心身育成学:WIZ-DOG

イヌのココロやカラダは、仔イヌの成長期に形作られます。WIZ-DOGは、ココロとカラダ…

心身育成学:WIZ-DOG

イヌのココロやカラダは、仔イヌの成長期に形作られます。WIZ-DOGは、ココロとカラダが健康なイヌを育てるべく、仔イヌの育成方法について追究してまいります。

最近の記事

5.自由を奪わない

矯角殺牛:「角を矯めて牛を殺す」という故事成語があります。つまらない細部の欠点を治そうとして、全体の価値を大きく損なうことです。 ヒトでもイヌでも、我流の「しつけ」で子どもがあるいは愛犬がおかしくなってしまうことはよくあることです。特に「罰を使うしつけ」ではこのリスクが高くなります。 イヌにも奪ってはならない「自由」があります。物理的な身体の自由もさることながら、精神的な思考、想像の自由も含まれます。傲慢な「ヒト」による押しつけのしつけは、そのイヌの「自由」を奪う危険性が

    • 4.NOを教える、NOで教えない

      いつも仏頂面の私に「イヌに笑顔で接する」ことの大切さを教えてくれたのは、日本盲導犬協会の訓練士多和田悟氏です。今回の記事は、その多和田氏が教えてくれたもうひとつの大切なコト「NOを教える、NOで教えない」について書きます。 この2つの「NO」は意味が違います。「NOを教える」の「NO」は「やってはいけないこと」、「NOで教えない」の「NO」は「否定すること(叱ること)」です。 「NOを教えるためにはNOを使わないとできないでしょ?」 多くの人はそう考えます。つまり、「叱ら

      • 3.ブリーダーの責任 その2

        前回、妊娠中に母イヌが受けるストレスが仔イヌの成長に影響する可能性について書きました。もちろん、妊娠時の母イヌが受けるストレスの質や量によって、生まれた仔イヌのカラダの中の生理活性物質の質や量などが変わることは大いにありうると思いますけれども、生後すぐの、仔イヌの知覚や感情、意識が芽生え始めた(であろう)時の環境の方が、その後の成長にはより大きな影響を与えているように感じているのは私だけでしょうか。 アカゲザルを使った非常に有名な実験があります。 「アカゲザルの仔は生後間も

        • 2.ブリーダーの責任

          イヌも千差万別です、まちがいなく。ヒトとイヌはその知覚世界が大きく異なります。しかし、ヒトもヒトによって世界が大きく異なるように、イヌもイヌによってその世界が大きく異なることはまちがいないでしょう。 その個体差の遠因が、成長後の生活環境のみならず、胎仔期の胎内環境や出産直後の母親のケアなどにもあることが明らかになってきています。 「この2M(子宮内で両隣がオスの場合)と0M(どちらの隣にもオスがいない場合)の違いはそのまま成長後の雄特有の行動発現にも影響を与えるようで、2

        5.自由を奪わない

          1.心から笑顔で褒める

          私は、イヌとの関係づくりで使われる「しつけ」とか「オビディエンス(服従)」といったワードが好きではありません。これらの言葉には社会的優劣が潜在しているからです。 今から120年前の1903年にウィーンで生まれたコンラート・ローレンツ(Konrad Lorenz)は、ヒナ鳥の「刷り込み」現象発見の一翼を担い、ノーベル生理学・医学賞を授けられた生物学者のひとりです。彼は、著書「人イヌにあう 小原秀雄訳 早川書房 2009年」で、イヌの訓練についても触れています。内容は目を覆いた

          1.心から笑顔で褒める