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大闘技場1 剣闘士マリウスシリーズ

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あらすじ
闇闘技場で勝利をしたマリウスは大闘技場への出場を果たす。

(マリウス)(勝てよ)(お前なんぞ死んでしまえ)
大闘技場は民衆の人気の娯楽だ。多数の人々が賞賛とヤジと罵倒をする。今回は複数人同士との決闘だ。味方になるのは、ガリア人のリッカルドで痩せているが俊敏だ、ヤコポは体が大きいが動きは遅い。主人同じでヘカテーから派遣されている仲間になる。

ヤコポが
「マリウスが先に行け」
作戦も何もない、こいつは他人を盾にしたいだけの男で何も考えてない。本来は連携が必要になるが、実際は状況次第で戦うので細かい合図は決めた事がない。俺も適当な男だ。

俺が先に進む前にガリア人のリッカルドが盾と片手剣で突っ込む。彼を先に倒そうと相手側が集中した隙に左からステップを使って敵の腕を切り裂く。俺がそのまま背後に回ると、前後に挟まれた敵は簡単に殲滅できる。ヤコポは何もしなかった。

リッカルドが俺の肩を軽く叩く
「また俺にまかせてくれ 防御は得意なんだ」
ガリアから奴隷として連れてこられた奴は多い。彼は気さくで俺の実力を認めている一人だ。ヤコポは無表情に見ている。こいつだけは何を考えているのか判らない。俺は毎日のように闘技場に出た。それ以外は訓練を行う。名声が上がれば自由になれる。と俺は信じていた。

訓練が終わるとヘカテーの召使いが俺を呼び出す。この家の主人から、ケガをした娘を頼まれて数年なるが、俺に飽きない理由が判らない。もっと美男子や歌や楽器が上手な奴も居るだろうと思うが、無骨な俺をいつも側に置いた。

「マリウス 今日も勝利したのね 乾杯しましょう」
俺は彼女の杯にワインを注ぐ。酒を飲み過ぎているのか昼間でも酒が無いと駄目らしい。ヘカテーの顔色は悪く気分の浮き沈みも激しい。彼女の召使いも頻繁に入れ替わった。酒に溺れて俺を抱く、その繰り返しのためだけに彼女は生きていた。

「やっかいな興行が決まったわ」
ティベリウス家の女主人のアレッサンドラは、横を向いたまま話をする。俺の目を見ない。なぜだろうか?とたまに考える。目を見ると相手の考えが読めるのか?とも想像した。もしそうなら奴隷の考えている事なんて、知りたくも無いだろう。

「魔獣が相手になるの なんでもガリア地方に居たバケモノを捕まえたので 闘技場で倒して欲しいって依頼よ」

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多くの命を奪ったバケモノをなんとか檻で捕まえたと言う。エサは子供を使ったとも聞いた。捕まえて見世物として殺そうとしたが、闘技場で戦わせると剣闘士がすべて殺された。貴重な人材が減るのも困るが、面目が立たない。

「元老院のフェデリコはすぐ殺せって言うけどね 用意するのに大金使ったからね」
アレッサンドラは、儲け話は好きだ。元老院からの命令でも無視をして闘技場で稼ぎたいらしい。ただ最近は剣闘士が拒否をするので興行が出来ない。無理にやらせても一撃で食われてしまう。

アレッサンドラはもし倒せたら魔獣を貰い、血や牙や毛皮で儲けようとしていた。死んだ獣でも十分に金を取れる。それなら餓死させてもいいと思うが、見世物として殺したいのが本音だ。

「どうする?傷でもつけとく?」
先に魔獣を弱らせるために血を流させて倒す提案だが、同じように思えた。逆に手負いならもっと抵抗すると思えた。あまり差は無さそうだ。

「武器は何を使ってもかまわないのですか?」
彼女はうなずく、俺は武器を告げると少し驚いたが彼女は笑った。
「いいわね 武器に女奴隷を利用するとか面白いわ どうするのエサにするの?」
俺は
「二人で戦います」

続く

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