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五流の愉しみ ワークショップ

能楽シテ方5つの流派からお一人ずつが出演し、流派の違いなどをわかりやすく解説するワークショップが開催されました。 ご出演は、宝生流の小倉健太郎(おぐらけんたろう)さん、 喜多流の佐々木多門(ささきたもん)さん、 金剛流の豊嶋晃嗣(てしまこうじ)さん、 金春流の山井綱雄(やまいつなお)さん、 観世流の清水義也(しみずよしなり)さん。 5人とも1972〜73年生まれで51歳くらいの、ほぼ同級生です。 最初のご挨拶で「五十歳を超えたおじさんたちの会にお集まりくださって・・・」とお

    • 「野村万作から萬斎、裕基へ」 完成記念上映会

      2022年の初狂言は、映像作品でした。 1月31日、ポーラ伝統文化振興財団が制作する伝統文化記録映画「野村万作から萬斎、裕基へ」の完成記念上映会へ。野村万作先生、萬斎さん、裕基さんの狂言師親子3代に加えて、裕基さんのお姉さん、TBSアナウンサーの野村彩也子さんが司会を務めるイベントということで、11月に申し込みました。 上映会の前の週末、萬斎さんが体調不良ということをTwitterで知り、大丈夫かなあと心配していたところ、やっぱりご欠席。でも、おじいさまとお孫さんという組み

      • 2021夏のめぐろ能と狂言より『羽衣』

        マンガ『花よりも花の如く』では第1巻に登場。能楽初心者におすすめとしてもよくあげられる『羽衣』です。初めて観たといいたいところですが、記録によると前に一度、観ているみたい。 でも、物語や美しさをわかって味わいながら観られたのは今回が初めて。解説の金子直樹先生が名セリフを教えてくださったおかげです。長さも約1時間ほどと、能としては短め。昔話として知られる「羽衣伝説」とはちょっと違うという点も、能として楽しめた理由かも。 昔話だと、漁師に羽衣を隠された天に戻れなくなった天女が

        • 2021「夏のめぐろ能と狂言」より『鍋八撥』

          笑って、ひたって。狂言と能のエッセンスをたっぷり味わえた「夏のめぐろ能と狂言」が8月29日、めぐろパーシモンホールにて開催されました。初参加だったけれど、地元の方が楽しみにしているのか、ご高齢者から親子連れ、夏の着物姿の女性もいらして華やかでした。 最初に目黒区長さんが登場。目黒区教育委員会が共催しているのですね。区長さん、能や狂言には関心はなさそうでしたがワクチンをぜひ検討してというメッセージはしっかり発信しておられました。 続いて、能楽研究科の金子直樹さんが作品解説。

        五流の愉しみ ワークショップ

          「第95回野村狂言座」より『貰聟』と『禰宜山伏』

          2021年8月27日に観劇した「野村狂言座」、後半2作品のレポートです。 『貰聟(もらいむこ)』はホームドラマのようなコントのような作品。パンフレットに「世話物的な世界」と書かれている通りの、どこにでもある家庭のワンシーンが描かれています。登場人物は3人。舅は大ベテランで立っているだけであったかい包容力を感じさせてくれる石田幸雄さん。夫は高野和憲さん、妻は中村修一さんでした。 冒頭、舅と妻がしずしずと登場。ポジションについたところで、よっぱらいの夫が気分良さそうに歌いなが

          「第95回野村狂言座」より『貰聟』と『禰宜山伏』

          「第95回野村狂言座」より『以呂波』と『狐塚』

          狂言4曲は、どれも初めて! わくわくしながら水道橋の宝生能楽堂に足を運んだ2021年8月27日。暑い日で、開場時間ぴったりくらいに到着したら、なんだか人が少ない? いつもならちょっとした行列ができているのに、と少し不安になりながら、消毒→自分でチケットもぎりを済ませて座席へ。今回は「を」列なので、だいぶ後ろ寄りです。お客さんの入りがゆっくりで、「今日はガラガラ!? コロナ急増の影響か」と心配しましたが、開演時間間際には、席があらかた埋まって安心。とはいえ、私の座った列には他一

          「第95回野村狂言座」より『以呂波』と『狐塚』

          「東京2020オリパラ能楽祭」より『道成寺』など

          東京2020オリンピックとパラリンピックを記念した能楽祭が開催されています。オリンピック期間中には5公演が行われ、すでに終了。パラリンピック期間に2公演が行われる予定です(2021年8月18日現在)。日本を代表する(ということは世界を代表する)能楽師(狂言方や囃子方を含む)の皆様がお集まりの、超豪華プログラム! 曲目もメジャータイトルばかりで、外国のお客様がいらしたら、さぞ驚いただろう……と、残念すぎる思いです。 私は8月3日、オリンピック期間中の最終公演を見てきました。狂

          「東京2020オリパラ能楽祭」より『道成寺』など

          「第9回やっとな会」より『博奕十王』

          前記事に続き、「やっとな会」の公演レポート、もとい覚え書。「博奕十王(ばくちじゅうおう)」についてです。この作品を見るのは初めて。ついでに博打ではなく博奕という字を見るのも初めてです。ジャンルとしては「鬼狂言」の中の「閻魔(えんま)もの」に分類されるそうです。大勢出てきて面白かった! 主人公の博奕打を深田博治さん、相手役の閻魔大王を お話の流れは、まるでコント。閻魔様を筆頭に、キンキラキンの衣装をつけた鬼たちが登場。手に手に、何やらどう猛な武器を持っています。 閻魔さま「最

