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【新作小説】『君を守りたい』③ムコはつらいよ!

アスカの父猛と風見志朗の死闘の後、アスカと志朗は身内だけで結婚式を挙げた。

志朗は、ライダー俳優として人気上昇中だったが、あっさりと引退した。事務所とは、交渉の上円満退所した。

猛の弟、一文字隼太が、志朗の代理人として多額の和解金を用意したため退所交渉はスムーズだった。

それと、結婚後、志朗とアスカは、タワーマンション最上階、猛と映見夫婦の下の階の一室に引越した。

更に風見志朗の母、はるかも志朗と同じ階の部屋に引越て来た。母同士、会った初日から意気投合して昔からの親友のように仲良くなった。引越翌朝、はるかの部屋のドアが開く。

志朗「あっ、母さんおはよう! よく寝れた?」

ジムに行こうとしていた志朗と母がバッタリ会った。

はるか「ああ、志朗おはよう、すごく快適だった、家具も家電も全部新しくて、なんだか魔法みたい」

志朗「あれっ、母さんどこかに行くの?」

はるか「うん、映見さんと京都温泉旅行」

映見「あっ、はるかさん、志朗くん、おはよう」とタイミングよく映見が乗ったエレベーターが開いた。

はるか「映見さんおはようございます」

映見「おはようございます」

「もぉーはるかさんたら、ございますなんて」「まっ、でも今日から旅行で、その垣根を取っ払っちゃいますからね」

「何かお父さんと志朗君がすっかり仲良くなって、悔しくて、でも、はるかさんが気が合う人で、うれしくて」

「あっ、はるかさん、駐車場で運転手さんを待たせてるの、いきましょう」

はるか「はい、それじゃ志朗行ってくるね」

志朗「うん、楽しんできて、映見さんよろしくお願いします」

映見「了解!行ってきまーす」

二人の旅行中、影と呼ばれる護衛が付かず離れず常にそばにいる。元SPが、演劇の訓練を受けて任務についている。

母親達が出かけた後、志朗はジムに向かった。ジムに着くなりランニング10K、筋トレ1時間、総合格闘技のトレーナーの下で1時間特訓した。休憩中、猛が様子を見に来ていた。猛は密かに燃えていた。

猛「志朗、俺と一戦どうだ?」

志朗「はい、お願いします」

志朗は、少し緊張していた。

トレーナー立会いの下、道場で二人が向き合った。猛から強烈な闘気が湯気となって体を包んだ。「始め!」トレーナーが合図した。

二人は少しの間相手の出方を待った。

志朗が、懐に飛び込むと、猛の膝蹴りを食らう寸前で、右腕で払った。志朗がすかさず後ろ回し蹴りに転じると、猛は既に距離を取っていた。

志朗が体制を整え、タイ式キックボクシングのようにパンチとキックを素早く連発したが、猛はすべてを受け身でかわしながら、志朗の一瞬の隙をついて、背後にまわり胴をがっちりつかんでバックドロップに持ち込んだ。志朗は後頭部から落ちて意識が遠のいた。猛は直ぐに志朗に喝を入れ、意識を戻した。

猛「志朗、大丈夫か?」

志朗「はい、参りました」

「デビューにはまだ時間がかかりそうだな」猛の言うデビューとは、犯罪撲滅活動のことだ。

「そうだ、今度ハワイに行こう」

「ハワイには、FBIと軍隊の実践訓練施設があって私たちも特別に利用出来るのだ」

「映見たちが帰ってきたら1か月位行こうか、どうだ?」

志朗「はぁ、もしかして、実弾なんかも撃てたりするのですか?」

猛「勿論だよ、なんせ相手は何をするかわからない、テロリストの場合もあるからね」

「犯罪心理や爆発物処理、情報処理などのスキルも身につけなきゃな」

志朗は何となく覚悟はしていたものの、言葉で聞くと実感が湧いてきて、恐怖心が身体を支配しそうだった。

志朗は、プールで今日鍛えていない筋肉をほぐすことにした。

猛は、サウナで整えて部屋で休むことにした。

次の日、志朗とアスカは、タワマンと接続しているショッピングモールで買い物を楽しんだ。まだ、マスコミが張り込んでいたが、影が処理したようだ。

志朗は、その後数日で移動のスピード、ジャンプ力、腕力が格段に高まった。

あとは、実践に繋がる原理の習得だった。

家族には、ハワイへ新婚旅行という名目で、猛夫婦、志朗母、志朗夫婦、家政婦の美田さんが1か月滞在予定でハワイへ行くことになった。

つづく







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