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いままでは準備が出来ていなかったの

同じような朝を通り過ぎ日々をやり過ごす

わたしたち、何度もそこで出会いながらもとおりすぎたね

わたしたち、ここで出逢い直したらどうなる?

それってきっとひろい湖のなかに

すりきれた色をおとしてしまったみたいなこと?



ああ そうしてまた明日からずっと

わけもなく同じような日を繰り返し続けてる

わたしはこたえ探しばかりして

あなたは駐車場を選びつづける

おなじような海を見下ろしていた歩道橋

そんなふうな毎日でわたし達が出逢いなおしたらきっと

わたしはきみの髪や顔や話し方を新しく見る

ー準備がまだ出来てなかったんだ。なんてね

わたしは自分の手で転がるものをひとつひとつ拾い上げるようになる

きみの声がこんなにか細いなんて知らなかったから

真実を探り当てる喜びみたいに

君の感情を知る

せわしない日々の中に戻されたから

意識的になるのは、幸福だった日々ばかり

甘いものばかり選んで取るなんて

と笑いつつも、

きみが連れて来る景色は

わたしの毎日を生まれ変わらせる。

もしかしてはじめから、繰り返していたのではないんだ?

思い、それがもう間違いのようには響かない

ただ、軽く明るいまま

君みたいなままで

少しずつ溶け込むように

今日、わたしはもっと深いわけを知りはじめる

君が悲しかった意味、怒った意味、

わたしはいつも正面から見てただけだった

君の顔、「ぼくは…」

話し始めるまでの10秒まで、

君に成り代わるまえのすべて。

わたしはきみの背後を追うようになった

ああ こういうことだったんだ

とか思いながら

そんなに、わるくないものなんだな…

と思って、

わたしまだ、あなたに出逢う準備が出来てなかったんだ?

あのとき試験管の中にいたきみ とその外にいたわたし

忘れ去られた言葉をひとつひとつ、しゃがみ込んでは探してみる

ああ、両手を広げてもひろげてもとどかないよ

時間ていう距離…君の群像。

たくさんの情景


その中から、今まで。

少しずつ少しずつきみはわたしに、

明日を連れて来るようになっていた。


ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。