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福岡ソフトバンクホークスがおかしくなった理由

※今のホークスに対する否定的な内容が中心ですので、特にホークスファンの方が読む際はご注意ください。

 まさか、2023年のプロ野球シーズンオフがこんなにも荒れるとは思っていませんでした。特にパ・リーグの球団で様々なニュースありましたが、その中でも大きく荒れたのが福岡ソフトバンクホークスだと思います。山川穂高選手のFA獲得から和田毅投手の人的補償騒動、いつの間にかプロ野球選手会による人的補償廃止の話に問題をすり替えようとしていますが、ホークスの内部が良い状況でないのは事実でしょう。今回は福岡ソフトバンクホークスがおかしくなった理由について考えていきます。

◯ホークスのドラフト上位指名が上手くいかない理由

 パ・リーグの野球を熱心に観ている人ならば、5年以上前からホークスのドラフト、特に上位指名の選手がチームの主力になれていないことに気付いているはずです。2013年〜2022年の10年間、ドラフト1・2位で入団した選手をチームの主力に最も育てることができていないのがホークスだと思います。なぜ、ホークスのドラフト戦略は上手くいっていないのでしょうか。

①即戦力指名→素材型指名の方針転換が失敗

 かつてのホークスはドラフトの上位で大卒・社会人の即戦力選手を獲得して、その選手がチームの主力になっていました。ホークスが福岡に移転後初のリーグ優勝と日本一に輝いた1999年、チームの主力には1991年ドラフト1位入団の若田部健一さん(駒澤大学)、1993年ドラフト2位(逆指名)入団の小久保裕紀さん(青山学院大学)、1996年ドラフト1位(逆指名)入団の井口資仁さん(青山学院大学)、同年ドラフト2位(逆指名)入団の松中信彦さん(新日本製鐵君津)、1997年ドラフト1位(逆指名)入団の永井智浩さん(JR東海)、同年2位(逆指名)入団の篠原貴行さん(三菱重工長崎)がいました。

 その後も2002年に自由獲得枠で入団の和田毅投手(早稲田大学)、2005年に希望入団枠で入団の松田宣浩(亜細亜大学)さん、2010年ドラフト2位入団の柳田悠岐選手(広島経済大学)、2012年ドラフト1位入団の東浜巨投手(亜細亜大学)、2013年ドラフト2位入団の森唯斗投手(三菱自動車倉敷オーシャンズ)などの大卒、社会人出身の選手がチームの主力として活躍、ホークスの優勝に大きく貢献しました。特に1993年〜2006年まで名称を変更しながら続いていた逆指名制度をホークスは上手く使い、即戦力の選手を獲得して、チームの強化に繋げていました。

 逆指名制度が廃止された後にホークスが当初は上手く活用していたのが育成選手制度です。育成選手制度に近い仕組みは以前からあったのですが、2005年からルールが整備され、支配下登録選手(1軍の試合に出場する資格を有する選手で現在は各球団70人が限度、支配下登録選手の中でその時に1軍登録をしている選手が1軍の試合に出場することが可能となります)からは外れるが、チームに在籍させることができる選手の制度として誕生しました。それに伴い、新人選手を育成選手として指名できる2次ドラフト(育成ドラフト)が設けられました。

 2010年育成4位入団の千賀滉大投手(蒲郡高校)、同年5位入団の牧原大成選手(城北高校)、同年6位入団の甲斐拓也選手(楊志館高校)、2013年育成1位入団の石川柊太投手(東京都立総合工科高校)、2017年育成ドラフト2位入団の周東佑京選手(東京農業大学北海道オホーツク)、2019年育成ドラフト2位入団の大関友久投手(仙台大学)はホークスに育成契約で入団した選手として大成功した例だと思います。

 一方、2013年〜2022年のドラフトで1位・2位指名を受けて入団をした選手でホークスの主力になれたのは、森唯斗投手と2014年ドラフト2位入団の栗原陵矢選手(春江工業高校)しかいません。この原因についてですが、いちばんは一部の育成選手の成功により、正統派の即戦力よりも素材型の選手の獲得を優先するようになったからだと思います。

