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読書のキロク

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本のキロクは記憶!
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記事一覧

整形した殺人鬼が、『夜歩く』

 初めて読むディクスン・カー(1906~1977)で、記念すべき処女作。 『It Walks by Night』19…

耳
2週間前

ミステリ作家による本のススメ、『米澤屋書店』

ミステリー作家・米澤穂信氏が様々な媒体に書きためてきた書評やお勧め本、対談を一冊にまとめ…

耳
3週間前
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ウラジーミル・ソローキン『テルリア』リプス!

 『青い脂』の凄まじい読書体験が忘れられないウラジーミル・ソローキンの描く、”ユートピア…

耳
3週間前
3

作家にしておくのにはもったいない、イケオジ島田雅彦著『君が壊れてしまう前に』

いつか教育テレビで見かけた島田雅彦氏が、作家にしておくにはもったいないほどの私的イケオジ…

耳
1か月前
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『一本の線』野見山暁治、再読

洋画家・野見山暁治による私小説。1990年刊行。   アルバイトしていた古書店で、著名な作家…

耳
1か月前
3

米澤穂信によるミステリ『追想五断章』

先月の所用に携えた『奔馬』を旅先で読み終えてしまって、金沢で調達した初めての米澤穂信氏の…

耳
2か月前

豊饒の海シリーズ『春の雪』『奔馬』の豊饒

『春の雪』  ことしの読書初めに選んだ”豊饒の海シリーズ”、前半の2冊を読み終えた。三島由紀夫というひとの凄みに感じ入る、まさに豊饒ですばらしい。 維新の功臣を祖父にもつ侯爵家の松枝清顕と、伯爵家の美貌の令嬢綾倉聡子のついに結ばれることのない恋。矜り高い青年が、<禁じられた恋>に生命を賭して求めたものは何であったか?―大正初期の貴族社会を舞台に、破滅へと運命づけられた悲劇的な愛を優雅絢爛たる筆に描く。(『春の雪』新潮文庫カバーより) 高等遊民=永遠のモラトリアム小説が、まるで