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2024年 観客動員数を増やすため、埼玉西武ライオンズに取り組んでもらいたいこと

 12月に入り、各球団のファン感謝祭が終了して、プロ野球は本格的なシーズンオフに入りました。2024年のプロ野球公式戦の日程は既に発表されており、今の時期から2024年の試合観戦の予定を立てているファンも多いと思います。

 2023年シーズン、ライオンズは71試合を主催して、合計1422853人、1試合平均20040人を動員しました。今年から声出し応援が復活、自粛ムードから解放され、ライオンズは2022年の観客動員数1212233人(主催試合72試合、1試合平均16837人)から数を増やしましたが、2019年にリーグ優勝を果たした時は1821519人(主催試合72試合、1試合平均25299人)を動員したため、コロナウイルス流行前と比べると観客動員に苦労しています。

 2023年のライオンズの観客動員数の詳細は以前の記事で紹介しましたので、今回は2024年シーズンにどのような取り組みを実施すれば、ライオンズの観客動員数が増えるのか、ファンがベルーナドームへ足を運びたくなるのかを考えました。以前の記事と重複する内容もありますが、ぜひ、読んでください。

◯平日の観客動員数を増やすためにできること

 ベルーナドームで開催される試合の集客について、以前から平日(特に火曜・水曜・木曜)に開催される試合の観客動員数が課題になっています。ベルーナドームの最寄駅である西武球場前駅は西武鉄道の狭山線と山口線(レオライナー)の終着駅です。西武鉄道の駅で1日の乗降人員が最も多いのは池袋線の池袋駅(2021年度のデータ)ですが、池袋駅から西武球場前駅へ行くには、西所沢駅で狭山線に乗り換えなければいけません。池袋から急行を使用して西所沢駅へ向かっても、池袋から西武球場前まで50分は掛かります。西武沿線であっても、東京23区内から仕事終わりにベルーナドームへ野球観戦に行くのはかなりのエネルギーを要するのが現状です。

 では車でのアクセスはどうなのか。車でのアクセスは鉄道以上に不便です。ベルーナドームの周辺道路は一本道のため、試合終了後は大通りに出るだけで1時間以上掛かることが日常茶飯事ですし、そもそもベルーナドームで試合がなくても、近隣道路では頻繁に渋滞が発生します。これらの背景を踏まえたうえで平日の観客動員数を増やす方法、ファンが喜びそうな取り組みを考えました。

◯売れない座席に付加価値をつける

 プロ野球の試合のチケットは列のいちばん端の席、通路の前後の席から埋まる傾向があります。逆に出入りが大変な列の真ん中付近の席は最後まで売れ残る場合が多いです。実際、私も同じ値段を払うのであれば、移動がしやすい座席を確保したいですし、自分がチケットを購入する段階でそのような席が残っていなければ、観戦を諦めることもあります。しかし、これは視点を変えれば、大きなビジネスチャンスだと思います。

 例えば、平日の観客動員が見込めない日があるとします。2024年の試合日程の中ですと、4月10日(水)のマリーンズ戦、5月21・22日(火・水)のマリーンズ戦、6月25日(火)のファイターズ戦、7月9・10日(火・水)のファイターズ戦、7月16・17日(火・水)のバファローズ戦は1日の観客動員数が10000人程度になる可能性が高いです。その理由は以下の通りです。

①4月は新年度の始めでスケジュールが不透明なファンが多いため、チケットの買い控えが起こりやすい。

②4月のベルーナドームのナイターはまだ寒いため、観戦を避ける傾向がある。

③ゴールデンウィークの前後、交流戦の前後、夏休み前はチケットの買い控えが起こりやすい。

 これらの試合の列の真ん中付近の座席はかなりの枚数が売れ残ると思います。しかし、その座席に付加価値をつけることで売れる可能性を上げることはできます。

 例えば、ベルーナドームは球場グルメが豊富で店舗数は12球団最大級を誇り、メニュー数は1000種類以上に及びます。極端な話、座席に座ってもらわなくても、球場の外周エリアを散歩しながら、グルメを楽しんで帰ってもらうだけでも良いと思います。幸い、ベルーナドーム内にはDAZNデッキなど、座席以外に休憩ができるスペースもあります。グルメを楽しむことを目的に来場するお客さん向けに、列の真ん中付近の席を本来のチケットの半額や正直500円くらいで販売しても良いと思います。買いやすい値段で、球場グルメを楽しみたい人の入場料のような感覚でチケットを販売すれば良いと思います。グルメを楽しむ前提での来場であれば、試合開始後に球場へ来ることや試合中に帰ることへの抵抗を減らすこともできますし、野球に興味はないけど、ベルーナドームのグルメを楽しみたい人の購入の敷居を下げることもできます。もちろん、席で試合を少し観ようという気持ちになれば、チケットを購入しているわけですから、観戦をして帰るのも大いに結構だと思います。

