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漫才文ー拝啓

「いや〜、それにしてもボケまくりますな〜」
「え?
「いや、やっぱりボケ属性のひとって日常会話でもぽんぽん、ぽんぽんボケを入れ込んできますなあ。見てて、きもちエエわあ。」
「そうですか?」
「さく!」
「ん?」
「サク!」
「なんですか?それ」
「だからね、バームクーヘンに入れ込むナタみたいにサク!って感じで入れ込んでくるでしょう。」
「ナタ?!」
「ええ。」
「ナタかどうかは分かりませんけども。いや〜こんなものでよかったら、いくらでも持って来れますよ。ねえ。」
「でもなあ〜。ボケと突っ込みって言っても,本当はそれあなたの場合、自然状態で湧いてくるって訳じゃ無いんですよね。多分ボケてたいっていうよりも、もっとこう…明確にここ突っ込んで欲しいッ!ていう意志をもってボケをこう、いつも吐きまくって来てるんですもんね」
「いや別にそう言うわけじゃありませんけどね。僕だって、自然に話してますよ。ねえ」
「じゃないですよね?」
「いやいや。そんなに僕、普通に会話しているだけじゃないですか。」
「会話?」
「ええ。」
「それでわたしラーメンが好きなんです」
「はい?」
「ええ。ラーメン。」
「なにが?」
「だからラーメンが。
ね。だから、その辺で勝手にボケてる人のことを僕は観察していたんですわ。…それでそうしているうちにふと思ったんですよね。あれっ、コイツは僕がもしかしてラーメンが好きっていう気持ちと同じくらいに、ボケとかなんだとかっていうよりも、その後皆からボスボスと投げつけられてる突っ込みの方が大好物なんじゃないかな〜って思ったんです」
「いじめられっこかよ」
「え?」
「いやだから…いじめられっこかって!」
「いやだから、別にそんな事誰も望んで無いだろうって話なんですけどね。あ、でも思い出した。今って、なにかそのカカオトークとかでも既読スルーってあるじゃないですか」
「いや話古っ」
「今は当たり前に,ひとり一台みたいにすかしてやがりますけど、スマートフォンとか、アイファンとかも昔はこんなにでかかったですからね」
「…」
チラ見する田中。
「どんな利器だよ!」
「…それでいまや文明の利器が発達してきたから、なんていうのかな…あれ…あれ…ねえ。」
「…どこまで行くんだよ」
「あ!思い出した。」
「ガラケーだろ。」
「メールとかですね。メール。それとかその、なんだ…なんだ」
「なんですか?」
「あ!思い出した。そう糸電話とかでもまだ、意思疎通できるように我々なってきてるんですよね」
「LINEを思い出せLINEを!」
「それで、たとえば、あなたがメールしてきたとします。それに対して僕が、返した。それを、あなたがボケた,それに対して僕が突っ込んでみた。こういうリズムになっているじゃないですか。」
「通常ではね。」
「ええ。だから平日のウンコダイヤではそうなってたとしても、そう積み重なって来るとこれが,だんだんとならわしみたいになってくるじゃないですか。」
「今なんて?」
「だからね、そういうムラみたいな感じじゃなくって、ごく当たり前のやり取りを相手に任せてるせいで,その辺がダラダラっと中だるみしてくるでしょう。その上,こっちは一生懸命にボケモグラをたたきまくってるのに、あなたがさらにそれを既読スルーするっていうことってなにか、モヤッてする感じはするんですよね」
「そんなことしますか?」
「するする。それで僕,思ったんです。ぽーん!って叩きますでしょう。それに対して、みゅうッ!みたいなかんじで応えてくれたりとかしてもいいと思うんですよ」