 しかし、育成選手が1軍の戦力になれる確率は決して高くなく、20人中1人が1軍の戦力になれば御の字の世界です。実際、ホークスに育成選手として入団した多くの選手が支配下登録をされることなく、ホークスでの選手生活を終えています。今のホークスは大きな網で大量の選手をすくい上げて、その中の誰かが戦力になれば良いと考えているように見えます。少なくとも、バファローズ、タイガース、ライオンズのような、ここ10年間のドラフトで上位指名をした選手が主力として活躍しているチームとは、選手1人を獲得する際の力の入れ方が大きく異なっているように感じます。

②選手が育ちにくいファームの環境

 ホークスはファームの施設としてHAWKSベースボールパーク筑後を2016年に竣工、メインとなるスタジアムは3113人を収容することができ、他にもサブスタジアム、屋内練習場、合宿寮、クラブハウスなどの施設を完備しており、現在でも12球団屈指の環境を備えています。

 竣工当時はホークスの黄金期真っ只中で千賀投手という育成選手からチームの主力選手に育った成功例があったため、ホークスのファームの環境に投資をする取り組みはお手本として見られていました。しかし、私はこのファームの設備充実が結果的にホークスの若手選手が育ちにくい原因になっていると考えています。

 2024年1月29日にホークスの公式Webサイトを確認したのですが、ホークスには育成選手が57名在籍しています。HAWKSベースボールパーク筑後は1軍の選手が練習で使用することもありますが、シーズン中に福岡で試合を開催する日、1軍の選手は基本的にPayPayドームで練習をしています。それ以外は遠征に出ているため、ホークスのファームの選手は1軍の選手を間近で見たり、関わる機会が多くないのが現状です。

 一方で育成選手が57名在籍しているということはホークスのファームは育成選手が圧倒的多数を占めていることになります。恵まれた環境で育成選手が圧倒的多数を占める環境、これでハングリー精神や高い意識を育むほうが難しいと思います。実際、小久保監督や主力選手がファームの選手の意識の低さをについて、公の場で言及したこともあります。今のホークスは、元々意識が高く、負けん気が強い選手にとっては非常に良い環境ですが、そうではない選手にとっては育ちにくい環境なのだと思います。

◯チームが1つになれていない

 私が思うホークスのいちばんの問題点がチームが1つになれていないこと、もう少し具体的な表現をすると、フロントと現場が自分たちの意見を一方的に言い合うだけの状況になっていることです。様々な意見があるでしょうが、少なくとも私にはそのように見えています。

 例えば、2023年シーズンの7月の日程についてです。ホークスは7月9日(日)に仙台で試合を戦った後、10日(月)に京セラドームでホークス主催の試合、12日(水)に北九州市民球場、13日(木)にPayPayドームで試合を戦いました。10日(月)の試合は鷹の祭典を京セラドームで開催したのですが、これはかなり無理がある日程だったと思います。そもそも、ホークスは普段バファローズとの試合を京セラドームで行っているので、大阪のホークスファンはホークスの試合を観る機会があります。その中で大阪で主催試合を開催する必要がどれだけあるのか、しかも、仙台から移動日なしで実施をする意味がどれだけあったのかは疑問に感じますし、少なくとも球団側は選手の負担を考えていないと思いました。

 一方で選手側も球団が投資している金額分の働きをしているかといえば、ここ数年に関しては疑問が残ります。特にホークスの選手はケガで長期間欠場することが多く、球団側からすると「設備や選手の年俸に投資をしているのに、何をやっているんだ」という気持ちになっても仕方ない状況だと思います。小久保監督が2024年の開幕投手の候補に挙げていた和田投手をプロテクトから外していたことにしても、現場とフロントで連携が取れていないことの証明であり、それがホークスの現状を招いた根本的な原因な気がします。現場とフロントが一枚岩になれていないことをホークスファンは怒っているのだと思います。

 フロント、首脳陣、選手、ソフトバンクグループ、それぞれに思いがあり、意見が割れることも当然あるはずです。しかし、それを解決しようとはせず、ソフトバンクグループが力で押し切ったり、首脳陣や選手がSNSやメディアで言いたいことを言って、何も解決していないのがホークスの現状だと思います。


◯出典
・福岡ソフトバンクホークス 2024年1月29日
https://www.softbankhawks.co.jp/

・福岡ソフトバンクホークスのドラフト指名選手-Wikipedia 2024年1月29日
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/Category:%E7%A6%8F%E5%B2%A1%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%88%E6%8C%87%E5%90%8D%E9%81%B8%E6%89%8B%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88


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