見出し画像

備えあっても、憂いありー非常時こそマインドを保つー

 昨年に続く学びの一人旅ということで、北海道の釧路・阿寒湖エリアに2泊3日滞在していました。阿寒湖温泉に泊まってアイヌコタンを訪れたり、自然について学んだり、釧路市方面では釧路湿原を訪れたり、タンチョウを観察したり。そうして学んだことや感じたことを感性の赴くままに誰にも邪魔されず執筆する、という時間を大切にしています。最終日、早めに空港に移動してまた執筆を進めていました。しかし、さすがは冬の北海道、雪の影響で欠航の危機!今回はちょくちょく北海道の素晴らしい景色を交えつつ、1番の旅の思い出となった最終日の欠航便体験のお話。

□釧路空港から新千歳空港へ

 宮城といっても南三陸町という交通の便の悪い町から出かけている私の帰路は、釧路ー新千歳ー仙台と飛んで、仙台空港からは電車で北上し、最後は夫が駅まで迎えに来てくれて帰る(その駅からさらに40分ほどかかる)という予定でした。予定では17:15釧路発、18:05新千歳着、18:35新千歳発、19:55仙台着で、夫と合流できるのは22時過ぎの予定でした。しかし、結果としては雪の影響で新千歳止まりになってしまったのです。

 朝のニュースで大雪になると報道があったため、3日目の道中もずっと心のどこかで心配していました。実際少し早めに釧路空港に移動したのもそんな不安からかと思います。早く着き過ぎたので空港で〆に釧路ラーメンを食べました。「新千歳に降りられない場合は釧路に戻ります」とのアナウンスがあり、なんとなく50%を下回るiPhoneの充電に不安を感じてFree充電スペースへ。充電満タンにしながら、釧路発のタイミングを待ちました。

釧路空港で旅の〆に食べた釧路ラーメン

 「札幌の大雪で飛行機遅れている。これから釧路出るけど、最悪釧路に引き返す可能性もあるらしい。まあ、多分大丈夫と思われる」と、念のため、出発前に夫に連絡を入れていました。実際、釧路発の便は出発も遅れたし無事着陸するか不安でしたが、なんとか出発しました。そして着陸もできたので「無事新千歳着陸!」と連絡を入れました。

□飛ぶの?飛ばないの?

丹頂の里にて見たタンチョウ写真を見ながら待つ

 全体的に遅延していて、新千歳で仙台行きに乗り継いだのが予定より30分以上遅い19時頃。そして、それからが長かった...

 ゆっくり進んだと思いきや止まる、進んだと思いきや止まる、の繰り返しで一向に飛ばないんです。どんどん嫌な予感がする、胸騒ぎがする、周りもイライラしている、客室乗務員の方々も顔に出さないようにしつつも嫌なパターンを想定しているのを感じる。エンジンがかかったまま飛ばない機体は、無駄に振動だけが身体に伝わって変に痺れを感じます。それはそれは、いや〜な時間でした。(ちなみに、こういう時はエコノミークラス症候群になる可能性もあるので、脚を揉んだり身体を軽く動かすのが大事!)

 飛ばない間は電波を飛ばしても良いとなったので、満タンにしていたiPhoneで、天候情報リサーチしたり夫に連絡したりしました。何もしないでもやもやするより待ち時間を有効活用しようと切り替えることができました。この時「充電しておいて良かったー!」と自分で自分を褒めました。このあたりは震災からの学びが多く、東日本大震災を経験した家族や周りの知人から「まだあると思っていても半分下回ったらガソリンを入れる」という習慣があったので、外にいる時の頼みの綱であるiPhoneのバッテリーについても同じような感覚があったんですね。

 結局、飛ばないまま2時間ほど機内にいて、21時過ぎに欠航が決まって、私を含め新千歳空港に乗客たちは放たれました。他の便も欠航だらけで、みんな困っているようでした。でも、安全第一だから、無理に飛ぶよりは断然良いんですよね。

□想定できたこと、経験値があったこと

 こういう時だからこそ、とにかく自分に言い聞かせていたのは次のこと。


「怒ってもしょうがない」
「困ってもしょうがない」
「空港側の人だってなんとか飛んであげたかったけどダメだったからこうなった」
「どうしたって朝は来るから大丈夫」


 とにかく冷静に、平常心で、この後起きることを想定したりできることを考えるようにしました。どんどんイライラが強まると思ったので、とりあえず客室乗務員や空港スタッフの方々のお話は笑顔で聞き「ありがとう」を言うようにしました。嫌な空気も伝染しますが、良い空気も伝染しますもんね。そして、翌日の予定に支障がありそうなものについて関係者に連絡。平常心と言いつつ一人で心細さもあったので、やり取りするだけで少しほっとしました(そういう意味でも充電していて良かった!)し、翌日の不安も無くなりました。

この日、釧路川の朝日。明けない夜はないのだ!

