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かけがえのない、日本の自然。


青空文庫をKindleにダウンロードして読むことが増えた。昔の文豪の作品が、こうして読めることに、心から感謝したい。

先日は、寺田 寅彦の『日本人の自然観』という著作を読んだ。自然豊かな日本に対する日本人の姿勢に対する警鐘が描かれており、何度読んでも背筋がぴんと伸びる。

わが国に特異な天変地異の災禍を軽減し回避するように努力すれば、おそらく世界じゅうでわが国ほど都合よくできている国はまれであろうと思われるのである。しかるに現代の日本ではただ天恵の享楽にのみ夢中になって天災の回避のほうを全然忘れているように見えるのはまことに惜しむべきことと思われる。
寺田 寅彦『日本人の自然観』

東日本大地震も含めて、日本はいつも自然災害と向き合い生きてきた。

それは、今日に至るまで変わらないことなんだけれど、しばらく経つと気が緩んでしまうのが人間の性のような気もする。

当たり前のように、スーパーで野菜や肉、魚がいつもある生活。

それは、日本の自然豊かな恵みを、私たちがお裾分してもらっている事実。

なんでも、いつでも、すきなだけ手に入るという幻想が、謙虚さをずっと遠くにやってしまうこともある。

寺田さんの言葉は、ありふれた毎日のかけがえのなさ、はかなさについて、もう一度思い出させてくれた。

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