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NewZealand 1


2008.February

NewZealand の南島 Motuekaというヒッピータウンへ移動してきて、毎日りんごを収穫する、そんな日常がずいぶん様になってきた。

チェリーピッキングのシーズンが終わり、季節はアップルピッキングのシーズンに突入。
初めてのチェリーピッキングはCanadaのVancouverで知り合ったたっくんから教えてもらった。
たっくんは季節労働(フルーツピッキング)をしながら、旅を続けていたヒッピーだった。北半球の夏目掛けて収穫の仕事に来て、その後は南半球の夏を目掛けて仕事をする。その隙間時間に旅をしたり好きなことをする。
それだけ、集中的に稼ぐことができる仕事だということを知った。


それまでそんな旅スタイルや働き方があるなんて知らなかった私たちは、眼から鱗で、いつかやってみたいなぁ・・・なんて気になっていたんだけど、Canadaへのワーホリビザを取りに一時的に帰国した日本で、なんとワーホリビザが降りず、予想外な結果に。
一瞬怯んだものの、ではそれなら!とNewZealandにいるたっくんのいる農家を訪ねる流れとなり、今がある。
ピッキングをしながらの旅スタイル、まだ始まったばかりではあるけれど、なんだかとてもワクワクしている自分がいる。

ここMotuekaは広大なリンゴ農園が多く広がる街。
この時期には世界中からいろんな人がピッキングに集まる。
働きに集まったメンバーは、チリ、オーストラリア、フランス、イギリス、イスラエル、ドイツ、カナダ、メキシコ、スウェーデン って様々な国の人ばかり
そんなたくさんのメンバーがひとつの農家で働く。

ステイするキャンプと呼ばれるそのスペースのシャワーもキッチンも共同で、毎晩のように顔を合わせて、ご飯を食べたり、話し込んだり、大家族のように過ごした。
私たちはこの農家のキャンプに1番乗りしていたこともあって、テント泊ではなく小さなキャビン(小屋)を選ぶことができて、とっても快適だった。
小さいキャビンにはベッドもあったし、なんと小さな畑もあったので、到着したその日に野菜の種を撒いて後々収穫もできた。

朝6時に起き、ササッと朝食を済ませ、その日に私に割り当てられたりんご畑の列へ向かう。
オレンジ色に輝く朝日を見ながら、りんご畑に今日もよろしくとお願いして、そっからは 私の身長の倍以上あるはしごを駆使しながら、とにかくりんごを収穫し続ける。
カンガルーみたいにお腹にりんご専用のバックをしょって採っていく。
そのバッグに満タンになると20㌔以上。そしてそのりんごを貯める大きな木の箱(ビン)は その20㌔のバックが50杯くらい入る。
そのビンをひたすら作っていく。
もちろんそのビンの数だけお給料に換算されるわけだから、かなりのスピードで収穫していく。
自分との戦い。
はしごを木のどこにかけるかを一瞬で見定めて、そのはしごを駆け上り、どんどん採っていく。もちろん傷をつけないように細心の注意を払って。

昼ごろになると、だんだん太陽が昇ってきて暑くなってくる。
まぶしいけど テンションもグワーーーと上がってくるのも分かる。
ずっと一人で収穫と向き合っているから、気付いたら大熱唱してた、なんてこともよくある。
太陽が真上に昇った頃、他の列でリンゴを採っていた悠一郎と持参した簡単なサンドイッチで昼食休憩。
高いはしごに登れば Motuekaの山々 川 羊たちがよーく見えて、悠々と広がるNZの大自然が見える。
なんて幸せなんだろなーーーと感じる。
空を仰げば NZではよく目にする 虹や様々な形の雲。
自分が大きな地球、そして宇宙の一部であることがよくわかる。
同時に 自分のちっちゃさも分かる・・・

パラパラと空からパラシュートが降ってくる。Motueka名物 スカイダイビング。

りんごを採っている時間は 一人になる時間。
今まで旅した場所、出会った人を思い出してみたり、小学生の頃の自分や 未来の自分 ものすごい深いところまで行けてしまう。
東京にいた頃、仕事、仕事で時間に押されがちだった私は、時間に追われず 自分のペースで考える時間が持てることの重要さをありがたく思った。
当たり前じゃないもんナァーー。


なんとなく辺りが 夕方のメローな光に変わってくると 仕事は終わり。
程よい疲れと達成感。
農家のキャンプに戻ると、みんなそれぞれの畑から続々帰ってくる。
チリ人の「アレックス」と「今日は何ビン作った?」が私のお約束。

みんなで共同のキッチンで夕食を作りながらの時間が私は大好きでたまらなく楽しい。
いろんな国から集まった 我がWratten Orchards の面々は みんながみんな最高な家族。
心地よくて でもみんないろんな国の出身だから 刺激ももらえて・・・
私たちカップルは 自分の畑で収穫した野菜も使って日本食を作り
みんなそれぞれの国の料理を作ったり、時に、自転車で出かけて行って海の岩場でムール貝を採ってきたりしてみんなで食べた。毎日がBig Dinner!
夜になれば、誰かがギターを弾き出したり、その音にあわせて マヤンカレンダーをみんなで読んだり、バックギャモンしたり チェス教えてもらったり。
私たちの持っていた日本語のCDも人気でよく聴いていたなぁ。
Little Tempo、YoleYole、観音バンド はみんな大好きで スゥエーデン人の「マンゴー」「サナ」カップルは歌えるようになってた!

星空を眺めたり 毎日誰かが作るアップルクランブル、アップルパイをつついたり・・・
そう、今日もゆっくり夜がふける・・・
一人、また一人とやっていると絶対頼まれるので、ヘアカットも私の日課になっていた。
野外でやる青空美容室で、椅子と私のハサミさえあればOKというシャンプー&ヘアスタイリングさえもセルフサービスの気ままなスタイルだったけれど、髪はみんな伸びるからね〜、すごく重宝がられていた。


そんな生活の中で、メキシコ人の「ルゥ」とスゥエーデン人の「マーティン」「ディサ」カップルとはいつも一緒だった。
ある時休みをもらって2泊キャンプに出かけて帰ってきてみると、私たちのキャビンの入り口に何か挟まっている。
?なんだろうと思って見てみると、
メキシコ人のルゥは
農家の休みの日にはドライブして国立公園で野宿キャンプしたり、パーティーに遊びに行ったり、焚き火を囲んで夜な夜な話し込んだり。


今まで興味なく生活していたけど、オーガニックな食生活や地球に寄り添う生き方についてもたくさんシェアしてくれたり、そういう価値観を共感しあった。
共有した時間の濃さは言葉では言うことはできない程。
お互いにみんな愛し合っているのが分かるから こんなに心地よいのだと思う。



本当にたくさんの人種、国籍があって、
その中でも様々な価値観のもと、この地球には多くの生命が存在している。

でもその中で、共感し合う魂、惹かれ合う思い、
それは当たり前のように出会って、共感しあっていることのようではあるけど、
実はとてもかけがえのないもので、当たり前ではないことなのだと思うからこそ、こんなにも感謝したいような出会いに恵まれると、本当に嬉しく、生きていてよかったなぁと思う。

ずいぶん街の生活から田舎の生活に切り替わり、
毎日自然を相手に仕事をしながら生きていることも手伝ってか、
自分の中に新しい風が入って来ていることが嬉しい。

新しい風と言いながら、それは実は懐かしいようで、
この心地よさこそ素晴らしいって私は知っているぞ!というような気持ちにさせてくれるのだ。

旅のステージがまた一つ上がったようなそんな毎日がとても心地よい。


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