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ホラーとSFのセカイ系『デジモンテイマーズ』観たよ。

ここ一週間くらいかけて『デジモンテイマーズ』観終えた。

いや~~~~~マジで面白い。
間違いなく僕の感性に大きく影響を与えた作品だ。
前作、前々作、観てきてからのテイマーズは今までのシリーズとは設定を引き継がない新作だったし、少し毛色が変わってその雰囲気が凄い好きになった。

それはシリーズ構成の小中千昭氏の功績が強い。
知っていますか小中千昭。「小中理論」の小中ですよ。知らんか。

『邪願霊』『ほんとにあった怖い話』などのオリジナルビデオ作品で、のちに映画監督の中田秀夫や黒沢清、脚本家・高橋洋らが展開していく「ジャパニーズ・ホラー映画」に大きな影響を与えた。
その表現方法は「小中理論」と呼ばれ、著書『ホラー映画の魅力』(岩波書店)の中で詳細に語られている。(Wikipediaより)

ホラー映画界のビッグネームだ。
アニメとの関わりで言えば、やはり『serial experiments lain(1998)』の脚本家としての印象が強い。

要するにこのデジモンテイマーズって作品は『lain』の直系でホラーとSFのセカイ系の文脈が強いんですよね。オタクなら好きにならざるを得ない。

特に終盤はデ・リーパーという敵のプログラムが少女を取り込んで心を触媒にて巨大化したり、デジタルワールドと現実世界を夢の中で行き来するデジモンの生みの親の科学者が出てきたり、端々に出てくる肉体とデータに関する哲学的要素とすごく『lain』っぽい。
このアニメのSF的な考証もSFに馴染みのない人が観たら分からないような難解な設定や専門用語が出てくる。だだしそこをちゃんと子供に分かりやすいように嚙み砕いて説明されており、脚本が上手い。

ホラー的な文脈で言えば、小中理論をちゃんと実践してる。物陰や暗がりにを映して何かいるかもしれないという見せ方や、ふと視線の端に何かが見えたようなサブリミナル的なカットを入れて次戻ると何もいなかったり、いつも遊んでいる友達の中に知らない何かが混じっているといった典型的な怪談みたいなものまで、ジャパニーズホラーをちゃんとやってる。
当時はなんか漠然と怖い雰囲気だな~と思って観ていたけれど、ちゃんと観るとホラー表現が良く出来てて感心する。(特に終盤40話あたりから)


改めて見直して思ったけど、これもポストエヴァな雰囲気を感じる。
主人公が等身大の普通の内気な少年でヒロインが高飛車なエリート少女とちょっと陰のある不思議ちゃんだし、高層ビル群の街中で派手にドンパチやったり、敵のデジモンと戦うための科学特捜隊的な巨大組織がある特撮の醍醐味もそうだし、全ては元は昔の大学の研究室から始まったごく狭い世界の話というのもそうだし、究極体はテイマーとデジモンが合体して戦ってそれがテイマーの感情で暴走したり、感覚神経がリンクしていて痛みを感じたり、とにかく共通点を探せばキリがないくらいだ。
しかしこの「少女の心が世界を変革させる」セカイ系の話は良い。
これを発明した『うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー(1984)』から『SSSS.GRIDMAN(2019)』に繋がるセカイ系の遺伝子を感じた。


いや~本当に大好きだ、デジモンテイマーズ。
デジモン他シリーズはそんなに観返したい程は好きじゃないけど、テイマーズは特別だ。
しかし、昔好きだったアニメを観ると思うのだが、子供の頃に観た時の記憶は印象的なシーンを場面場面で覚えているだけでストーリーはちゃんと覚えてないことがほとんどだ。だから面白いと思ったことは覚えているのに内容は覚えていないという「記憶を消してもう一回見たい」状態が時間経過で発生して楽しくて止められない。

これからも思い出を味がしなくなるまで反芻しまくって生きて行きたい。


レナルキ…………(三点リーダ症候群)

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