1970年代、ツッパリという言葉が流行っていた。

高校3年生の私

席替えで後ろになったのは

テストの順位表で
10位以内に名前があり、覚えていた彼。

髪を丁寧に整え
流行りの学ラン姿
見た目は清潔な不良

定期テストが近づいて来たある日

「テストの日、早く帰れてラッキー！」
と彼は言った。

「ラッキー？」

普段、授業をきちんと聞いてたら
特別な勉強は必要ない、が彼の持論。

ほぉ〜

納得した。

ただ、今まで
授業中、たまに手紙を書いていた私は
テストに向け必死に
ならないとマズイ。

「数学、わからないの」

と言うと、家に来て
教えてくれると言う。

来たのはテスト前日

彼の説明に
「わからない」と言う私に

「これ、これとこれ、丸ごと覚えて」
何問かを暗記する様に言った。

結果

おかげで70点、高校初！

母も喜んでいた。

家に来た日

彼は
一言も
「わからんちん」を責めなかった。

心地よい時間が流れていた。

そして
二人で勉強した、こたつのテーブルの上に
立方体のサイコロキャラメルがあった。