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「眞須美さんコール」支援者の願い

昨年のクリスマスイブ――。
街中がイルミネーションで彩られ、食事やショッピングをする人で世の中がにぎわう日。子供たちが、サンタクロースが来るのを今か今かと待ちわびてワクワクしている日。世間全体が盛り上がりを見せる中、大阪拘置所前に10人弱の男女が集まった。

 拘置所には、1998年7月に発生した和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚が収監されている。確定死刑囚の身ではあるが、逮捕時から一貫して自らの無罪を主張。現在は再審請求を行い、即時抗告中だ。無罪を主張し2024年現在も再審請求を行っている点、証拠に疑わしい点があることなどから、記事内ではあえて林眞須美さんと表記する。


大阪拘置所


 「眞須美さーん!」

 雲ひとつない青空の下、彼ら彼女らは拘置所に向かって精いっぱい声を振り絞る。繰り返し、名前を叫ぶ。


 「どうか再審無罪が明らかになることを、心より願っています」

 「お子さんと、アクリル板越しではなく、直接手を触れながらお話できる日が来ることを信じています」


 サックスによる演奏とともに、1人1人が思いを拡声器で呼びかける。手には「和歌山カレー事件 林眞須美さんに再審を」「私はやっていない!再審を」などと書かれたボードが。道路に向けてかざしており、自動車を徐行させて眺める人、時に立ち止まって耳を傾ける近隣住民の姿が見られる。

 ♢  ♢  ♢

 「眞須美さんコール」は2013年ごろに始まった。関係者らによると、前年の12年にある社会運動団体が拘置所前で収監者に向けて呼びかけを行っていたところ、その声が林眞須美さんのもとにも届き、自身も励まされたという。社会運動団体のメンバーの一部が、林眞須美さんの支援者を通じてそのことを知り、林眞須美さんへの呼びかけも独自で行いたいと活動を始めた。

 月に一度、近隣住民への断りを入れた上で、関西各地から集まった支援者が「眞須美さーん」と声をそろえて叫ぶ。呼びかけが届いていることを信じ、演奏が聴こえていることを期待し、励ましになると願い、活動を続けている。


呼びかける支援者

 ♢  ♢  ♢

 2023年は3年ぶりに死刑執行のない1年となった。現在106人の確定死刑囚が収容されており、再審開始決定を受け釈放中の袴田巌さん(再審公判中)を含めた場合計107人になる。

 袴田巌さんの再審開始決定以降、冤罪に対する世間の注目が高くなった。近年は和歌山カレー事件についても冤罪の可能性を指摘する声が多く上がり、インターネット上では林眞須美さんのことを“第二の袴田さん”になるのではとの声も上がっている。

 動機なし、自白なし、状況証拠のみの確定死刑囚――。再審開始を願う支援者らの活動は2024年も続く。


【後日談はこちら】


【林眞須美さんの再審を求めるオンライン署名はこちら↓↓↓】


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