「はい?」
「だから…ちょっとやってみてください。ほら(あたまを差し出す)」
ポン!とたたかれるツッコミ。
「よしたかゆりこ!」ボケに叩き返すツッコミ。
「イタッ。」
「…」
「ちょっと、ちがくないですか?」
「違うも合ってるも。とにかく鳴くボケに対して突っ込んでもらうじゃないですか。逆にね。だからあなたがわざわざ、ツッコミが足りて無いからって道端でノコノコやってきてボケた後でまた、ツッコミを僕が取りまーす!みたいに別の領域にもまた飛び込んでくるじゃないですか。」
「エ?」
「はい?」
「ちょっとまって。それ一体なんの話?」
「既読スルーの話です。で、それに対して,…あ〜あ。トイレの水ジャーッッみたいに外に向かってハケていくみたいな流れじゃなくてね。その、既読の余韻で我既に成立せりみたいに」
「うん」
「…で。だから、もっと…ここでフン!そう勇気だ!勇気を出して,僕は流しません!みたいな。…さらにLINEスタンプぽーん!みたいなメッセージってあってもいいんじゃ無いかなって思ったんですよね」
「おまえスタンプのこと知ってんのかい!」
「うん。だって大好物なんでしょ」
「それはあくまでボケとツッコミの話でしょう。わざわざ混ぜこぜにしないでくれる?」
「うん。ジャーッ」
「え、どういうこと?」
「え,わかんない?」
「うん」
「じゃあ、ちょっとやってみるから,何か言ってみて。じゃあ分かりやすく,俺が,ボケるから。」
「うん」
「…でなあ、俺がその行列のな。あ、ラーメン屋のな行列に並んでたわけよ。それがもうずらーっと,道端を突き抜ける感じでその日は三十人くらい並んでいました。俺も,それを眺めてたんだけど…ラーメンって言っても,明らかに掘立て小屋なわけね。なんていうかトタンと木の切れ端を立てかけてあるみたいなのが街中に,ごくたまに放置してあるでしょう。ああいうやつ。」
「まあ、うまそうなラーメン屋でたまにあるな」
「だから…てゆうか、この人数で、店内は一体どんな状況になってるんだ。もしかすると店が、何かが詰め込まれたティッシュ箱のようにハチャメチャになっているんじゃ無いかと思ってたんだけど、あ、言い忘れてたけど俺も一応そこで並んでたんだけど、その俺が並んでる前にこの辺から横入りしてくる奴がいてな」
「…うん」
「しかも、そいつはごく一般の人間じゃない。…なんとその店の店員が俺の前に横入りしてきたんだよ。」
「店員が?」
「うん。」
「まじで?」
「それを見て俺も、黙って見てられない!ちょっとそれは、いい加減に待っててくれよ!てなってな」
「うん」
「ちょっとそれは、いい加減に待っててくれよ!みたいになって、俺は、俺のココ(あご辺りの位置)に詰めてきてる店員に対していい加減にしないでください!って言ったんだよ!」
「はい?」
「だからね。あなたは待ち人ではなくて、あなたはただのラーメンを持ってくる係の人でしたよね?!てなって。」
「うん」
「後ろにもこんなに並んでるのに……一体あなたは、どういう了見で皆のお荷物になってらっしゃるんですか?っていう、怒りが込み上げてきたんだよ。だからそれを、オブラートっていうか、だいたいその意見を10倍くらいに薄めてから,あなたは、ラーメンを作る担当の店員だったのではないですか?!みたいに言って。」
「で?」
「うん。それで、その店員はな、振り返って俺の方を見たんだよ。それで、なんて答えたと思う」
「…わかんない」
「ソーメン」
「いや言うわけないだろ」
バシッ!とツッコミを入れる。

