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書かなきゃダメ

 月・火曜は学校教育話です。今回は、私の行った鬼畜の様な指導について書きます。
 令和5年度まで、光村図書の2年生の教科書には「すてきなところをつたえよう」という教材がありました。学級の仲間の「すてきな点」などを見つけ、手紙にして渡そう…と言う内容です。
 これ、子供たちに任せると大変な事になると予想されます。
 まず間違いなく、友達の多い子に手紙が集中します。その一方、友達の少ない子は1通の手紙ももらえない可能性が高い…と言う予想です。
 その様な悲劇を避けるため、令和5年度の実践では、1人3通の手紙を書く事にしました。自分の書きたい相手に1通、くじ引きで決まった相手2人に1通ずつ…の合計3通です。
 書く時間は3コマ取りました。取材と下書きに1コマ、実際に書く時間を2コマです。この時間設定で、大半の子は3通書き終える事ができました。
 しかし、それでも書き終わらない子が何名かいたのです。授業中にちょろちょろしている子だったり、場面緘黙気味の子だったりする子です。
 もちろん、放っておいたら書き終わらないと予想していたので、予め教卓に呼んで直接指導しました…2、3名は。その様な指導中に「大丈夫」と言っていた子や、手伝ってほしい事を言いに来られない子が、最終的に残ってしまった訳です。
 ちょうど体育館が割り当てられている昼休み、書き終わってない子たちを教卓に呼びつけました。書き終わるまで遊びには行けないという、鬼指導の開始です。
 ちょろちょろの子が、「何を書いたらイイか分からない」と言いました。「1年間も一緒にいたんだから、何か思い出せよ~!」と心の中で思いましたが、叱らずに指導記録用ノートを確認です。ちょろちょろの子が担当している子について、私が記録してある事を伝えました…が、まだ手を動かそうとしません。
 その内、涙ぐみながら「どう書いたらイイか分からない」と言いました。「書く内容は列挙されているんだから、それをまとめて文にしろよ~!」と心の中で思いましたが、叱らずに私の方で文にまとめてあげました。それを書き写す様に言うと、ぐすぐすと半べそをかきながら書いていきます。
 場面緘黙の子も手が止まっているので、その子が書いた下書きメモを見ながら、私の方で文にまとめてあげました。この子も、泣きながら書き写していきます。
 教卓の前で泣きながら手紙を書く子が2人…担任の私は時々指導しますが、基本的に黙って見ているだけです。
 ホント、鬼の指導です。この様子を見た方からは、間違いなく「酷い指導をしている先生だ」と思われた事でしょう。
 でも、何とか書き終えた子供たち。
 もちろん、「よく頑張ったね」とか「偉かったよ」と褒めました…が、無情にも昼休み終了のチャイムが鳴りました。結局、この子たちは体育館遊びをする事が出来なかった訳です。
 可哀想だったな…とは思います。
 でも、この指導は後悔していません。
 手紙をもらえなかった子を出したくなかったですし、時には、こう言う厳しい指導も必要と思うからです。

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