃない?」と引き気味。白にすればよかったか……
 

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