「はいッけいッ」

「…んっ?」
「…ふう。」
「…え、なに?」
「え?わからなかった?」
「うん。全然。はい…?まずなんて言ったの?」

「だからさ…じゃあ、もう一回やってみるね。
…それでな,その後も俺は並び続けてたわけ。ずーっと,もう小一時間、二時間くらいは経ったかな。それでもまだ5人くらいしかすんでないわけよ」
「いや回転おそっ。」
「おそいのよ」
「ラーメンとかうどんとかみたいな粉物とか、麺類って言ったら昼間は、とにかく回転しまくってるみたいな場所なのになあ。」
「え?粉が?」
「客の入りと出方のことだろ!」
「それでな。どうもたまらず俺はついに、状況を説明すると待ちぼうけなわけよ。待ち過ぎて、とうとうもよおしてきたわけ。どうしてもたまらず、…あ超常現象じゃないのよ。とにかく、今まで,ラーメンとソーメンの話ばかりしていて、前置きみたいなことはあまりなかったけれども、僕はそこで数時間前に行ったはずのトイレに又、なぜか…ごくふつうに行きたくなってきたんだよ」
「超常現象みたいに言うな」
「トイレ行きたいな〜って。でも渡辺さんも、もしもだけどせっかくここまで並んだのに、訳もなくまたラーメンの初心者みたいに初めから列に並ぶという状況になってしまったら、もう俺だけラーメンじゃなくてマーメンでもいいやって感じになってくるでしょう」
「うん。マーメン?」
「だからね、もう最終手段としては、もうはっきり言って,どうなってもいいから,とにかくここに知り合いが通らないかな〜と思って、状況としては待ちぼうけなわけよ。でもとにかく待ってはいたんだよね」
「知り合い?」
「ええ。知り合いに,代わりに並んでほしいな〜って。それで、だとしても俺が。ジャイアンの俺がよ。そんな事急に願ったとしても、皆が集まってくるわけでもないし、そんなただのラーメンていうかほったて小屋の近辺なんてまったく誰も通らないから,…で僕はそこで思いついたんですよ。」
「いったい何をですか?」
「だからね、身代わり地蔵ならぬ身代わりラーメンだ。」
「は…。なんですか?」
「それでね、僕は列から抜けて、トイレで用を足してから戻って来たんです。無事に。とりあえずトイレは間に合いました…と。で、それで、…だから、そういう一連の行為に対する前置きは殆ど無かったけれども、僕がラーメンをいま、まさに避けてそこに入ろうとしたらさっきの店員がラーメンの代わりにそこに立ち尽くしててな,僕も、ちょ、ちょっとっていうか、おまえがラーメン?!みたいになってね」
「…うん」
「でね」
「うん」
「そしたらそいつ、なんて言ったとおもう?」
「わかんない」
「ソーメン」
「いや言うわけないだろ」
「はいッけいッ!」

しい…んと静まりかえる場。
「…え?」
「いやだから、はいけい。拝啓」
「は?」
「…拝啓ってあるじゃないですか。」
「うん。で?」
「…だから前置きも何もなかった事に対してね、シチュエーションだけ話して意味不明になった後で,こう突如水を流してハケていくっていう事よりも、本心を話してしまうと、言っていただきたかったんですよ」
「え?」
「だからいただきたかったんです」
「あツッコミを?」
「(うなずく)単純にいただきたくてボケた時にもし。もしもですよ?もしもありがたいツッコミをその場で返してもらった暁に僕も、まず【拝啓】ッみたいな事に、当たるんじゃないかなって」

「そんな必然性がラーメン屋の店員みたいなやつにいきなり伝わる訳ないだろ」
「言いますね〜渡辺さんも」
「知らんわ。それにお前の、ただのツッコミに対する受けの話長過ぎて,正直どっちが何を待ってるのかわからなくなったわ」
「エ?そうですか?」
「うん」
「じゃあ…(手でもみくちゃにするジェスチャー)…て…もう一回やってみる?」
「いや…いいんだけどさ,」
「ナニ?」
「あの…そのラーメン屋がどうのこうのっていうのもうやめない?」
「いいよ」
「え?」
「いいよ別に。じゃあ別の,ボケでやるね。



フジコさーーーーんっ」
「いきなりルパン三世かよっ!」
「うん拝啓ッ」
「また、拝啓かよ。同じじゃねーか!」
「拝啓,拝啓、拝啓、拝啓、拝啓拝啓拝啓拝啓
あーーーーっ」
「…」立ち尽くすツッコミの方

