阿蘇へ (14/15) 【幸蔵の旅】
あらすじ:幸蔵は鬼の王を倒す。
「幸蔵ありがとう」
静が幸蔵の頭をなでる。幸蔵は不思議そうに静を見る。彼はもう彼女が遠くに感じていた。
「解毒丸があったぞ」
仙人が鬼達から薬のありかを聞き出していた。薬を持って故郷に戻る事にする。仙人は白い雲を作ると、みなを乗せて空を飛ぶ。姉の千を助けるために急いでいた。
「解毒丸を早く持っていくだ」
「効能どおりなら助かるだろうが……」
仙人は難しい顔をしながら考えている。万能の薬である仙丹を使えば治せるが人ではなくなってしまう。それが幸せかと考えると難しい。
故郷の山へ戻ると村人の達が集まって待っていた。仙人が雲から降りて村人達に話を聞く。
「なるほど、幸蔵の姉は、地下にいる狻猊の所だ」
「おらが迎えにいくだ」
解毒丸を静からあずかると、仙人と一緒に地下の国を目指す。静村に残り、手をふりながら幸蔵を見送った。
「仙人様、狻猊とは、どんな妖怪ですか」
「うむ、古代の神だな」
仙人は阿蘇の国まで飛ぶと、山頂の穴に仙術の木の杖を向ける。深く大きな穴が開くと、真っ赤なマグマが見えた。こんな所に姉がいると思うと恐ろしい。もう生きていないかと絶望を感じた。
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