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99歳、独身のおばぁさんを施設で看取ります。

私は、介護現場で働く介護士です。 

99歳、大正生まれ、独居のおばぁさんが緊急入所されました。 食事も取れずほぼ看取り状態。 

アセスメントには独身。元小料理屋をやっていて、趣味が庭の手入れとおしゃれをすることと書かれいました。 それ以外は無し、で身元保証人はとある身元支援団体となっています。

ひょとして結婚してて、子供もいたかもしれません。 が、この時点においてはこの情報のみ。  

長い人生を駆け抜け、やっと終焉を迎え、何がまぶたに浮かぶのでしょうか?  

生まれ年は、私の亡くなった祖母と同じだったので、ふと思いが巡りました。

大正生まれ、この時代は男子が戦争に行って死んだので女性が沢山余っていて結婚相手が見つからなかったそうです。  

私の死んだ祖母もそうだったのか、親子程年が離れた祖父と結婚し、継子(私の父)への愛情が薄れるということで子供は作らなかったそうです。  

明治生まれの祖父は、当時の戦争という不遇の時代に早くに妻や実子二人を無くし、末息子の私の父親がひとり生き残ったのです。 

戦争から帰還した祖父は一代で商売で少しの財をなし、会社に事務員で雇われたのが祖母だったのです。 

祖父と結婚した時は祖母の家族は大喜び、仕事も無い時代だったので祖母の兄弟もやっと仕事にありつけ家族を支えれたようです。

話を戻し、このおばぁさんは、今まで、なんとか独居で生活出来ていたようで、主治医の往診・訪問介護も看護も入っていたようです。

これから介護施設の看取りが当たり前になります。

この方の場合、独居になった時点でひとりが不安なら施設入所という選択肢もありますが、お金の問題、共同生活への不安もあります。 独身だからきっと共同生活は無理なのではと思います。 

自分の家が好き、庭木の手入れが生きがい、ペットがいるとか家で最期まで頑張ることは出来ます。

私の隣人の青山さん86歳♀は、お金もない、施設も嫌、家で死ぬので、もし数日、音さが無くてもそのままにして欲しい。とのことで玄関に遺書として置いてあります。 もちろん遠く離れた息子さんにも伝えてあります。

私は青山さんと親子同然の付き合いをしているので、この意志を尊重します。 

もし、その時が来たら、私はまずは、長男さんに連絡を取り指示を仰ぎます。 

もし、なんらかの間違いで緊急搬送され、点滴に繋がれながら延命されたら、きっと本人は涙ながらに ”なんで死なせてくれないの” と叫ぶと思います。 

それは、あまりにも可哀想です。

自分の死に方は自分で選びたいですよね。

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