見出し画像

⁂【大女神の館】⁂ ~全宇宙で最大のオブジェ~≪第三部≫



館の内陣をいとど、又いとど見渡せば、汝ならずとも驚愕の連続なり。 
巨大天宮はおろか、全宇宙最大や、全宇宙屈指の諸遺産を
この館は、如何ほどばかり孕 (はら) みたもう事あらん。


全宇宙の名だたる大星雲を
網羅して張り巡らせしものは、天の川の如き巨大屏風に巨大緞帳。


数千億の超銀河の光芒を
押し返しものは、究竟たる灯籠づくしの双絶巨大イルミネーション。


完全武装たる灼熱の赤色超巨星集団を
ひと吞みに席巻たらしめるものは、底無しの巨大曼荼羅。


聳立せるグレートウォールを
大胆不敵にぞ囲み奉 (たてまつ) らんものは、巨大幟 (のぼり) に巨大鳥居。


フィラメントを、ボイドを
一跨 (ひとまた) ぎに俯瞰 (ふかん) せぬものは、威風堂堂たる巨大天守閣。


さしもの暗黒物質(ダークマター)を
容易 (たやす) く手玉に取らんは、永永無窮の巨大七堂伽藍。

多種多様に、バロック・ゴシック・ロマネスク・アールヌーボー等の
無量大数のカリヨン群が、アダージッシモから、プレスティッシモ迄もの
終わりなき卓絶ミサを奏でぬ。


大規模構築の各種建造物、又は大自然の織り成せり
空前絶後の造形の数々が、悠久の時空の流れを、まさに刻みおり。

加えて、全宇宙総ての民族一丸たる心の原風景。
館の随所で連綿と、固有の大威光を放ちける。


富士山ありし、瀬戸内海ありし、姫路城ありし、東京都心や
奈良や京都の至宝もありし…。
巨大ヒマラヤ山脈、巨大アマゾン川、巨大マリアナ海溝
巨大サハラ砂漠、巨大太平洋等々…。

矢継ぎ早に畳み掛けぬ天下一品の彼此 (かれこれ) は
余すところ無く、聞きしに勝るものばかりなり。
本物と見紛 (みまご) うほどの…、否、ここに御座 (おわ) すものこそが
優に元祖に相違なき。


伝承(つた)えられたる創世記神話を擁し、有史以前より
館において既存していたが故に。


巨大広間ごとの演じられし、勇名馳せん歴史的名場面とて
よもや思い違いがありてはならぬ。
見るもの聞くもの、名にし負う大一番にして
さなきだに再演や再現の如きにはあらず。

然らずば、ここは何処 (いずこ) にあらん? 
殊更(ことさら)に汝等を鼓舞せんと、八紘を包みし守護をたまわるも
絶海の古き朱き大社に、各々祀(まつ)られたるは
霊験あらたかなる ≪三種の神器≫ なり。


襲い来る凄絶ガンマ線バーストを
究極の草薙剣 (くさなぎのつるぎ) にて
神々は木っ端微塵 (こっぱみじん) に切り砕き


ハイパーブラックホールの鬼気迫りぬ猛威を
究極の八尺瓊勾玉 (やさかにのまがたま) にて
神々は勇猛果敢に撃ち鎮め


宇宙の謎たる全貌を
究極の八咫鏡 (やたのかがみ) にて
神々は明鏡止水の如く露呈させんとする。

見よ! 汝は知るらめや。 
あまねく宇宙の、過去より、未来より、現世より
生きとし生けるものが、遠大なる巡礼ののちに大挙して
館へと回帰然るべくを。


汝は、ここにおいて聢 (しか) と悟らされぬ。
あまりの畏れ多きに、固唾 (かたず) を呑みてひれ伏さん。
全宇宙で唯一無双たる、蘊奥を湛えし大御所摂理をも
館が牛耳 (ぎゅうじ) り続けたもう真実に。


カザン・ファーティマ・ルルド・コパカバーナ・カリアリ
グアルダルーペ・イダルゴ…etc
うつし世の、あらん限りの聖母の奇跡もまた
ここなる館、すなわち ≪大女神の館≫ より、ものみな発せられん。


多彩ブーケに絡まれし朝貢の品々が巨大万華鏡と化して
ここかしこに氾濫したもう。

されど…、万古不易の栄華と、頴脱 (えいだつ) の悟りと、不滅の命とが
よしんば保障されたとて、清貧たらんとする汝の心は
片時も寄り添うて行けまじ。 もとより至福とは、さに限らざる。


梵我一如の涅槃 (ねはん) の世界ぞ。
争いの無き平和と慈愛の大理想郷ぞ―。
其 (そ) は、何処にあらん?


