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舞台照明デザインのこと その12 眼に入る光には二種類あること

しばらく時間が空いた

理由があります。
お盆休みでした。
嘘です。

ちょっと今回のテーマが大変なので、苦戦してた。

操らなくてはならないのは二つの光

二つの光とは、
透過光と反射光

透過光は、物体を通過して直接眼に入ってくる光

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反射光は、物体に反射して眼に入ってくる光

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照明で操らなくてはならないのは、主に反射光
照明って言うくらいなのだから、透過光なんじゃないの。
って、思うかもしれない。
だが、実際には、演者やダンサー、もしくは舞台美術に当たった光を見せている。
つまり、それらの物体が明るくなっているということは、そこに光があり、それが反射して眼に入るから明るいと感じる。

(ちなみに、今見ているモニターやスマホの画面は、透過光である。光源から発生した光を透明なものを通して眼に入っているからである。)

僕の舞台照明デザインの原則について

透過光を僕が照明のデザインの中で直接扱うことは少ない。
人間は透過しないので、人間に当たったら反射光になる。
また、空間全体にスモークを炊いたりして、照明から出る光線を眼に見えるようにすることはある。でも、そればかりだと眼が疲れてしまう。
前回までで、言ったように僕が考える舞台照明のデザインとは、舞台上に居る演者やダンサーを見せるためのものであって、照明を見せることが目的ではない。

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こんな場面ばっかりだったり、こんな場面が一番いいシーンとして観客に記憶されるようなデザインは失敗だと考えている。
確かにインパクトはあるかもしれない。
だけど、舞台作品の共同創作者としての舞台照明デザインとして、本当にそれでいいのか。
という話である。

反射光を扱うということ

話が盛大に逸れた。
失礼。

反射光を扱う。
そのためには、物の色について知る必要がある。
そして、作品の中で使われる色をどういう形で見せていくのか。
ということも命題になってくる。

舞台照明のデザインとは、物体に、どの方向から、どのような色の、どれくらいの光線を当て、どれくらい反射させるのかを考えること。

と、言ってもいい。
人間の眼に入る色彩というものは、明るさによって、その見え方が変わる。
色彩が見えるのは、光があるからだとも言える。

また、光源から出る光にカラーフィルターをかけて、色を付けることも出来る。(この話は別の項で話をする。)

物の色というものは、三つの属性で決まる。

ここまで扱ってきた舞台照明の世界には、まだ、『角度』のことしかない。
他にも、「明るさ」「色」という概念もある。
この二つの前に、人間が持つ眼という器官がどのように情報を受け取るのか。
ということについて知る必要がある。

明度・彩度・色相

明度は、色の明るさ。
彩度は、色の鮮やかさ。
色相は、俗に言う色です。(正確には色の相)

急に、美術の授業みたいになってしまった。
なんとなく聞いたことがあるかもしれない。
ここで詳述すると、これだけで一項必要になってしまうので、それらについては、他のnoteやwebサイトに任せる。

色について

色という概念があり、それが持つ印象というものは、個人によって違うものがある。それだけでなく、現実に自分が「赤い」と思っている色が本当に同じ色に見えるかどうかも分からない。

ちょっと哲学的な話になってしまうが、視覚を共有することは2020年現在では、まだ出来ないので自分の視覚が捉えて(つまり見えて)いるものが、他の人と同じであるとはわからない。
一方で、共通で認識出来ることもある。
視覚を扱う舞台照明のデザインは、その共通で認識できて、理解できることがどの範囲なのか。ということを探っていくものでもある。
繰り返し言っているが、舞台照明のデザインを考えるというときに、どんなものにどう当てるのかこそが重要なことだ。

そして、それらを考えるために色の記憶ストックが必要になる。
様々な反射光の色のイメージを多く持っていないと、理解できる範囲がとても狭くなってしまう。

この色の記憶ストックは、色見本を見るということではない。
例えば、絵画やグラフィック、ファッションなどで、
どういう色の使われ方がしているのか。
また、それがどういう見る人にどういう影響を与えているのか。
そういうことである。

まだまだ続く

さっき、書いたように、実際のデザインまでの道のりがまだまだ遠い。

「明るさ」「色」というものの後に、実際のデザインの話にうつることになる。

次は、明るさについての話をしよう。

と、いうわけで、また次回。

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