ある男の魂の彷徨(伊勢正三とともに)まとめ

6回に渡って、伊勢正三というミュージシャンが産み出した数多の作品の中から数曲を取り出して「ある男の魂の彷徨」とも言うべき物語を描いてみました。もちろん私個人の遊びでありますので、解釈がちょっと違うなどのご感想をお持ちの方もいらっしゃると思いますが、そこは大目に見ていただければ幸いです。また、この記事をキッカケに伊勢正三というミュージシャンの事を知り、ファンになったという方がいらっしゃれば無上の喜びです。

とりあえずまとめておきます。

「君と歩いた青春」

1976年風のサードアルバム「WINDLESS BLUE」収録

「少しだけの荷物」

1976年風のサードアルバム「WINDLESS BLUE」収録

「なごり雪」

1974年かぐや姫サードアルバム「三階建の詩」収録

「時の流れ」

1976年風セカンドアルバム「時は流れて…」収録

「北国列車」

1976年風セカンドアルバム「時は流れて…」収録

「夜汽車は南へ」

1977年5枚目シングル

この6曲のうち半分の3曲が汽車を舞台とした作品でした。伊勢正三というミュージシャンの原風景の一つに汽車という存在があるのでしょう。それは正やんの世代と出身地が影響を及ぼしているかもしれません。正やんは大分県出身ですし、ちょうど大学進学で上京する時は夜行列車だったのかなって思います。東海道新幹線は開業したばかりの年代ですしね。私も子どもの頃、母の実家がある九州へ行くとき、夜行の寝台車に乗った記憶があります。夜を走り抜ける列車は独特の旅愁というか郷愁があるんですよね。多感な年頃だった正やんには鮮烈な記憶が残ったのでしょう。そのお陰で汽車にまつわる名曲の数々が生まれたというところでしょうか。現在のように東京大阪間を2時間半で走られると旅愁を感じる暇もありません。現在においては果たして「なごり雪」などが生まれるか疑問ですよね。やはり、歌は世につれ世は歌につれ、の言葉通りですね。

さて、この男は無事に故郷へ帰れたのでしょうか?そして、彼女とは再会できたのでしょうか?後日譚が気になりますし、私の中では後日譚に相当する曲も浮かんでいるのですが、それは野暮かもしれません。やはり「夜汽車は南へ」での魂の再生の段階で留めておく事がいいかもしれません。


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