 欠航便に乗っていた人たちは、私なんかよりももっと大事な用事のために乗っていた人もたくさんいるでしょう。一方、空港のスタッフさんたちだって、一生懸命対応してくれていましたが、クレームを受けても自分だけでは判断ができない、あるいは経験が浅かったり異動したてでぶっちゃけ分からない、というスタッフさんもいます。相手の気持ちを思いやる対応をすれば、自ずと相手も思いやって対応してくれますが、最初から怒鳴り気味で来られたら、そりゃあ笑顔も壊れそうになりますよね...気持ちも良く分かりますが、人間がよく表れるなあと、他人のふりみて我がふりを見直す機会になりました。

 それから、宿探し。すでに先に欠航が決まった便も多かったので、空港直結のホテルは満室、空港では「宿はどうしたら良いの」という質問が飛び交っていましたが「宿をお取りするまではこちらではできません」と申し訳無さそうに頭を下げるスタッフの方々。駅から近い千歳エリアは満室または高いホテルのみで、多くの人たちが札幌方面に行こうとしていましたが、札幌の方が雪でダイヤも乱れて電車も満員だろうと推測し、私は苫小牧に宿を取りました。

南千歳駅で乗り換えの時、駅のホームから

 そもそも南三陸町も太平洋側で隣町の内陸地より雪が降りにくいので、地理的にも札幌より苫小牧の方が雪が少ないとも推測しました。1回乗り換えで40分程度だし、電車も広々座れたし、ホテルも駅から5分程度だし、比較的安いホテルが取れただけでなくじゃらんポイントも使ったら2,000円くらいで泊まれました。ポイントに感謝!偶然降り立った苫小牧駅でのイルミネーションが綺麗だったのもなんだか癒されました。

苫小牧駅前でなんかの企画イルミネーション

 ちなみに、空港ロビーのベンチにはそのまま朝まで過ごそうとしている大学生らしき集団や個人が見受けられましたが、リサーチによると、空港は24h営業じゃないので、0時に閉まってしまいます。こんな真冬に、0時に追い出されたらどうしたら良いか分からないですよね。なので、あえてその人たちの前でスタッフの方にお声がけし「宿に困っているのですが、空港内で朝の便まで待てる場所はありますか?」と聞いてみました。スタッフの方も申し訳無さそうに「申し訳ございません。空港直結のホテルを除いては、空港内は消灯・施錠してしまいますのでご滞在いただけません」と。それを聞いてくれていた何人かがざわざわし出して、動き出しました。まだ21時台だったから良かった。私も24h営業ならベンチでいいやと思いがちなので「なんとかなるだろう!」と勢いで過ごさず、ちゃんと調べること、大事ですね。 

 そうして22時半頃宿に着いた私は、この日撮った釧路での写真を振り返りつつ、それが何日も前の体験だったような錯覚も覚えつつ、ベッドの上で眠りにつけたのでした。

22時半頃の苫小牧駅前

□私がしたこと・役立ったこと

 今回この経験を通して、私がしたことや役立ったたこと、奇跡的に助かったことをメモします。

【私がしたこと】
①悲観しない、ポジティブに捉える、感謝する、笑う
→いろいろポジティブに対応したように書きましたが、私、結構ネガティブなんです。途中本当は「えっ!帰れないの?やだやだやだ!」とパニックになる気持ちも芽生え、泣きそうにもなりました。でもだからこそ、悲観しそうな気持ちを抑えて、一人を寂しがるのではなく一人だから動きやすいと捉えて、貴重な経験だと前向きに切り替えました。そうしたら、ホテルでバラエティ番組を楽しめるくらいの余裕が生まれました。

②情報収集する
→天候状況、道路状況、公共交通機関の運行状況、宿の予約状況などを早めにリサーチしました。状況が分からないことが不安になるので、状況が分かれば不安も薄れていきますし、リサーチできずにいる人に教えてあげることもできます。実際、空港スタッフが「空港にもホテルがありますのでお問い合わせいただいて...」と言っていたので「もう満室みたいですよ」と空港スタッフに教えてあげました。でもやっぱり、バッテリーが大事!

