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Netflix「三体(3 Body Problem)」についてのメモ

Netflix版「三体(3 Body Problem)」の配信がスタートしました。

全8話だったので一気見し、IMDbや豆瓣に書き込まれた視聴者のコメントを見に行きましたが、全体的に賛否は真っ二つに分かれているという印象です。

Netflix版では、葉文潔は中国人で人生経歴も原作に沿っていますが、現在進行形の物語の舞台はイギリスとなり、主人公の科学者・汪淼のキャラクターはオックスフォード大学出身の5人(Oxford 5)に置き換えられる翻案がなされています。

IMDbや豆瓣で見られるネガティブな感想は、Oxford 5が世界を救う話に書き換えられている、娯楽作としては面白いが恋愛要素など余計なものが付け加えられている、科学者のジェンダー・人種を始めポリコレを感じる部分が多いといったものです。

一方、ポジティブな感想としては、すでに中国ドラマ版があるのだからこういう欧米視点による翻案もありではないか、幅広い視聴者に向けた映像化としては分かりやすくていいのではないか、テンポのいいストーリーテリング、SFとしての映像表現はよくできているといったコメントが見られました。

また、第1話冒頭の文革における批判大会シーンを評価するコメントも目立ちました。原作にかなり忠実だった中国版でも、いわゆる“審査”のため文革における表現は控えめになったのではないかと言われており、豆瓣では「第1話の冒頭だけで満点をつけたい」といったふうに批判大会のシーンを評価する中国人の匂わせコメントが複数ありました。(なお、中国版もNetflix版も文革によって起こった出来事についてはある程度、原作に沿って描かれています)

ちなみに……
第1話・第2話を監督しているのは『ソウルメイト 七月(チーユエ)と安生(アンシェン)』や『少年の君』といった映画で日本でも評価の高い香港出身のデレク・ツァン(曾國祥)。『少年の君』は第93回アカデミー賞で国際長編映画賞にノミネートされたことも話題となりました。

個人的には……
葉文潔のキャラクター改変に違和感を覚えたりしつつも、エンタテインメントとして分かりやすい映像表現、科学者たちの人間ドラマを盛り込んでいる点は意欲的な脚色としてある程度、評価できるのではと思います。

中国版もNetflix版もそれぞれの特色と良さがあると言えますが、映像化において何を期待して観るかは人それぞれ。今後出てくるであろうさまざまな視点からの感想や批評をチェックしてみたいと思います。

追記:公式ポッドキャスト

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