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明日の種をまく 059_20231107

夫の出番

昨日、実家の母と喧嘩した。
正確には母の怒りに私が巻き込まれた形だ。
そこまでははっきりいって母のせいである。

実はこの後、さらに喧嘩は悪化する。
なんと1年に1回電話をかけてくるかこないかの父が電話をかけてきた。
「うぉんのすけ、母さんになんか言ったか。さっきから泣いて泣いて。うぉんのすけのところに行かんと言い出して」

ほーら、来たっ!
私の瞬間湯沸かし器が笛を吹いた。
ご存じのとおり(?)私の沸点は異常に低い。
次の瞬間から父に「はぁ?悪いけど、こっちは被害者です」とくってかかった。


さて、ここで一度クールダウン。
説明しよう!

そもそも、父は何のために私に電話をかけてきたのか。
アンガーマネージメント(6秒待つ)を失敗した私は、要件を聞くことなく、父を責めたてた。
私がいかに理不尽な怒られた方をしたのか、どうしてイベント前になると母はこうなるのか。せっかく旅行を楽しみにして待っていた娘の気持ちがあんたに分かるかと怒涛のごとく怒りの矢を放った。

「もう来んでいいけんっ!」

あー言っちゃった・・・
言ってはいけない一言を・・・
最後にそれだけは我慢しなければならなかったのに・・・


父との電話を切ってすぐに、今度はまた母から電話がかかってきた。
これは絶対に出たらいけんやつだ。

ずーっとコールされる電話をじーっと見つめて、私は出なかった。
出たら終わりや。

売り言葉に買い言葉。

母が「わかった、今回は行かん」と言ったらもうおしまいや。


私は洗い物を続けた。
食器を洗いながら、次の手を考えた。

喧嘩を終わらせたい。
旅行に来てもらいたい。
謝るのはしゃくだけど、頭は下げんと治まらんかもしれん。


夫は私が声を荒げて電話をしているのを黙って見守っていた。
私は夫に事情(母と電話で喧嘩をしたこと)を話していなかった。
それでも10年も一緒にいたら、だいたい何が起こっているのかは想像できたであろう。
ギターをボロンボロンと弾いている夫のところに行き「ねぇちょっとお願いがあるんだけど」と声をかけた。
夫は「さっきから俺のところにお母さんから何回も電話入ってるよ」と言った。
夫もわかってる。これ、とったらいかんやつだと。
「悪いけど、お父さんに電話かけてくれる?一言、待ってます、って言ってくれる?」

ここで、お母さんに電話をかけないのがポイントだ。
お母さんは今日はまだ話をせん方がいい。
まずはお父さんに「うぉんのすけは待っている」ということを伝えてもらうのが一番だ。


父と夫、男どうしの会話が始まる。
二人が共通して話すこと、それは「お母さんとうぉんのすけはそっくりですな」という話。
お互いに怒ってしまって今日はもうどうにもなりません。
ですがお父さん、僕たちは待っていますよ~
うぉんばっとくん、わかっとる。行くけんな~
温厚な性格の二人の会話はいたって穏やかだ。
「ところでうぉんばっとくん、ぼく今回初めて飛行機乗るんやけど、荷物とかってどうしたらいいんかいな?」
具体的な旅行の相談が始まった。
「お父さん、それはこうしてああして。大丈夫です。はいっ、はいっ、そうです。大丈夫、そうです」
うぉんばっとくんが楽しそうに父と話をしている。
私もだんだん落ち着きを取り戻してきた。


落ち着いたら、父がなぜ電話をかけてきたのか、見えてきた。
たぶん、こういうことだったのだろう。

母は3日の七五三の祝で思うように動けず、弟や義妹、その両親に対して、気を遣いすぎの結果、イライラがMAXに達していた。
ただ「お母さん、大変だったね。頑張ったね。お母さんが一人で必死に頑張ってる姿、わかっとったよ。目に見えるわー。よー頑張ったな」と頑張りを私に褒めてほしかっただけだった。
その頑張りを伝えるためには、相手がいかに悪かったかを強調せざるを得ず、その「相手を下げて自分を上げる」話に私が上手に乗ってあげることができなかったことに、ガッカリするどころか怒りも覚えてしまったということだ。

うぉんのすけまで自分を見下して、もう我慢ならん!と憤慨した母は、今週末に控える旅行が楽しめるかどうかが心配になってきた。
さっきうぉんのすけに怒ってしまった手前、頼ることもできない。
飛行機どうやって乗るんだっけ?
だいたい、どうして私ばかりが旅行の心配もしなくちゃならないのっ!
お父さん!あんたがしっかりせーへんからや。
旅行の段取りぐらい、あんたがやんなさいな。いっつも私ばっかり頼って!
おとーさんっ!ちょっと!おとーさんっ!!

急に怒りの矛先が自分に来て驚いた父。
これはなんとかしなければと、うぉんのすけに電話をかけることにした。
僕が旅行の段取りをすれば母さんはちょっとは落ち着くだろう。
うぉんのすけ、おーい、うぉんのすけ!

「どうしたの?」
「いや、母さんが(パニックになって)怒っとる。(それで旅行の件だけど・・・お父さんが何にもせんかったから)さっきから泣いとる。(今はお父さんに腹を立てとって)もう旅行に行かんと言い出した。(それでお父さんが分からんことを教えてもらおうと思って・・・)」
「はぁ?こっちは被害者やねんっ」
「(あれれ・・・?やばい、うぉんのすけ怒っとる。うぉんのすけにももう話できそうもない・・・)」
「もう来んでえーけんっ!」
「(あちゃーーーーー)」


おとん、口下手が災いだった。
肝心な( )の部分を省いて伝えたから、うぉんのすけを怒らせたんや。

でも、うぉんのすけもうぉんのすけじゃ。
もう、ええかげん、瞬間湯沸かし器、やめーや。
短期は損気やで。

喧嘩の後半戦、これは完全に自分のせいだった。
母からの怒りを買い、それを父に売る(ぶつける)。
結局、おたくらやっぱり親子ですやんっ!

そう思ったら、母が愛おしくなった。
私はやっぱり母の娘だ。コピー(瓜二つ)や。

今日かな?明日かな?
仲直りの電話してみようっと。

この記事で一番手柄を立てたのは、夫(うぉんばっとくん)だった。
いい仕事しまっせ。
母には父。私にはうぉんばっとくんがいてくれるので安心だ。


タイトル画像は、仲良くさせていただいているnoterさん温水温(ぬくみず ゆたか)さんの作品です。



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