③宿をとる
→7〜8割欠航だろうと覚悟した時点で宿を取りました。途方に暮れてからでは遅いし、高い宿しか残らなくなるし、うろうろしたりもやもやしたり不安な時間を過ごすよりは潔く宿に泊まろうと切り替えた方が気持ちも身体も楽ですからね。

【役立ったこと】
①スマホの充電を満タンにしていた
→先程も書きましたが、今やスマホは外にいる時のライフラインなので、車社会のガソリン同様、ストーブの灯油同様、なくなる前に入れるのは大切ですね。とはいえいつもやれているわけではないのですが、今回は勘が働いたようで良かったです。

②水やお菓子を持っていた
→これは防災を意識している私はいつも気を付けていることで、ペットボトル1本の水とチョコレートや飴やちょっとした焼き菓子などをいつも持ち歩いています。閉じ込められても、お店がなくても、とりあえず一晩過ごせるだけの食糧、糖分があれば、ひもじい気持ちにならないで済みます。

③予備の下着を持っていた
→旅先で、少なくともパンツくらいは予備を1枚持つようにしています。なんかあった時(今回みたいに1泊延びたり、旅の途中水に濡れたり汚れたり女性は生理が来ることもあるので)下着に不快感を持って過ごすのって嫌なんですよね。下着を変えられるだけでも気持ちが切り替わります。今回は寒いだろうからとたまたまヒートテックも余計に持っていたので、インナーも変えることができました。

④いろんな旅に出ていた
→今回役立ったな〜と思ったことが、20代で全国47都道府県行き切った出張の経験と、個人的な旅行の経験、そして地理を理解することです。まず、出張に慣れていた分、公共交通のことを調べたり、宿を取ったり、予定通りに行けなくなった時の瞬発力みたいなものは強かったと思います。それから、去年家族で室蘭旅行に来ていたのですが、レンタカーで白老や苫小牧を通って新千歳空港を利用した経験上、海が近いことや空港との距離感もなんとなくイメージできました(ちなみに札幌は出張で行ったことがあったのでこちらもイメージできました)。そして、普段山に入ったり漁師さんや地域の方々とお話していたため、地理的な特徴から天候のことを少し推測できました。仕事でもプライベートでも、旅は肥やしになるものですね。

 その他、偶然なのですが、2日目の夜にコンタクトをしたまま寝てしまって、そのままでいた(それも良くないけど)ので、奇跡的に4日目のコンタクトが残っていました。それから、Suicaにチャージがしっかりされていたので、現金が少なくても電車移動は安心でした。同じくじゃらんポイントなどを貯めていたので、ホテルもあまり損した気にならず泊まれました。あと、2日目の夜に部屋飲み用で買っていた缶のお酒やポテチが余ったので、お土産に仲間入りしていましたが、それが3日目の夜食になりました!笑

ポテチと十勝ブランデーハイボール

□備えあっても、憂いあり

 結果的に、日頃から諸々予備などを備えていたことと、これまでの旅や出張で飛び回ってきた経験が働いたなあと思いました。それから、こういう時の人々の心境、荒れ方も想定できたのは、震災の経験者たちから得た話が教訓となった気がします。だから、私にとってはとても貴重な体験でした。

 どんなに備えていたって「憂いなし」とはならないんですよね。やはり憂いはある。けど、憂いを和らげたり少なくすることはできるし、憂いを違う感情に変換することはできる!そのためにもやはり「備え」は必要で、それは備品的なものだけではなく、日頃の心持ちや経験もあるんだなあと実感しました。

 それから、昨夜あんなに積雪していたのに、今朝7:50発の仙台行きに乗った頃にはちゃんと飛べる状況になっていて、空港の皆さんにありがとうの気持ちが溢れました。だからやっぱり、文句ばかり言っちゃダメですね。朝イチの便からの朝焼けが綺麗だったりして、なんか旅の風景も感動も増えました。

欠航翌朝の新千歳空港

 2年連続で行った今回の北海道一人旅、文化も景色も素晴らしかったですが、最後の最後が1番学び多い旅となりました。無事、翌朝南三陸町へ帰って来られましたよ!最後に、真冬の北海道は、飛行機の欠航に気を付けて旅に出かけましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?