猿と桜
当地は本日、寒くて霧雨の降るような天候だったが、せっかく花が咲いたらしいので、近所のローカルな桜の名所に行くことにした。
ここは数キロの長さの遊歩道になっていて、例年ならこの時期、屋台など出てかなり賑やかなのだが、さすがに平日のこの天候だと、ひっそりとして行きかう人も少ない。
もちろん、雨の花見もそれはそれで風情があってよかったのだが、肝心の桜が、どうも去年の夏あたりに大掛かりな剪定をされたようで、今年は枝の少なくなった分、花も少ない。
桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿といって、桜の剪定は難しいらしい。
放ったらかしがいいというわけではないが、役所のやることだからといって信用していると、最近は頓珍漢なことも多いので、せっかくの桜並木をダメにしてしまわないことを祈るばかりだ。
さて、遊歩道の終点は、わりと大きな公園になっている。
高校時代は毎朝ここを自転車で走り抜けて、通学していた。
せっかくだから、久々に一回りしてみることにした。
最後に中に入ったのは、同窓会の流れでここで友人の子供たちと遊んで以来だから30年以上前だ。
時々外から見ることはあったが、久々に歩くと、細かいところが色々と記憶と違っていることに気がつく。
そういえば確かここの一角に、まぁまぁ大きな猿の檻があったのだ。
なぜだか知らないが2〜3頭の日本猿が飼われていて、こいつらが毛が抜けていたり、汚れていたりして、どうにもみすぼらしい。
ちゃんと世話されているのかと、見ていて心配なくらいだった。
あれはどういう由来でここにいて、誰が世話をしていたのだろうか?
記憶を辿って檻のあった場所に行ってみたが、とっくの昔に撤去されたのだろう、その後に作られたと思しき建物が、すでに古びた味を出していた。
あの猿は最後にどうなったのだろう。
30年前にはなかった洒落たカフェでコヒーを啜りながら考えた。
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