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《父の登場》チェンバロ協奏曲第1番 BWV1052

J.S.バッハ チェンバロ協奏曲第1番 ニ短調 BWV1052

ここはどこだ?
暗い大広間?
どこからともなく足音が
ズシズシと重く響く
誰だ!
そうだ(音楽の)父だ
父の足音だ
影、大きな影も見えてきた
父が
父がやってきた
そうだ

父の登場だ


そして、チェンバロの前に座る
華麗に弾き始める
いつの間にかオーケストラも揃い
演奏を始める
荘厳な演奏会が始まる
チェンバロの響きがとても重い
なんだか苦しいくらいきっちりしている
シリアスに音を自在に操る父
美しく、しなやかに
演奏会は静かに盛り上がる
この大広間の音は全て父が支配している
創り上げているのだ
暗い蝋燭しかなくとも

音符が光に変わる


演奏こそが光なのだ
なんという眩しさか
チェンバロ独奏ほど美しいものはない

ああ!
演奏も無限ではない
終わりが聴こえてくる
大バッハよ、チェンバロの演奏を止めないでくれ
光が小くなる
いよいよ演奏会が終わる
チェンバロが描いた音符の光は小さく漂う
余韻にひたり
父がチェンバロから離れる

そして演奏会は終わる



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