電気ひつじが暴走してくる
今日はSFの話をしよう。
……嘘です。
SFの話全然しないです。
でも、なんかあんまり内容覚えてないけど有名なSF作品を履修しておきたいという欲求はあるよね。
もし自分が劇場型犯罪の犯人になったら、「ニューロマンサー」とか「ビッグ・ブラザー」とか呼ばれたい。
名作のタイトルとか用語とかが由来になってる犯罪者とか集団とか機械とかってかっこいいよね。
こういう「元ネタ」を知識として持っておくためだけに名作を読む会、みたいなのを友人知人と作って定期的に読書会とかやったら楽しそう。
普通にSFの話をしてしまった。
「元ネタ」といえば、不思議なことがある。
干支の動物と漢字について、だ。
これ、なんで右の漢字じゃだめなのか。
実はその真相は思いのほか難解な話になっていくし、結構沼だ。
しかも、わりとしょうもないというか。「まあそりゃそうだよね」みたいな。そういうやつ。
僕は文学部日本文化学科……的なところで学生をしていたので、日本の干支がなぜこうなっているかは、楽しく勉強した記憶がある。
だが、興味がない人にはつらい内容なので、他の人に解説は譲ろう。
干支は十干と十二支という記号から成立していて、それは合わせて六〇通り組み合わせになる。それで方角とか時間を指したりもしていて、馴染みのあるものでいえば、甲子園の「甲子」だったり、六〇歳を指す還暦だったり。そしてそれを一般に普及させるために、後漢の王允って偉い人が、わかりやすく動物に当てたりして(諸説あり)、各国に伝わりながらいろんな動物に変わって……と、そんなことがあったと理解すれば十分。
つまり、そもそも干支と言っても、普段使ってるのは十二支だけだし、その十二支もいろいろあって動物が当てられているけど、動物とはほぼ無関係ってわけだ。
じゃあ、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥ってなんなの? という話なのだが、十二支はもともとは農業の周期のための記号だったらしい。本当かよ? と思うがまあそうということにする。
たとえば「未」という漢字は、十二支の第八位なのだが、意味としては「果実が滋味を持ち始める頃」ということらしい。
つまり、味がつき始めた頃だ。
「未」という漢字は、調べるとその意味するところは「昧曖(まいあい)」の「昧」だったり、「味」だったりするらしい。
まいあい……?
僕の頭には?が浮かぶが、話が散らかるのでこれは見なかったことにする。
まあ「味」なんてさっきの意味とリンクするし納得感はある。
しかも、御存知の通り、これは転じて「未(いま)だ」という言葉にもなっている。
味が生じ始めた=まだ熟しきっていない、ということらしい。納得だ。
漢字の成り立ちも、枝が伸び切っていない「木」とのこと。納得である。
さあ、木は熟していないが、機は熟した。
冒頭の引用に戻ろう。
十二支という概念は、無学の一般市民には少々難しかったらしい。
だから後漢の王允という偉い人が、動物を当てはめて、一般の人にもわかるようにしたらしい。
これは概念としては「間違っている」がよいことだ。
知識を広めて、役立たせる、立派なことだ。
つまりトータル的にはこの「間違っている」は正しい。
だれかが「未」という漢字を農業の周期に使った。
それを動物にして広めた。
そして現代日本のわたしたちも十二支を使って、十二支占いとかやってるわけだ。
だが、僕は困っていることがある。
電気羊ならぬ「電気未(ひつじ)」が僕の社用PCで暴走している。
僕は仕事で外回りの営業から凄まじい量の電話を受けることがある。
なのでとりあえず、全部Excelに叩き込んでいるのだ。
Excelの正しい使い方ではなさそうなのは百も承知だが、タスク管理は無駄に機能がない方がいい。
こんな感じでガガガッとやらなくちゃいけないことを並べる。
で、進捗に「まだ」か「終わった」かを入れる。
勘のいい人はわかっただろう、日常に潜む電気未の正体が。
僕は進捗にまだなら「未」、終わったら「済」を入れる、
そこで頭のいいExcelくんは、僕の代わりに入力をしてくれる。
全部、後漢の王允のせいである。
【「『間違っている』がよいこと」をするという「正しさ」】より間違っていたほうがよかったじゃん!
ちなみに、今年の十二支は寅だ。
じゃあ寅の意味は……
「未」と一緒じゃん!
こっちも伸び始める=成熟しきっていない=「未」じゃん!
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