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ばえない反抗の美

輪島、彦十蒔絵さんのチャリティイベントに参加してまいりました。【私たちは本当に幸せ者です。】 輪島の彦十蒔絵さんよりメッセージ。 「4月6日のイベントは仕事の仲間たちが企画してくださったもの」と https://hikoju-makie.com/event/ev|美恩 (note.com)  写真右が、棟梁こと代表、若宮隆志氏、左は雑誌『和楽』の編集長も務めていらっしゃったセバスチャン高木氏。
折々の展覧会で作品を拝見してから、気が付けばこのような場にも居合わせている自分が不思議。そもそものお話しは、こちらにしたためております。「見立て」のもたらすもの|美恩 (note.com)

とてもとても興味深く面白いトークでした。やはり、作品から醸し出されるただ者でないムードは、この方からきているんだ、とニヤけてしまいました。ふふふ、初めて作品を観た時のビビビと痺れた感覚は、間違っていなかった、とムッツリなんとかのような孤独な腹落ちをしながら拝聴。。。
今回初めて知ったのは、若宮氏は作家ではなく、コンセプトの方なのだ、ということ。実際に作品を製作しているのは、お若い方々を含む、凄腕の集団です。あの、作品の凝った意匠は、若宮棟梁の深い知識と感性と、海外を含めた幅広い経験、そしてひねりの効いた思考回路から発生しているのです。ありあまる知性やセンスを背景に、「他者の作品を通して自身の中身を伝える」という、非常に洒落気の高い活動をされています。

「わかりにくさ」の醍醐味について語る

合理性への反抗・刹那的な”ばえる”ことへの疑問・背景を推して知る知的な遊びなど、トピックスは非常に魅力的で、ああ~、本当はもっとずっと内容は濃くて深いんだな、と感じるたったの30分間。
氏は「役に立たないモノ」と仰っていましたが、つまり作品群は、用の美以前の、日本人に備わっている精神性の象徴であるのだとわかりました。
例えば漆器は見た目も美しく殺菌性も高く、軽くて実用的ですが、それ以前に「生きていくための食物」を大切な木材とコーティングした器でいただく謙虚な意味が、先にあった。だから、工芸品ではなく作品制作をされているのです。
さらに、輪島塗りに特化しているというわけではなく、縄文時代から続く漆の膨大な日本技術を研究し、それを適宜に、それぞれ得意な職人に任せるのだそうです。なんと、贅沢で強力なチームが背後に控えていることか。

ボーイフレンドではなく、ビューティフルフーリッシュ

話題に上る固有名詞や単語だけでもいろいろ話が続きそうな、大人なセッションでした。上記写真の"BF"は、岡倉天心の『茶の本 The Book of Tea』に出てくる"Beautiful Foolish"。美しいだけでは未熟、そこに愚かしさを含める深さの重要性、についてのシーンです。いや~、もっと聞きたし。

会後半は、彦十さんが装飾した三味線のライブがありまして、もしかしたらそちらの動員の方がメインだったのかな、という初日でしたが、そんなことはどうでもいい。わたくしのムッツリしたほくそ笑みは帰宅の電車の中でも続き、何とも幸せな時間でございました。

ご興味が湧かれた方は、下記よりこのお二人の対談番組をお聞きいただけます。わたくしもこれから聴くのが楽しみです。
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