          「第9回やっとな会」より『博奕十王』

          「第9回やっとな会」より『蝉』と『蝸牛』

          1年と3ヶ月、2回の延期を経て、満を持してのやっとな会。「万作の会」の狂言師・深田博治(ふかた・ひろはる)さん主宰の狂言の会です。深田さんの出身地・大分で公演をされることが多いようで、初めての観劇を楽しみに、去年の5月のチケットをとっていたのですが、第1回目の緊急事態宣言で、1年延期。今年の5月の予定が、第3回緊急事態宣言で再延期。そして2021年7月25日。「オリンピック間近だからこの時期なら大丈夫だろう」という深田さんを含め、大方の予想を裏切っての第4回緊急事態宣言中に、

          「第9回やっとな会」より『蝉』と『蝸牛』

          「狂言劇場その9」より『鮎』

          2021年6月25日、世田谷パブリックシアターの「狂言劇場その9」Bプロ。古典狂言の『舟渡聟』と同時上演されたのが、新作狂言『鮎』でした。観劇から時間がたってしまったけれど、やっぱり書いておきたくての投稿です。 『鮎』を初めて見たのは2017年の国立能楽堂での初演の時。新作狂言とはどういうものだろうと、すごくワクワクして見に行ったことを思い出します。その後、Eテレの「にほんごであそぼ」などで、いくつかのパートに分けて上演されたりして、特に前半を見る機会はあったけれど、今回は

          「狂言劇場その9」より『鮎』

          「狂言劇場その9」より『舟渡聟』

          2021年6月25日に上演された「狂言劇場その9」のBプロ、古典の『舟渡聟(ふなわたしむこ)』と新作狂言の『鮎』という瑞々しい組み合わせでした。船頭は野村万作先生、聟はお孫さんの野村裕基さん、姑は岡聡史さん。35分を超える大曲ですが、前半と後半のコントラストが鮮やかで、船頭の芸の見せ場が続くので何度見ても見飽きない名作だと思います。 最初に登場するのは、聟。ピンクの衣装が初々しく、肩に担いだ棒に、大きな鯛と酒樽がぶら下げられています。酒樽は下がり気味で、なんだか重そう。彼は

          「狂言劇場その9」より『舟渡聟』

          「狂言劇場 その9」より『法螺侍』

          昨夜(2021年6月21日)、「狂言劇場 その9」の舞台写真が公開されました。どれも、すごく生き生きとしていてカッコいい! まだAプロしか見ていなくて、Bプロ『舟渡聟(ふなわたしむこ)』『鮎』は今週末なのですが、写真を見て、ますます楽しみになりました。 なぜなら、今回の4作品はいずれも能楽堂で見たことがあるのですが、Aプロを観る限り、演出が・・・というか印象、見え方が全く違う。写真を見る限り、Bプロにも期待が高まります。古典が新しく見えるって、すごいことだと思う。 Aプロ

          「狂言劇場 その9」より『法螺侍』

          2021年6月「狂言劇場 その9」より『武悪』

          普段は能楽堂で上演される狂言を、現代の劇場でパフォーミングアーツとして上演する「狂言劇場」の9回目。今回は、古典狂言の大曲+新作狂言というボリューミーな組み合わせでした。 Aプロは、野村萬斎さんがラジオ #職業、野村萬斎 で「大曲中の大曲」と紹介されていた『武悪(ぶあく)』と、萬斎さんのお父様である野村万作先生の創作による『法螺侍(ほらざむらい)』。『法螺侍』は、シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』を基にした狂言です。 さて、『武悪』。通常の狂言が15分から20

          2021年6月「狂言劇場 その9」より『武悪』

          2020年10月 狂言ござる乃座

          狂言の公演は8月ごろから再開。9月後半からは、10月後半からは週2回、能楽堂に足を運ぶ日もちらほら。濃厚な公演が続いています。10月後半からは週2回、能楽堂に足を運ぶ日もちらほら。そんな中で、特にすばらしかった公演「ござる乃座62th」をご紹介。「ござる乃座」は、野村萬斎さんが自分のやりたい演目を中心に番組を組むので、マニアックだったり萬斎さん初挑戦の演出なども多く、いつも楽しみなのです。 今回の狂言の演目は3曲。 (1)水掛聟(みずかけむこ) 狂言には、お聟さんと舅(しゅ

          2020年10月 狂言ござる乃座

          2020年1月 第89回野村狂言座

          年4回開催の野村狂言座は、大作から珍しい演目まで狂言盛りだくさん!ファンクラブに入ってだいぶたち、以前観た演目に巡り会うことも増えてきました。 今回は、万作先生の小舞「芦刈」から。落ちぶれた男が別れた妻とは気づかず、面白い舞を舞ってみせるシーンとのことですが、万作先生の軽やかな足拍子、清冽な肩や手の動きがすばらしかった。88歳とは思えません。舞台にお正月の清浄な空気を呼び込むような清々しい舞でした。 狂言1曲めは「節分」。めずらしくちょっとエッチな作品。季節先取りのようで

          2020年1月 第89回野村狂言座

          MANSAI解体新書その弐拾九

          2019年5月のFacebookからの転載です↓ 昨夜のMANSAI解体新書その弐拾九が素晴らしく面白かったので覚書。トークのお相手は、欅坂46などの振付を担当しているダンサーのTAKAHIROさん、雅楽師の山田文彦さん。ニューヨークのダンスシーンで10年荒波に揉まれたTAKAHIROさんも面白かったけれど、昨夜の収穫は山田さん! あまりの奥深さに萬斎さんもタジタジすることがあったほど。皇室裏話、雅楽師ならではのお話が最高でした。 ●宮中行事のデモンストレーション 皇室で

          MANSAI解体新書その弐拾九