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うつ病のデジタル療法に期待

退屈な時間は恐ろしい。メンタルが落ちているときに退屈を感じると、ネガティブな思考が加速してとことん陰鬱な気分に陥る。じゃあ、退屈しのぎに何かすればいいじゃないかと思われるかもしれないが、うつ病を患って以来、メンタルが落ちると物事に対する興味も行動を起こす気力も不思議なほどに湧かない。だから気分転換が出来ないのだ。そんなわけで、僕にとって退屈な時間というのは、ネガティブ思考の反芻が終わるのを、ひたすら耐えなければならない拷問のような時間なのだ。

そんな退屈の恐怖から逃れるには、現実逃避が有効だ。でも、そういうときに限ってテレビやYouTubeを観ても楽しめないし、寝たくても眠れない。外出するなんて尚更無理と思ってしまうものだ。そういった状況を打開する方法として、VRを活用した”デジタル療法”なる治療法が開発されているらしい。平たく言えば、VRの世界で認知行動療法を行う治療法だ。

うつ病を経験した僕からすると、これはかなり期待できるのではないかと思う。まず、VRというのは他のコンテンツと比べても圧倒的に没入感を得やすいところが良い。VRゴーグルをつければ現実と切り離されて、リアルな仮想空間からの情報しか入ってこなくなるし、ゴーグルの中で繰り広げられる事象は無意識に注目を惹きつけるから、ネガティブな思考が反芻することも無くなる。
また、従来のように医師と患者の対話ベースで行われる治療では、対話の時間が短かったり、意図をくみ取れずに上手く治療が進まない場合があったと思うが、デジタル療法ではそうした問題が解消されると思われる。患者はVRの中で起きていることを体感することで、考えるのではなく感じながら認知行動療法を行うことが出来るようになるだろう。

うつ病や不安症、恐怖症患者が持つ認知の歪みは、言葉で指摘されてもイマイチ納得できなかったり、十分に理解できなかったりするものだが、仮想現実で体感すれば指摘された意味に気づく可能性も大いにあると思う。今後の研究開発に期待したい。

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