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39歳自営業、糖尿病になる #5 5日目 | 理想は抱え込むように

朝を迎えて

日曜の爽やかな目覚め(とはいえこれが公開されるのはおそらく月曜の昼くらいだろうけど)に最適なBGMといえばやはりMaroon5が好きなんだけど、間延びした感じで「にちよぉー」といえばこれしかない。タンポポで「乙女パスタに感動」。

なぜこんな音楽ネタに走り出したかというと、今日は蓄尿の日だからだ。

宣告板

蓄尿とは、1日に排出されるすべての尿を溜めてイッキ飲み検査にかける大変マッドな検査であり、被験者も毎度毎度溜まっていく小水を観察しつつそれにさらに排出した尿を足していくという、かなり精神的にタフさが求められる検査日なのだ。

そして検査といいながら医師の手を必要とせず、溜める工程はすべてセルフで行われることから孤独との闘いでもある。なので好きな音楽たちで気分を上げていくのだ。

カメがカタカナなあたり、甕が読めない可能性を見込まれたのかもしれないがどうもミュータントなあの忍者たちか、賢者ギードを思い出す。

ぼくらの世代はだいたいリアタイでやった

ではいつものルーティンからいこう。

05:45 ~目覚ましが鳴る前に~

目覚めてしまった。
それはついにこの生活に身体が慣れ始めたということ。

やや曇りかな

ナースの足音が聞こえる。
「おはようございまーす」
もうこちとら朝の体温も図り終えており準備万端である。
何の準備かも分からないし、そういえば入院してから連日朝だというのにピクりともしない。枯れたか。

朝の血糖値は118だった。
インスリンの量を減らしたらこんなもんなんだろう。

06:05 ~パン5枚って糖質じゃないの~

朝食がやってきた。

ご機嫌な朝食だね
  • 食パン5枚

  • スクランブルエッグにほうれんそうと玉ねぎ

  • 水菜のサラダ

  • ミックスベジタブルのスープ

パン食がいいとか、ベーコンエッグがとかぼやいていたのを誰かが見ているのかもしれない。しかしヨーグルトは無かった。
だがこの食事で気にするところはそこではない。

常人でも朝にこの量は食わなくね?

パンのボリュームである。
本当に糖尿病患者に出すメニューなのか。
いやもしかすると入院生活の慣れやインスリン投与の減少、投薬の再開などの要素を見越してどれほどの血糖値をたたき出すのか身体に負荷を与えて検証する人体実験なのかもしらん。J的にいう修練だ。

いいだろう、とことん付き合ってやろうじゃないの。

ジャムは1本だったけどな!

09:15 ~会員会議所会議~

このシリーズの冒頭に悪名高い青年会議所(JC)所属と書いた。
40歳で強制卒業するこの組織で、今年度は札幌青年会議所の理事と、北海道地区協議会の総務室室長を拝命している。

今日は全道の青年会議所組織が集まる会議、会員会議所会議が開催されていた。当然現地出席は叶わないので、会議前のMTGに屋上からビデオ通話で参加した。

屋上は日中解放されてる

「死んでるやんほとんど」
メンバーから突っ込まれたがしっかり点呼にも反応したので死んではいない。生きた声を聴けるのは入院生活でとてもレアである。罵声すら幸せなのだ。ドMか。

火曜日夜にも理事会に参加するので、こちらはテーブルのあるところからPC持参でZoom参加である。便利な世の中になった。

10:30 ~秘伝のタレ継ぎ足し~

さて、やってきましたこの時間。
もよおしてトイレにいったところこんなカップが準備されていた。

右がカメ、左がカップ

製菓材料とかに使いそうなメジャーカップだなぁと思いながらセットして用を足す。
(お菓子作りが好きな人、主婦の方々には大変申し訳ない)

こういうとき、オスの身体特徴は便利だと思うんだ。オスに生まれてよかった。

On Your Mark, Get set, GO!

勢いよく溜まっていく。

色はやや黄色がかっている。
エナジードリンクよりは薄い。
そんな情報いらんか。

まだ出る。

カップの容量は500mlだ。



体感まだまだ出るけど大丈夫かコレ



いや、ちょっと微妙かもしれん



微妙どころじゃないこれムリだムリムリムリ




オアァァーーーーーーッ!!!!!!!!