汝は既に、後戻りの叶わぬ、冥慮の多次元空間へ吸引されし候。
かの浄瑠璃世界や西方極楽浄土もまた
盤石不動たる館の、巨大内部構造の一翼に帰結したり。


”生々流転” も” 諸法無我” も、なかんずく対立するに非ず。
ものみな同源にして、多様なりし迄に。

大白蓮華の超絶巨大玉座と、月桂樹の超絶三重宝冠と、獅子吼の超絶宝剣。而 (しか) して、追従する膝下の神々は
征服者たる大女神の絶対的かつ究極的尊厳を具現たらしめんと為 (せ) す。


大女神は、館の内なる巨大須弥山 (しゅみせん) の有頂天に在りて
超然従容と、斯 (か) くも君臨するに
森羅万象の天の命なる奥義と秩序を、永劫かつ無尽蔵に束ね従えし。


いつ如何なる限界をも、瞬時に超越しかる上は
全知全能を矜持 (きょうじ) するに相ふさわしき。


天上天下を見晴るかす総ての、巨大三千大千世界をば
ことごとく領(し)ろし召す所の、気高くも畏(かしこ)く美しき大女神ぞ。


八面玲瓏にして、完全無欠でありける英姿は、なおさら全宇宙に比類なき。
我ら大女神 (三幅対の大女神達) こそ、まことに崇高なれとばかり……。

けだしく汝も、大女神の果てしなき俎上にありて
夥多溢れん生贄 (いけにえ) の一点に過ぎぬ。


汝をしてついに、ほうほうの体 (てい) で脱出せんがごとく
次なる ≪八番目の館≫ へ…。


さりとても脱出を許されし眇 (びょう) たる者しか
これより先へは進むにあたわず。


たとい大巫女の、一心不乱の大祈祷 (きとう) があらんとも
いささかも逃れること叶わざりき。


尽きせぬ夢の、そのまた夢の、そのまた夢の、然れども正夢以上の正夢か?
そこに ≪七番目の館≫ が再び、汝を待ち受けておりし候。




『大女神の館』を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
建礼門葵のこの作品は、未完につき (→まだまだ加筆予定)
文芸界の ≪サグラダファミリア≫と、呼ばれて(???)おります。


世界で、いえ、宇宙で一番大きな オブジェクトを
文芸作品で表現するとしたら、どんなふうになるのだろう……と
チャレンジしてみました。


でも、皆様!
この物語は、架空のものだと、お考えでしょうか?
もしかしたら、大宇宙の本当の姿なのかも知れませんよ。


この作品の世界を、音楽で表現するとしたら
チャイコフスキー作曲の『ピアノ協奏曲第一番』。


または、その昔
スキャットの女王と呼ばれた ダニエル・リカーリさんが
同じ曲で『愛のコンチェルト』というタイトル名にて
聴かせてくださっておりますが…。



♬無限に広がる大宇宙



♬チャイコフスキー作曲 ピアノ協奏曲第1番第1楽章



【関 連  記 事】
🔷【宇宙より愛を込めて】|建礼門 葵 (note.com)
🔷E N D L E S S|建礼門 葵 (note.com)
🔷⁂【大女神の館】⁂ ~全宇宙で最大のオブジェ~≪第一部≫|建礼門 葵 (note.com)
🔷⁂【大女神の館】⁂ ~全宇宙で最大のオブジェ~≪第二部≫|建礼門 葵 (note.com)
🔷⁂【大女神の館】⁂ ~全宇宙で最大のオブジェ~≪第三部≫|建礼門 葵 (note.com)








この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?