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【展覧会レポ】ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか? @ 国立西洋美術館

みなさん、こんにちは!

現在、国立西洋美術館で開催中の『ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?』展に行ってきたのでレポしたいと思います。

◆公式サイト

本展は、西洋美術を中心に扱う国立西洋美術館が初めて行う現代美術の企画展です。テーマは、西洋美術館と現代アーティストの関係性について。国内外で活躍するアーティスト21人をフォーカスしていきます。

西洋美術館のコレクションは、松方幸次郎の収集していたものに基づきます。真意はわかりませんが、彼は"西洋の美術を日本に生きる美術家たちに見せたい"という想いから作品収集をしていたのではないではないか、今回の企画展にあたり美術館側はそのように考えました。未来の芸術家の創作活動のために、過去の作品を展示する、ということですね。

ここ西洋美術館は過去の作家に寄り添うだけの場所になっていました。本来は未来のアーティストのための場所になるべき。今日、その役割を担っているのかを自問自答する展覧会です。

西洋美術館に影響を受けたアーティストが少ない中で、今回、あらためて西洋美術館に21人のアーティストたちが向き合います。上野という立地、西洋美術という立ち位置、コルビュジエの建築、様々な視点で現代のアートと融合していく西洋美術館をお楽しみ頂けると思います!

※撮影はすべて著者によるものです。
※一部を除き展覧会は撮影可能です。


じっくり観ていたらなんと2時間くらい経ってました(笑)。このレポでは、解説というより私が楽しんだポイントをいくつかの展示を通して話していきたいと思います。ぜひ、実際の作品を観ながら、皆さん自身の感覚で受け取ってみてください!


その絵画は、あなた次第。

内藤礼による作品。一見真っ白なキャンバス。隣にはセザンヌの絵画。両方の作品をそれぞれじっくりと、そして交互に比べて、、、あれ?真っ白なキャンバス、、、じゃない?!そんなあなたにしか観えないような感覚を醸し出してくれる作品です。じっくりと絵画を観るということ、それはある種の自問自答となる時間なのかもしれませんね。


彫刻の働き方改革?

小田原のどかによる作品。彫刻の転倒と思想の転向を重ね合わせて考察する作品はどれもユーモアに溢れていました。簡単に述べると、彫刻や建物が地震で崩れることを想定した作品群です。日本の建築は地震と向き合い、その都度"作り直されること"を前提にしていると小田原は言います。まるで、いつか時代の先で再構築される前提になっているかのように、、、。そんな姿が、思想の転向に重ねられると言うのですね。いやぁ、めちゃくちゃ考え深いし、面白いなあと思いました!

西洋美術館にはロダンの作品が多く展示されています。小田原の転倒マジックに恩恵を受け、考える人はもはや考えるのをやめているように思えました(笑)まさに思考の転向!

考える人をやめた考える人
そこに、考える人はいなかった


マルチバース絵画

竹村京の作品。モネの『睡蓮』の、一部を糸と布によって修復したもの。後ろにあるのが修復が施された"絵画の"睡蓮。そして手前に、それを補填する"縫製の"睡蓮。美術館にある作品は、生きているのか?そんなことを自問自答するセクションでの展示は、まさに『睡蓮』という作品が保管庫に安置されるだけの存在なのか、それともまだこうして作品としての新しい道を見出す生きた存在なのかを問うているようでした。

絵画と縫製、ふたつの睡蓮
重なることで生まれるひとつの睡蓮

まさに一方の絵画が作る世界と、縫製の作る世界、そしてその両方が作る世界。絵画の世界におけるマルチバースを体感してみてください。


その他にも展示の一部をチョイ見せします!

IKEAの家具と絵画と写真


美術館の持つ枠:フレームにとらわれない様々な作品と思考に触れることができます。あらためて美術館とは何か?アートってなんだ?そんなことを自問自答してみても楽しいかもしれません。皆さんにとって、美術館はどんな場所ですか??


展覧会は、5月12日まで上野の国立西洋美術館で開催中です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


※執筆にあたり解説パネルやチラシ、公式サイトなどを参照しています。

※記載の考察や感想は個人によるものです。あらかじめご容赦ください。

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