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【沖縄セルラー×岡野バルブ製造】既存企業同士のMIXがもたらす可能性を探る(#1:ワークショップレポート)

こんにちは!働く人のリアルな姿にフォーカスしたコンテンツを発信する『X-BORDER』(クロスボーダー)です。
今回、私たちは新たな試みとして、既存企業を対象とした「1対1のつばぜり合い」によるワークショップを始めました。

「千三つ」と称されるほど、立ち上げと稼働が難しい新規事業。
中でも既に一定の事業や仕組みが確立している既存企業になると、新たな取り組みを軌道に乗せるのは並大抵のことではありません。

では、そんな既存企業がアイデアを出し合う場を作るとどんな可能性をもたらすのか?
そんな問いの下、今回は12月に初めて開いたワークショップの模様を中心にお届けします。

「新規事業の担当になったけど、何をすればいいのかわからない…」
「新たなプロジェクトを進めたいけど、周りの同意が得られない…」

そんな悩みを感じている人たちに是非とも読んで頂けると嬉しいです!



【Introduction】既存企業ならではの共有の悩み

今回のワークショップの会場となった一番街商店街にある『X-BORDER KOZA』

まずは、今回のワークショップに参加した2社について軽く紹介します。

【沖縄セルラー電話】
 沖縄振興を目的に財界人が議論する「沖縄懇話会」の呼びかけがきっかけとなり、1991年に設立。沖縄県内を営業エリアにauブランドによる通信事業を軸に展開し、グループ子会社では地域課題解決を目的としたアグリ事業やマルシェ事業なども手がける。

【岡野バルブ製造】
  1926年創業。1932年に火力発電向け高温高圧バルブの国産化に成功し、福岡県北九州市を拠点にこれまで世界約60ヵ国の発電所に向けて100万台以上のバルブを納めてきた。現在は発電プラント向けバルブの製造とメンテンスを軸に展開している。

業種も地域も全く異なる両社。
全く共通点がないように感じますが、実はある共通の悩みを抱えています。

その悩みとは…「新規事業」です。
両社はともに社内で新規事業専門の組織を設け、新たなサービス立ち上げに向けて動きを進めています。
(沖縄セルラー電話は2023年に事業創造部を設置、岡野バルブ製造は新事業開発本部として展開)

ただ、既存事業とは異なる領域でサービスを動かそうとする際の知見やネットワークなどに乏しく、突破口を探しあぐねている状況です。
さらにフットワークの軽さを生かして次々とアクションを起こすスタートアップと異なり、新たな取り組みに対して腰が重くなりがちな既存企業ならではの組織風土も新事業を推進する障壁となってきました。

そんな共通の悩みを抱える両社だからこそ、リアルに顔を合わせながら考える場を設けることで何かのヒントが得られるのではないか?
今回のワークショップは、こうした経緯から開催することになりました。


【第1ステップ】事業の悩みを頭の中から掻き出す

事業の課題に関して次々に書き記していく参加メンバー

そんな両社が顔を合わせることになったのは、「スタートアップ商店街」を掲げる沖縄県沖縄市の一番街商店街にあるオープンイノベーション拠点『X-BORDER KOZA』。
ワークショップには、両社のメンバーに加えてオブザーバー企業の参加者を含めて約20人が集まりました。

アイスブレイクとして双方が企業紹介をした後、本題となるワークショップに登場したのは「沖縄のIT番長」と称される常盤木龍治さん。
エバンジェリスト(伝道者)として国内外を駆け回る常盤木さんから示された課題は、自己分析などに用いられる「9ボックス」の手法を事業創出の観点で洗い出すことでした。

4つのチームがそれぞれの事業に基づいて設定したテーマについて、まずは約30分で個別に課題や達成したいことを付箋に書き出していきます。
腕を組んで悩みながらも少しずつ書き出す人、前半は勢いとは対照的に後半になるにつれて手が止まる人、最後まで延々と書き続ける人など、全体を見渡すとそれぞれの個性が垣間見えます。
時間が経つにつれて書き記した付箋でテーブルが埋め尽くされ、中には「新しい付箋はありませんか?」と尋ねる人も出るほどでした。


【第2ステップ】共有化による課題認識の選択と集中

「有効性」と「実現可能性」の観点で課題の振り分けを進める

次のステージでは、ホワイトボード上に「有効度」と「実現可能性」の軸による9つのカテゴリーを設け、各自が付箋に書き出した内容を分類化する作業に移ります。
この場面で大切になるのは、「課題認識の違いを可視化すること」です。

自分では課題だと感じている事業課題が、周りにとってはそれほど重要ではないこともあります。
互いに意見を交わして分類化するこの過程では実現可能性と有効度が高い課題が明確になり、今後のチームの方向性をまとめる重要な意味を持ちます。

この過程でも、先ほどの作業と同様に個性が垣間見えます。
リーダーの推進力によって次々と決まっていくグループ、指差し確認のように慎重に分類化するグループがあるかと思えば、中には意見がまとまらずに集約が進まないグループも…
悩みながらも、次第に各グループの事業課題が固まっていきます。
最後は、集約した内容を代表者が発表してフィードバックをもらうことでワークショップは締めくくられました。


【第3ステップ(まとめ)】大切なのはこれから

「教育」をテーマに発表する沖縄セルラー電話の参加メンバー

今回初めて相まみえた両者ですが、参加したメンバーにはワークショップの試みに慣れている人も居れば、普段なかなかそうした場に参加する機会がない人もいます。
そうした中でも、その後の懇親会では今回のワークショップに対して満足度の高い声が聞かれました。

ただ、大切なのは「ワークショップを実施した後」です。
せっかくの時間や場所を設けて意見をすり合わせる機会を設けても、その後に続かなければ意味がありません。
ややもすれば、「ワークショップをやったこと」に満足してしまうパターンに陥りがちです。

世の中には、ワークショップやセミナーといった催しが毎日どこかで開催されています。
ただ、そこで得た成果を持ち帰って実現や応用につなげられるケースは極めて稀です。
新規事業の創出が「千三つ」とされる理由には、そうした部分が影響しているのかもしれません。

今回は新事業の創出に悩みを抱える既存企業同士が集まり、普段の業務ではなかなか考える機会のない内容について深掘りしていきました。
せっかく洗い出した課題を実際に実行に移せるかは、各メンバー次第であり、これからが本番です。
悩みながらも進もうとする両社による今後の取り組みを、長い目でウォッチしてもらえると幸いです。


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