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SS クリスマスの贈り物【検索順位&クリスマス&脳みそ】三題話枠

クリスマスプレゼント、何にしようかな」
私はクリスマスプレゼントを検索する。子供向け、両親向け、恋人向け。色々あるが脳みそ向けを選ぶ。私の彼氏は脳みそ。

「やぁ元気かい」
培養槽の中で浮かぶ灰色の物体は脳みそだ。彼は生まれた時から脳みそとして生きている。脳培養による初めての実験体だ。人権を所持する彼は男性として登録されている。

研究者として彼との付き合いは数年経過している。脳の成熟は人の年齢より速い。栄養の問題もあるが促進剤で急速に成長できる。

「今日はクラス順位の上位に入れたよ」
彼は仮想現実の中で生きている。朝起きて学校に通い夜に眠る。彼の現実は私達の現実と同じだ、友達や先生は高度なチャットAI。違和感なしで彼をサポートする。

私はたまにVR空間に入って会うがほとんどはビデオ会議のようなモニター同士の付き合いが多い。彼は自分がリアルとは異なる空間にいる事を理解しているが、リアルが何なのかは判らない。VRの延長として理解しているだけだ。

「プレゼントをあげたいの、何がいいか迷ったけど、ペットはどうかなと」
「ペット? いいね動物型のNPCは初めてだ」
電脳ペットをプレゼントする事にした。研究所の検索順位の上位のアイテムだ。安定している筈だった……。

「あれまずいよバグがある」
「なんで修正しないの」
同僚が古いバージョンを削除せずに検索システムにヒットしていた。私はそれを彼にプレゼントしてしまう。

「いやー最高だよ、プレゼントありがとう」
彼は喜んでいる。動物NPCとして登録してあるが、姿形が女の子。変身するタイプの動物NPCをプレゼントしてしまう。もちろん思春期の彼は、その彼女と……

性なる夜は長かった。

終わり


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