「今日はいい天気やなあ〜ッ」

手をがバーッと上げていう。
「連打するな!」

「まあ【前略」それでな…」
「うまい感じにいうな」
「それでな、これからは短縮漫才見たいのが流行るんじゃ無いかなって俺思うねん。」
「短縮まんざい?」
「うん。こう、漫才をボケたツッコミで作るだろ。それで持って,大会とか,テレビとかに出てはるだろ」
「うん」
「それで、こうどんどんどんどん、階段みたいになって(人差し指と中指で)上り詰めていくだろ。」
「…うん」
「こう、どんどんどんどん、上をめがけて登って行った後におまえ、何があると思う?どうすると思う?」
「うーん。もっと上があるとか」
「うん、まあ、あるな。こうどんどんどんどん、(人差し指と中指で)もっとのぼるだろう。それでお前,その後一体どうなると思う」
「うーん。上がるんじゃないかな」
「…うん。まあ、こうどんどんどんどん、登っていくだろ。それで、後…まあ、スーパーマリオな。スーパーマリオだとしたら、どうなるかっていう要素も入れて話してくれるかな。上がるだけじゃなくてこう…み…みたいなあるだろ」
「は?」
「だから、「み…」みたいなやつ」
「みぎ?」
「うん。それでな、俺なんかはこう、どんどんどんどん上がっていくだろ。それで、アッここで、みかんの木がある。みかんの木があるじゃ無いかと思ってここで、まずそれに引っ掛かります。」
「引っかかるんだ?」
「うん。それで、食べます。そうした後でこう,どんどんどんどん先へ進んでいくわけ(人差し指中指で下がっていくうごき)」
「いや普通に,下がってるじゃねーか!」
「うん。それなのよ」
「は?」
「だからな、長編みたいな漫才を作って大会にバンバン出るとするだろ。それで、100点出ました。それが、一歩ずつこうあがるだろ。それで…その後おまえどうすんねん!て思うのよ」
「え。だからもう短縮でいいんじゃないかってこと?」
「そう。だからね。ボケッ。突っ込むッ。挨拶ッ。成仏ッ。これでだいたい、ひとつのカルマがまわるようになってるからね。ねえ皆さん。」
「カルマ?」
「うんそう。そやってなるべく早く回りきってくれればね、もっと画面にこう草が(手でバーッと生えてくるジェスチャーをやる。)映り込んでくる時間も減るわけでしょう。
ね。皆さん」
「え、そうなの?」
「うん。でおまえ,上がりたいとて、上がるだけ上がった後のファッションどうすんねん!みたいなのがあるだろ。」
「は。」
「だからな。上がったとてその後でおまえ、ていうかお前は何しに来とんねんていうか毎日のファッションどうすんねん!てなるだろ。そうなると俺はむしろ,下がりたいわ!(人差し指と中指でどんどん下がっていく)」
「いや下がり過ぎだろ!」
「だからこれがスーパーマリオだとするだろ」
「え、また?いきなり?…うん」
「こっち(左)戻れないねん!」ぶち当たるたなか。
「(ドンッドンッ)こっちのステージ用意されてないねん!てなるやろ(見えない左の壁にぶち当たって言う。)
「…うん」
「お前これ、どうすんねんて!」
「…なに」
「(ドンッドンッ)見て!」
「見てじゃないわ」
「右,右、みぎ、ひだり、右、右、みぎ、ひだりて毎日一歩ずつ確実に右にそれてんねんウチは!」
「いや,誰だよおまえは!」

「おしてくれー!だから、お前も一緒にここを押してくれってなるだろ!」
うおおおー!
と左の見えない壁を押し捲るボケ担当の田中。

「おまえ、お前押してくれー!おしてくれ!」
「…」
「有吉さ〜〜ん!はやく!押してくれ!押してくださーーーいっ!」
「いや、」
「…ふう。」
やり終えてから、服を正し始める田中。
「…大丈夫?」
「うん。大丈夫。前しか見えてないだけだから。」
自分の左目を指差すたなか。
「ああそう。」
「ちょっとこっちの肩に手、かけてくれる?」
「…」ぽん。と肩におそるおそるだが手を乗っけるワタナベ。
「拝啓ッ」
叩かれたようにして倒れる田中。
「いまのは突っ込んでないわ!」
「うん」
「拝啓だの前略だの…もうすでに日本的には既出じゃないか!ちゃんと考えておいてくれよな!その、最強の短縮した「受け」の方を!」
「わ、わかりました!僕もこれからは考えておきます…その、N H Kな受けのほうを!」
「エ?」
「NなるべくHはやくKけりおわる
やつの方を、その…考えてきます!」
右にダッシュしてハケていく漫才エアーフィッシュ(通称:くうきよまない)の二人。


ーおわりー



追記】
こちらは、去年の今頃に殴り書きしてたものに修正の修正を重ねてやっとまずまずの出来になったものを再度で出しています。
他のもそうですがD I Yしてつくった漫才文は勢いで書けたりする時もあるんですがバイオリズムによって面白かったりぜんぜん面白くなかったりするのが不思議でした。これからもお互いに悩みながらも,納得いける出来のものをつくって行きましょう。それではさようなら。

ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。