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2024年のエル・コロリド プロジェクト

こんにちは。品質管理部の佐藤です。

2024年の産地訪問を終えて、ようやく一段落しました。
GOOD COFFEE FARMSさんとのMyFarm契約 にて進める3年目となった「エル・コロリド」プロジェクト。今年のグアテマラ訪問では、新たにチャレンジングなプロセス(精選方法)を行なってきましたので、どんな狙いで取り組んだのか、また苦労したところなどを書いていこうと思います。

訪問前に記事を書いてますので、併せてご覧ください。

エル・コロリドのプロジェクト取り組みついてはこちらもご覧ください。


3度目のグアテマラ訪問

今年で3回目になり、道のりもだいぶ慣れてきました。成田からロサンゼルスへの飛行機に乗り、昼頃にロサンゼルスに到着。そこから十数時間ロサンゼルスをぶらぶら。今回はアボットキニーに向かい、オーガニックスーパーやレストラン・カフェ等々巡り、夜の便でグアテマラに向かいました。

グアテマラシティには早朝に到着します。毎年のことですが、迎えが来るまで絶対に空港を出ないでと言われ、空港内で待機……迎えの方(イサイアス)が渋滞に巻き込まれたようで1時間ほど待機。これが結構長く感じました。
無事にイサイアスさんとも合流し、ナランハレス農園がある南東にあるハラパ県に向かい始めました。

グアテマラシティへの道のり

道中、グアテマランコーヒーが運営しているカフェに寄ったり、グッドコーヒーファームズがサンプルローストを依頼しているロースターやラボに寄ったりしました。そこで「グアテマラ北部は低地でコーヒー栽培がなく、マヤ文明の遺跡があるんだ。」とか「コーヒーで有名なのはアンティグアだけど、生産量はとても少なく、コーヒーを最も生産してるのはここハラパなんだ。」等々のお話を聞くことができました。実際に国土を見てみると北部は低地が広くあり、コーヒーの栽培地域しか見ていなかったため、そこでグアテマラの広さを再認識しました。
諸々寄り道したことで、目的地に到着するのが遅くなってしまいました。初日は移動日ということで、次の日からの本格活動に備えます!

毎年お世話になっているナランハレス農園のイサイアスファミリー

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今回の記事では3つのことをお話しいていこうと思います。
ひとつ目はエル・コロリドのプロセシングのお話
ふたつ目はナランハレス農園にゲイシャ種を植え始めた話
最後は肥料の作成のお話です。

最初に今回のメインとなるエル・コロリドのプロセシングについて。
今年度はチャレンジングなプロセスを行うと、前回の「産地訪問に向けて」の記事にて書かせていただきましたが、やはり現地でのすり合わせが必要になりました。私たちが今年取り組んだ、それぞれのプロセスについて詳しく書かせていただきます。

ハニーアナエロビックプロセス

ハニーアナエロビックプロセスでは、パルピングした後のカスカラ(コーヒーチェリーの果皮)と種子を同じタンクに入れて発酵させ、72時間の嫌気性発酵の後、好気性発酵にシフトさせようというプロセスでした。アナエロビックプロセス由来のフレーバーと綺麗な味わいの両立を目指してレシピを組んでみました。

タンクの底に詰めたカスカラ
カスカラの上にパルピングした種子を乗せていきます

現地でより詳細に決めたこととしては、カスカラはタンクの下側に詰める。発酵は40℃で進行させることを目標に温度コントロールをする。72時間以降の好気性発酵は毎朝攪拌をすることで、酸素を取り込む。最後の乾燥工程ではカスカラは除き、種子のみをスロードライにする。

レシピを作るのは簡単でしたが、行動に起こしてみるととても大変なことがわかりました。40℃を保つために日照に併せて発酵タンクを動かしていたのですが、これがとても重い。タンクの容量は300ℓになるので、これにチェリーを入れると150kgほどになります。これを5個、日照に併せて移動させていきます。
72時間の発酵の後は、この移動に加えて中身を攪拌していきます。これが液体の撹拌ならまだしも固体の撹拌なので、その抵抗は想像以上です。実際に試してみて、自分たちの力では移動させることも撹拌することもびくともさせることが出来ずに、プロセシングを行なってくれているグッドコーヒーファームズチームにありがたさを感じつつ、少し申し訳ない気持ちになりました。
これをPHが3.5に下がるまで、約10日間繰り返し行った後、乾燥工程に進みます。

ナチュラルアナエロビックプロセス

こちらのプロセシングは塩を用いて乳酸発酵を促し、ナチュラルプロセス特有のマウスフィールの向上と潰れがちな酸味の補助を目標としてレシピを組んでみました。

ハニーアナエロビックプロセスと比較するとシンプルなプロセシングになりますが、塩をどのように加えるかで少し頭を悩ませました。上に振りかけては全体に行き渡らないし、食塩水にして加えれば全体に行き渡るが、後半の好気性発酵を実現できなし…と考えた結果、コーヒーチェリーと塩をミルフィーユ状にしようという結論になり、実行し始めました。
実行し始めてから気づいたのが、混ぜながら入れれば全体に行き渡るということでした。そこから混ぜながら塩を加えることにしました。なぜ最初に気づかなかったのだろうか。その他の手順はハニーアナエロビック同様に日照に併せてタンクを動かし、好気性発酵にするために毎朝撹拌したり。

最終的に10個のタンクを移動・撹拌させていました。本当に手間が掛かっています。ここまで手間をかけているので美味しいコーヒーになることを願っています。秋ごろの到着が待ちきれません。

ナランハレス農園にゲイシャ種が植えられ始めました。

ここからは小話になります。
試験的にですが、ナランハレス農園にゲイシャ種が植えられ始めました!
結果次第では10年後のエル・コロリドはゲイシャ種のロットになるかもしれません。ハラパには、エル・モリート農園というCup of Excelleceでも優勝するような有名な農園があります。そのロットでもゲイシャ種が採用されていることから、ハラパのテロワールとゲイシャ種の組み合わせが良いことがわかります。また、さび病の蔓延が課題にある点からも、さび病に耐性のあるゲイシャ種はマッチしている品種なのかもしれません。

私としては、地域特性の観点や、人力でのプロセシングのため生産量が少ないという点からも高品質高単価なゲイシャ種がとてもマッチすると考えています。これからがとても楽しみです。


自家製の有機肥料の作成

私としては、この有機肥料の作成も大きなステップなのではないかと考えています。特に気候的なところなのか、さび病の発生が多くある地域であり、コーヒーノキに元気がない地域でもあるなと感じていました。

ハイブリット品種が多く植っているのも、この問題があるからと考えていて、価値を向上させるには、品種の植え替えも必要なのかなと考えていました。しかし、植え替えをしてさび病に侵されてしまったら、生産量は減り、生産者さんの収入が減ることにつながります。病害虫に強いハイブリット品種の安心感はとても魅力的だなと感じます。

品種の植え替えを進めていくにしても、さび病のリスクを下げていかなければいけないなと、自家製の有機肥料はコーヒーノキに元気をもたらし、さび病の蔓延を防いでくれる一つになるのではないかと期待しています。来季のコーヒーノキの状況がどうなっているのか、早く見てみたいですね。


さいごに

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