とりあえず限度タプタプまで注ぎ込んだカップをカメに移し替え(ちょっとこぼした)、ナースステーションに行った。

「あのぅ、おしっこたくさん出てカップに入りきらなくて、ちょっと普通に出しちゃいました」

「えぇっ、どれくらいですか」

1日で排出されたすべての尿を蓄積採取するというミッションだけに、おこぼしがあるとマズいそうな。

しかし少量だと申告するととりあえず週明けのドクター判断を待つことになったが、次にトイレにいくと

増えてた

12:00 ~食暴の悪寒~

昼飯前血糖 は180。
ちょっと上がったな。

血糖値の一喜一憂は投薬で簡単に変わるものってことだ。

インスリンが6から2になったってのが大き…ちょと待てよ今朝何喰った

パンパンパンパンパン

「ふーん、やっぱりパン5枚だと上がるねぇ」
医者は顎さすりながらカルテ見てたりするんじゃないのか?
しかし医食同源、実験すなわち研究、患者個々人に合わせて調査からの治療方針策定だ、ワンチャン体調悪くなってもここは専門医だろ、なるようになれ。

昼飯ラインナップ

おおっ!肉!
  • 白米

  • 焼き肉

  • ほうれん草とパプリカの炒め物

  • キャベツとニンジンの漬物 feat.こんぶ

肉だ!!!!
タマネギをベースにしたソースがかかっている。しかも今回は、

肉の下にまだ肉があるぞ!

ダブルだ!!!ダブルミートだ!!!
これでいくら薄っぺらい肉だろうとダブルの厚みで満足感もダブルだぜ!
カロリーも糖質もダブルだがそんなの関係ねぇ。

やはり食の暴力を仕掛けられている気はするが、Jもそうだ。成長の機会として修練を受け入れよう。

おうちに帰りたい。

ところで、ほうれん草とパプリカの炒め物だが、今までほうれん草が常連食材だと言い張っていたが何かひっかかる。ここにきて鋭敏な味覚と鍛え抜かれた考察力がタッグを組み、脳内の経験棚から薄っぺらい一冊を取り出してめくっているようだ。その名は「植物の種」

「どういうことかね、リンネ君」
「あなたがほうれん草だと言い張っていたこの緑」
「ほう」
「そのいくつかは小松菜だった可能性がある」
「ファッ!?」

画像引用:カゴメ株式会社「vegeday」より

日本で最も野菜のノウハウ溜まってそうな会社が公式でコンテンツ作ってるくらいだから間違えたってしょうがないよね!
[ほうれん草と小松菜の見分け方]そのポイントと、栄養の違い

小松菜といえば小松菜奈だが、お気に入りは2016年にBEAMSから出た東京カルチャーストーリー。
映像構成的にも至高で大いに学びにもなる。
森高千里が出てくるところもいい。

18:00 ~タイムリープ?使いまわし?~

夕食前の血糖値は140。
ラインナップはこちら

既視感
  • 白米

  • あんかけSABA、えんどう豆とたけのこ

  • ビーフンとエビ、きくらげ

  • キャベツとシーチキン煮たの

  • ネギとフのお吸い物

あんかけSABA、見たことあるよね?

うまいのはうまいんだよ

数日前にも見たよね?数日ってまだ入院して5日目だから全部数日なんだけどさ。
とはいえこれは病院食にしては濃厚なテイストなので良い。

中華サラダ…は油多いか

ビーフンて米粉だよね。糖質だよね。そんなこと言ってたら何も食えなくなるだろっていうツッコミ待ちなのかもしれないし、あえて「こういうのも食ってええんやで」っていうメッセージなのかもしれない。
塩分はきくらげから取ろう。あれきくらげって陸上のモノじゃなかったっけ。

21:00 ~いっぱい出たね~

あえて中盤の経過はカットしたが、蓄尿の1日が終わる。
尿排出時に使うカップと、それを集積する甕があるのは先に説明した通りだが、そのカメの許容量は2Lちょっと。

そして、

おわかりだろう。

上限2Lの目盛り超えまで溜め込んでやったぜ!!!
検査に運ぶとき、どうなってしまうんだろう

もう1回もよおしたらナースステーションで
「あのぅ、カメもおかわりください」
なんていうところだった。

寝る前血糖は131。

日曜日とはいえ退屈と刺激の境界線が曖昧な一日だった。
世間では明日は月曜日。
少し業務的なことを手掛けたい。

さすがに外打ち合わせの日程が取れないのは辛い。
おうちに帰りたい。

ほうれん草メニューをワイフに懇願した

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