SS 井戸の鬼【#子どもの日】 #シロクマ文芸部
子どもの日が来た。村の大人達は数日前から準備をはじめている。僕は親戚の縁側で足をぶらぶらさせる。畳で横になる従姉は、だるそうだ。
「端午節って何?」
「鬼に憑かれない支度……」
親戚の家にGWにおとずれるのは初めてで父親は親戚たちといそがしそうだ。
従姉は十六歳で県内の高校に通っている。
「小さな子は、鬼になるからね……」
「……迷信だよね」
「前に端午節を、さぼった子がいた」
「それで」
「鬼になった」
「嘘だ」
「なったよ、だから井戸に落としたんだ」
「……