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イスラム新潮流〜飲酒編〜

昨年5月、新型コロナが5類に分類されてから街には賑わいが戻ってきた。
12月には数年ぶりとなる「忘年会」が数多く行われたようだ。


アルコールが飲めなくなった私にとっての必需品は「ノンアルコールビール」だ。日本では偶然にも私が入信した時期と同じくらいのタイミングで誕生したように記憶している。

そんなノンアルコールビールをジャカルタの街で発見した。

もちろん、これまでもジャカルタ在住の外国人や非ムスリム向けに一部の大型スーパーや輸入食品店ではビールが販売されていた。そして、その横に数本のノンアルコールビールが販売されていることが多かったように記憶している。

しかし、今回私が発見したのは一般的なスーパーである。

しかもビールの銘柄はビンタンビールだ。

ビンタンビールとはインドネシアで最も知名度の高いビールの1つである。お酒が飲めるヒンドゥー教徒や海外からの旅行客が多いバリ島で主に製造・販売されているだけでなく世界各国に輸出されている。もちろん日本にも輸入されておりカルディーなどの輸入食材店で気軽に購入することも可能だ。植民地時代の宗主国であったオランダのビール会社ハイネケンによって誕生した歴史のあるビールだ。

そんなビンタンビールが今までお酒が飲めずターゲットとしていなかったムスリムに向けてサービスをスタートさせた。1本9500ルピア(約95円)とコーラなどと大差がなく気軽に購入できる値段だ。


ジャカルタ市内にあるスーパで撮影したノンアルコールビール売り場

一方で2014年に開催されたインドネシアのイスラム法学者の評議会においては「アルコールが入っていなくても、ビールという名称がついているのであれば飲むべきではない」という見解が発表されている。


だからこそ、今回ジャカルタのスーパーでノンアルコールビールが大量に売られていることは大きな変化の現れだと言えよう。
数分ほど売場の前に立っていたが多くの人がノンアルコールビールを購入していった。



スーパーからの帰り道 
ふと前方を見ると、ヒジャーブを被った女子高生と同級生と思われる男子が仲良く腕を組んで歩いていた。

ノンアルコールビールの普及だけでなく、ジャカルタの様々な場所でイスラムという宗教観の変化が確実に起こってきている。

今年もインドネシアに滞在する機会は多くなりそうなので、この変化を肌で感じ続けたい。

Text by Nasser

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