傷心の女が恋に落ちやすい、というのは本当だろうか。 その頃のわたしは、文字通り、ボロボロだった。 元夫のモラハラで不眠が続き、家に帰るだけで過呼吸になる。 毎日なるものだから、3日目くらいで「またか」と慣れ、10日過ぎる頃には過呼吸になる前から呼吸のコントロールができるまでになった。 世界一に役に立たないスキルである。 離婚を視野に入れつつ話をしていたものの、いつまでも別居してくれない(元)夫。 モラハラしてくる人間が家の中にいる不安と緊張のせいで、眠れない日々。 当時
真夜中にさしかかる、家族が寝静まった時間。人の気配はあるのに、静寂が満ちる電気の消えたリビング。 さみしがりだけど、人といすぎると疲れる。そんなわがままが赦されて、心が安らぐ。そういう時間。 思春期の頃、不眠に悩んでいた。寝るリズムが崩れると、眠れなくなる。ベットの中で目をつぶってゴロゴロしていても、いっこうに眠れない。「眠れない」と思ってしまったら、もう眠れない。 そうなってしまったら仕方ない。お菓子を焼き、本を読み、この時間を堪能するにかぎる。 今日は何を作ろうか。