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昔ばなし大学のこと②

昔ばなし大学、2年目の記録。
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☆2016年のブログより☆
昔ばなし大学・基礎コースの3回目。
ジッと座っているのがかなり
苦手な私だが、なんとか
80分3コマ×2回、席について
聞いている。

講義を担当されているのは、
口承文芸学者の小澤俊夫
先生。口伝えで語り継がれて
きた「昔ばなし」のいろはを、
ユーモアとウィット、そして
枯れることのない知識の泉
でもって、丁寧に教えて
下さっている。

今回、講義の中で大変
印象に残ったものは、
岩手県、山形県、福井県で
実際に「昔ばなしの語り手」
として活躍されている方々が、
それぞれの「土地言葉」
「昔ばなし」を語ってくだ
さったことだ。

語られる世界に存分に
浸りたかったので、
私は目を閉じ、耳だけで
体験した。

「土地言葉」が持つ
独特のリズムやテンポ、
温度や空気を感じながら
「おはなし」を聞くと、
だんだん異世界に吸い込
まれるていくような
不思議な感覚に包まれた。
頭の中で「おはなし」が
絵物語のように色づき、
登場人物が動き出し
ていくような感じ。
その面白いこと!
楽しいこと!

また、聞いている間中、
私自身の心の奥深いところが
ズンズンと揺すぶられるのが
よくわかった。

「語り手」が
「聞き手」に届けて
いるものは、単に
おはなしの世界
だけではなく、
「語り手」が経て
きた体験や
心の機微、
土地に根付く
風習や文化など
多岐にわたるのだ
と思った。

小澤先生は、ご自身の
著書『こんにちは、昔話です』
で、こう述べられている。

「人の声は、あらゆる
楽器を超えて心に
訴える力をもつ」

仕事や生活において、
「声」という音色を
使っているという意識は
あまりなかったのだが、
「自分の授業を録音して、
毎回音声を聞きなおして
振り返っている」という
仕事仲間の行動の意図が
なんとなく理解できた。

私自身は、届けたいものを
届けているのか。
「問い」が生まれる。

また、
60歳代~70歳代
の語り手の方が、

「私たちの時代は、
学校で『土地言葉』
をはなすことが禁じ
られていました。
標準語をはなさない
と、罰せられました。
『土地言葉』は汚い
ものだと指導され
ていたのです。」

とおっしゃっていた
ことにも、大きな衝撃
を受ける。

私たちが普段使用
している標準語の
「標準」とは、一体
何なのだろうか。

『土地言葉』を自然に
話すことが当たり前
のまま教育がなされ
ていたら、どんな現在
があったのだろうか。

多種多様な「問い」が
自分の中に生まれる
昔ばなし大学。
来年に続く。

2022年追記:来年がなかった~。
「問い」に向き合うための
振り返りと掘り下げを
ちょっとずつ行っていく。


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