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好きな人と「好き」を共有する

来ましたね、春の連続投稿チャレンジ企画!
せっかくなので何か書こうとお題一覧を眺め、まず目に止まったのは、

初めて買ったCD

もはやCDという媒体自体が懐かしい。もう10年以上買ってないかもしれない。最初に買ったのも正直かなり記憶が怪しい。ぱっと思い出せなかったけど、記憶を辿って辿るうちに、色々と蘇ってきた。今日はそんなむかしのお話。

そもそも自分は一番多感な学生時代、音楽を聴くということに興味がなかった。それはやはり環境が大きかったかもしれない。

実家では音楽代わりにテレビがいつも付いていて、バラエティかワイドショーが垂れ流されていたし、親はCDをシーデーというタイプの人種だった。

通っていた学校は中高一貫の男子校で、
『部活はバスケかサッカーで、文化祭ではバンドやったり、学校帰りには女の子と楽しそうにしている陽キャグループ』
ではない方に所属していた。

音楽聞いて浮かれてる暇があったら勉強すべきだし、生きるのに音楽とか趣味とか不要だと本気で思っていた。

そんな自分が音楽に触れたのは、ベタだけど大学に入って初めて付き合った彼女さんの影響だった。

彼女は槇原敬之と玉置浩二を愛する18歳で、自分の知らない世界を沢山知っていた。

同じように勉強して同じ大学に入ってきたはずなのに、それまで辿ってきた人生や経験の厚みが全く違っていた。

それまで誰とも付き合ったこともなく、勉強とテニスだけで生きてきた自分。

何人かお付き合いをして、勉強やスポーツだけじゃなく、ボランティア活動もしていて色んな世界を知っていた彼女。

周りに興味がなくて、感情を上手く表せない自分。

芯があって、自分の気持ちをハッキリと言える彼女。

沢山のことを教えてくれたけど、そのうちの一つが音楽だった。

「お互いに好きな曲を交換しよう」

大学の食堂で突然好きな曲と言われ、音楽なんて知らない、なんてカッコ悪くて言えない。
とりあえず知っていた「ミスチルが好き」と答え、あわてて買いに行ったのがMr.Childrenの『BOLERO』だった。
これが、初めて買ったCD。

ほどなくして買ったばかりのCDを、俺のイチオシだぜ、とばかりに彼女へ渡し、代わりに槇原敬之のアルバムを借りた。

彼女から借りたCDには四つ折りのルーズリーフが挟まっていた。
そこにはビッシリとかわいい文字で曲の紹介と彼女の推しポイント、槇原敬之への愛が書かれていた。そして同時にそんな大好きな槇原敬之を、自分にも好きになってほしい、と書かれていた。

好きな人から、その人の好きなものを紹介してもらって、一緒に好きな気持ちを共有する、ということがこんなにも嬉しい、ということをその時教えてもらった。

そこからMr.Childrenのことも一生懸命聴いたし、好きな曲、好きなアーティストが増え、彼女にもその好きな気持ちをたくさん共有した。

3年ほどでその子とはお別れしてしまったけれど、それまでの色味の少ない人生に、様々な彩りが添えられた素敵な時間だった。

それから20年ほど経って忘れてしまっていたこの気持ちを、本当に春風のように優しく思い出させてくれたお題でした。



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