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たゆたう


長濱ねるちゃんのエッセイ「たゆたう」を半年ほど前にも一度読んだけれど、最近もう一度読み返している。

もともと長濱ねるちゃんのことはアイドル時代から、同い歳でめちゃくちゃ可愛い子がいる!と思って歌番組などに出ていると注目していた。

でもブログなどを読んだことはなく、ねるちゃんの内面については知ることがなかった。そんな可愛くて大好きなねるちゃんの頭の中を知ることが出来るなんて!と、ワクワクしながら購入した。

読んだ感想として率直に思ったのは、
「こんなに可愛い子でも生きづらいんだなあ」
だった。

自分の中身にも外見にもコンプレックスだらけで悩みながら生きている私と違って、外見が本当にかわいらしいねるちゃんなら、人生イージーモードではないかと勝手に思い込んでしまっていたらしい。

このエッセイを読んで、ねるちゃんのようなかわいい女の子でも生きづらく、もがきながら懸命に生きていると知り、その考え(外見がいい人は人生が楽ということ)が変わったとともに、それには私の無意識のうちのルッキズム的な思考や偏見が含まれていると気づいて反省した。

とともに、ねるちゃんがこんなにも一生懸命自分や他人と向き合いながら生きているのだから、私も頑張って生きていこう、と思えた。そんな希望を持てるエッセイだった。


毎日縁側に座って手の皺を数えたり、都道府県を思い出したりしているねるちゃんの人生の憧れでもあるおばあちゃんを東京に呼び、歌舞伎に連れて行ってあげた話は、同い歳なのに祖母孝行をしてあげているねるちゃんを素直に偉いと思ったし、私も田舎のおばあちゃんに会いたくなった。

誕生日に日付が変わってすぐに誰からも連絡が来ないことを寂しく思い、少しして父親からおめでとうと連絡が来てホームシックになりボロボロと泣いて(次の日目が腫れない泣き方を知っているねるちゃんは、今までに何度も泣き明かして夜を越えて来たのだろう)、翌日仕事場でたくさん祝われて自分の存在を肯定して貰えた気持ちになったというところにはすごく共感した。私も誕生日を祝われる度、「私って生きていていいんだ」と思う。
度々出てくる五島列島や長崎についての文章からは、ねるちゃんの故郷を大切にしている気持ちが伝わってくる。


自分が何者になりたいのか、何をしたいのか、どう生きていきたいのか悩んでいる、というところは、今の私の悩みと共通していて、20代にはよくある悩みなのだなと思った。


読書家なだけあって表現が綺麗で、読みやすいエッセイだった。私もこんな文章が書けるようになりたい。エッセイを読んで、より一層私にとって長濱ねるちゃんは憧れの存在となった。

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