◯伸び悩む休日の観客動員数を伸ばすことにできること

 2023年シーズン、ベルーナドームの最大収容人数は31552人と公表されています。しかし、2023年にベルーナドームで開催されたライオンズの試合の観客動員数を見ると、おそらく、消防法などの関係もあり、チケットの販売は1試合最大で28000人分ほどに抑えていると思います。

 ベルーナドームでの試合のチケット販売枚数を28000人分と考えると、9割を動員すれば25200人になります。しかし、2023年の(土・日・祝)に開催されたベルーナドームでの試合で観客動員数が25000人を下回ったのが11試合、その中で20000人を下回った試合が4試合あります。特に7月の(土・日・祝)にベルーナドームで開催される試合は暑さ対策のため、ほとんどがナイターでの試合になるため、デーゲームであれば観戦ができる学生の集客があまり見込めず、夏休み前の行き控えの影響もあり、観客動員数が伸び悩む傾向があります。2023年7月の(土・日・祝)にベルーナドームでは7試合が開催されたのですが、25000人以上を動員できた試合は2試合のみで、20000人を下回った試合は3試合あります。

 ライオンズの主催試合は現在、試合日ごとにチケット価格が変動する「フレックスプライス制」を導入しており、スーパープレミアム、プレミアム、スタンダード、バリューの4種類のカテゴリを設けています。(土・日)に開催されるグッズ配布日などの試合はスーパープレミアム、平日の集客が難しい試合はバリューというように設定がされているのですが、今後、7月の(土・日・祝)の試合に関してはカテゴリを今までよりも下げたほうが良いと思います。

 2023年7月23日(日)に開催されたイーグルス戦はスーパープレミアムに設定され、来場者全員にユニフォームデザインフード付き冷感タオルの配布日だったのですが、観客動員数は15685人でした。グッズ自体は魅力があると思うのですが、スーパープレミアムのチケット代とのバランスを考えた時に来場を控えたファンが一定数いたのだと思います。それならば、グッズ配布がないとしても、チケットをバリュー価格で販売したほうが「休日なのに安く観戦できる」という特別感が出て良いと思います。以下はカテゴリ別の内野指定席S(大人)の前売り価格です。

◯スーパープレミアム
ファンクラブ会員5400円、一般6000円

◯プレミアム
ファンクラブ会員4500円、一般5100円

◯スタンダード
ファンクラブ会員3800円、一般4400円

◯バリュー
ファンクラブ会員3400円、一般4000円

 2023年、1試合で販売される全席種のチケット価格の平均はスーパープレミアムの試合で約6400円、これがバリューの試合では約4580円になります(※大人のファンクラブ会員の前売り価格から平均を出しており、各席種の座席数、一般料金、子ども料金などを考慮すれば、実際の平均価格は異なりますので、あくまで参考の数字です)。

 スーパープレミアムの試合で観客動員数が16000人の場合、
 16000人×6400円=1024万円のチケット収入が見込まめす。

 バリューの試合で観客動員数が25200人(チケット販売数を28000として収容率90%)の場合、
 25200人×4580円=約1154万円のチケット収入が見込まめす。

 スーパープレミアムの試合では何かしらのグッズを配布することが多いため、そこに掛かるコストや観客動員数が増えることで見込めるグッズやグルメ、西武鉄道の運賃なども考慮すれば、スーパープレミアムの試合で16000人を動員するよりも、バリューの試合で25200人を動員するほうが利益を上げることができる計算になります。

 2024年の試合の中では7月6・7日(土・日)のマリーンズ戦、7月15日(月・祝)のバファローズ戦、7月20・21日(土・日)のホークス戦はおそらくナイターでの開催となり、夏休み前の期間で行き控えが発生する可能性が高いため、バリューの試合にしたほうが多くの観客が足を運び、利益にも繋がると思います。本来、バリューは平日の一部の試合の価格設定なので、休日にバリューの試合を開催するだけでも、特別感が出て、球団側も宣伝がしやすく、ファンにも響くと思います。


◯出典
・埼玉西武ライオンズ 2023年12月1日
https://www.seibulions.jp/

・プロ野球Freak 埼玉西武ライオンズ観客動員数 2023年12月1日
https://baseball-freak.com/audience/lions.html

・西武鉄道 駅別乗降人員 2023年12月1日
https://www.seiburailway.jp/company/passengerdata/

・埼玉西武ライオンズオフィシャルサイト ライオンズグルメ 2023年12月1日
https://www.seibulions.jp/gourmet/

・LIONS BUSINESS 2023年12月1日
https://bellunadome.seibulions.co.jp/business/


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